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カカの天下  作者: ルシカ
463/917

カカの天下463「ござる」

「ただいま」


 おかえり、って自分で言ってどうするんですかね。トメです。


「おかえりでござる!」


 そうそう、やっぱ可愛い妹の出迎えがないと帰ってきた気がしないでござる……ござる?


「それがしはなにがしなこおりがしをしょもうじゃ」


 何言った、今。


「あー、カカ。今日はなんの遊びだ?」


「武士ごっこ。最近流行ってるらしいよ」


 そんなもん流行るか――そう言いかけてふと思い出す。たしか、この間見たテレビで……そうそう、メールとかで武士語というものが流行っていると特集をしていた。それのことかな。


「へー。で、さっき何て言ったんだ?」


「それがしはなにがしなこおりがしをしょうもうじゃ」


 なんかよくわかんないけど「がしがし」言ってるからお菓子でも用意すればいいんだろう。


「アイスなら冷凍庫にあっただろ。今日のおやつ分なんだから勝手に食べればよかったのに」


「ん、これ言いたかったから食べずに取っておいたの」


 律儀というかなんというか。とにかく目的を達成したカカは一目散に台所へと走っていった。食べたくて仕方がなかったんだろうね。


 僕ものんびり部屋に戻り、部屋着に着替えて台所へ。今日の夕飯分の材料は残ってたはずだから買い物もしなくていいし、このまま用意を――


「トメどの、拙者は質問があるでござる」


 台所に入るとまたもやござる娘が現れた。仕方ない、付き合ってやろう。


「ほほう、何用でござるか」


「台所にザルは何個ある?」


「一個だが」


「それじゃ五ザルじゃないでしょ!!」


 この子ほんとワケわかりません。


 しかしこれはまだまだ序の口。カカの言葉遊びはその後も続いた。


 ――例えば夕食どき。


「ほらよ」


「かたじけない」


 いただきます、と両手を合わせ、もしゃもしゃと鶏のから揚げをやっつける。


 そして食べ終わると。


「かたづけない」


「片付けろよ食器!!」


 ――例えば居間でのんびりしてるとき。


「片腹痛いわ!」


「何がだよ」


 雑誌に落としていた目線をあげると、カカはビシッとテレビを指差していた。いまやってる番組は、ニュースか。


『――片方の腹部だけが削ぎとられた状態で発見され――』


「片腹遺体は?」


「聞かれても知らんて」


 ――例えばその後、カカが台所でとある物を見つけたとき。


「トメ兄! 台所に武士がいた」


「そんなもんを料理する予定はないぞ?」


 硬くて食えそうにないし、などと思いつつ台所へ行ってみると……なるほど。カカが『ぶし』を持っていた。


「かつおぶし!」


「それ味噌汁用の武士だぞ」


「そっか。武士道とは汁物と見つけたり、ってこのことだったんだね」


「死ぬことと見つけたり、な。難しい言葉を知ってたのは感心するが」


 まぁ味噌汁にしたら武士も死ぬけどさ。


 ――例えば座ってテレビを見ていて、背中をくすぐったい感触が通り抜けていったとき。


「……なにする」


「ものさしで斬った」


「なぜ」


「斬り捨ててごめん」


「それ『て』が一つ多い」


「ごめん」


「許す」


「じゃあ捨てるね」


「おい、僕を引きずってどこへいく」


「ゴミ箱」


「それは許さん」


「ごめん」


 ――例えば、二人で暇を持て余してるとき。


「あ、暇つぶし! 暇つ武士!」


 唐突に思いついたようでござる。


「その『つ』にはどんな意味があるんだ?」


「む。じゃー暇な武士」


「おまえのことか」


「左様!」


「カカって武士だったのか」


「さよー!!」


「さよーけ」


「サヨってだれ?」


「知らんわ」


 そんな感じで遊んだ一日でした、でござる。


 本日は軽めのお話にしてみたでござる。

 昨日、一昨日とそこそこボリュームあったからでござる。ここらで休憩でござる。

 しかし某はメールなどにかような言葉は使わぬのだが、世の御仁はどうなのでござろう?


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