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カカの天下  作者: ルシカ
469/917

カカの天下469「姉週」

 よう! あたしカツコ!


 今回はあたしのとある一週間を紹介するよ!


 まずは月曜日。


 この日はシューが珍しく喧嘩を売ってきた日だった。なんでもトメにあたしの弱点を聞いたらしいのだ。


「お姉さま……今日という今日は我慢なりません!」


「へぇ、だったらどうするってんだい?」


「お姉さまに、勝ちます!」


「ほぉ……」


 珍しく自信満々なシューの態度。何かあると踏んだあたしは慎重に間合いを取った。


 そしてシューは口を開く。


「僕は最近、給料が下がった!!」


 ……は?


「僕は最近、お財布を落とした! 交番には落ちてた財布が届きまくってて『良い人たくさんいるなー』なんて思ってるのに僕のだけ戻ってこない!!」


 ……えっと。


「僕は最近、落ちてる空き缶を拾ったら『それは俺んだよ勝手に持ってくなオラァ!』と警察に連れていかれた!!」


 な、何を言っているのだろう我が下僕は。そんな不幸自慢ばっかり……


「あ、顔が歪みましたね。ふふふ、僕は知ってるんだ、あなたの弱点が哀れな話だということを!」


 なるほど、そういうことか。


「自慢じゃないけど、この街で僕より哀れな男はそうそういないぞ!」


 ほんっとに自慢じゃねー。


「まだまだいくぞ。僕は最近、足の小指をタンスにぶつけた!」


 あれ痛いんだよね。


「僕は最近、地味だ!」


 ごめんそれ昔から。


「僕は最近、出番が少ない!!」


 なんのこっちゃ。


「新入りよりも少ない!!」


 よくわからんけど確かに哀れだ。


「お姉さまのメイド服が見れなかった!!」


 あー、今この人が怒ってるのってそれが理由なんだよね。なんであたしが怒られなきゃならんのかよーわからんが。


「はぁ、はぁ……くっ、バカな。これだけ不幸だとアピールしたのにまだ泣かないのですか!? やはりお姉さまは涙を流すような人間とは違う次元にいるのですね!!」


「ひどく失礼なこと言われてる気がするけど、それはさておき。不幸っていうかさ、シューにとっちゃ普通じゃん、そのくらい」


「僕ってどんだけ不幸慣れしてると思われてるんですかね!?」


「てゆーか不幸不幸っていうけどさ、ぶっちゃけいつもあたしがあんたにしてる仕打ちの方がひどくない?」


「自覚あったんですねアナタ!?」


 それなりには。  


 だからって止めないけど。


「うぅ……うわーん!! お姉さまなんか、お姉さまなんか、お兄様になって格好よくなってしまえええええ!」


 その日のシューはこんな感じで、よくわからない捨て台詞を残しながら去って行った。 


 次は火曜日。


 お仕事でした。頑張って働きました、まる。


 続きまして水曜日。


 愛しき我が家に帰ってみた。カカちゃんが寝静まった後に弟君と缶ビールで乾杯! そこからダラダラと喋って過ごした。


「なぁ、姉。またシュー君のこといじめたろ」


「や、いつもどおりだけど」


「あのなぁ、シュー君かなり凹んでたぞ。どこかに逝ってしまいそうな勢いで」


「シューなら大丈夫だよ」


「そ、そうなのか」


「うん。いなくなっても大丈夫」


「そういう意味かい!? もうちょっと気にしてやれよ可哀想に!」


 えー、面倒。


「あ、そんなことより話は変わるけどさ」


 そんなことて。トメの方こそあんまし気にしてないやんシューのこと。


「タマちゃんのことなんだけど」


「あの子は山に帰ったよ」


「嘘だろ!?」


「嘘だよ。当たり前じゃん。慌ててやんの、バッカでー」


「……そう、それだよ。あんたさ、あの子を山で拾ってきたとか言ってたじゃんか。じゃあ幼稚園に入るときとか大丈夫だったのか? 身元ハッキリしてないのに」


「は。山で拾ってきたなんて話、嘘に決まってるじゃん。トメちゃんそんなん信じてたの? バッカでー」


「ちょ! おま! だって!!」


「ってことにしとけって、色々と用意してくれた父が」


「……あぁあぁ、父さんね。あの人なら戸籍用意することくらいできるだろうけど……で、結局は本当なのか、嘘なのか、どっち」


「さぁ?」


「はぁ……そうだよな。姉って会話できる次元にいないもんな」


 疑問は放ったらかしで木曜日。


 この日もお仕事中心。せっせと働くせっせっせー。


 さぁついに金曜日だ。


 明日は土曜日で休日! というわけで夜はサカイちゃんとテンちゃんの三人で居酒屋『病院』へ!!


「それではー、カツコちゃんのー、スベらない話いってみよー!」


 いつの間にか居酒屋のアイドルトリオと化していたあたしたちは、周囲の客を巻き込み、酔っ払いのノリで大いに盛り上がる!!


「いぇーい! スベらない話だってよ、いけ姐さん!」


「いくよ――滑り止めクリーム!!」


 どこかの青いタヌキよろしくポケットからクリームを取り出したあたしに「おもしろくねー!!」「つまんねー!」「滑り止めなのにスベるとはこれいかにー!!」と楽しそうな文句が殺到! ちなみにクリームと言ってもクリームパンだけどね!


「どーもすみません!! お詫びにスベスベのお肌を見せます!! テンちゃんの」


「んだとぉ!? わ、コラやめろ」


「ふふふー、逃がしませんよテンカちゃん。おとなしくそのスベスベのお肌を……見せー……あらあらー、本当にスベスベでやんなっちゃう。あははーすべすべすべー」


「あ、ちょと、どこ触って、あん、あっ、あひゃひゃひゃひゃひゃ!! く、くすぐった」


「ざらざらになるがいいー! おらおらー」


 色っぽく絡みあうサカイちゃんとテンちゃんに「おもしれー!」「いいぞ、もっとやれー!」「いくら払えばどんだけやるんだ!?」と嬉しそうな野次が殺到! ちなみにあたしがこんなことしても誰も盛り上がってくれません! なぜだ!?


「いや、だってカツコちゃんは男とか女とかそういう次元にいないから」


 じゃーあたしは何なのさ。


 誰も疑問に答えることなく時間が過ぎ、次は土曜日。


 再びシューがあたしに反旗を翻してきた。


「ふっふっふ……今度こそ僕は勝ちます! トメさんにまた弱点を聞いてきたんですから!」 


 はて、次は何がくるやら。カカちゃんとあたしの共通の弱点が一つあるけど、あれはシューには用意できないものだし……他に何かあったっけ?


「……トメさんも最近まで忘れていたらしいですけど、お姉さまは漢字の羅列に弱い……だから……ぶつぶつ」


「おーい?」


 何をぶつぶつ言ってるんだろ。聞こえないけど。


「あ、すいませ――じゃなくて勝負です。いきます!」


 さぁ来い。


「お姉さまは陰謀詭計で哀鴻遍野ばかり作って迷惑千万です。たまには顔厚忸怩して鬼面仏心、可惜身命にしたらどうですか!?」


「なに言ってんの?」


「難しすぎて伝わらなかったかぁ!!」


 またもやシューは泣きながら去っていった……「やっぱりお姉さまに弱点なんかないんだぁ無敵な人なんだぁ僕とは次元が違うんだぁぁぁ!」なんて叫びながら。


 そして、日曜日。


 一週間を終えて、あたしは思った。


「あたしって……皆から見て、どこの次元にいるんだろう」


 もしかして……

 

 二次元か!?

 

 ある意味、正解ですね。最後の答え笑 

 たまには姉の詰め合わせでいこーと思ってこんなん書きました。雑多ですね。まとまりないですね。殴り書きって感じですね。まー姉っぽくていいでしょう。


 さてさて、話は変わりますが……本日、新たな連載なんぞを始めてみました。ふつーの世界のふつーの女子高生によるふつーのラブコメです。多分。

 タイトルは「決め手はあんパン」

 作者の同一作品のところからいけると思うので、よかったらどうぞ^^

 カカ天とは毛色が違いますが、ノリは似たようなもんです笑

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