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カカの天下  作者: ルシカ
454/917

カカの天下454「見落としがちなことだけど」

「――というわけなんです」


「なるほどー。それはそれはー」


 こんにちは、サカイですー。


 今日は珍しくサラさんのお誘いを受けまして、小洒落た喫茶店にてお茶してますー。え、珍しくない? いえいえー、いつも偶然に会ってるので、わざわざ連絡取り合うのは珍しいのですよー。


 そしてお話の内容は、トメさんとサユカちゃんの誕生日のことについてです。


「我に返ったらサユカちゃんと仲良くはなっていたものの、ちょっと気まずくて……」


「そうですかー」


「私、まるでヘンタイさんじゃないですか」


「そうですねー」


「ちょっとは否定してくださいよ!」


「はいはい、仕方ないですねー。えっと、成人女性が小学生の女の子と愛を誓うなんて人としてありえませんね」


「そこを否定されるとすっごく傷つくんですけど!」


「ざまぁーみさらせー」


「この……っ! な、なんで私は、あなたなんかに、こんなことを喋ってるんでしょう……!」


「私のことが好きだからでは」


「それだけはありえません」


「小学生の女の子襲うのと、どっちのほうがありえませんかねー」


「うぅ……!」


 そこを突かれると弱いのでしょうか。威勢のよかったサラさんはしおしおと枯れていきます。


「私……ヘンタイさんなんでしょうか」


「あははー。やーいやーい」


「笑うな!!」


 だって楽しいんですもーん。


「私だって……私だって否定したいですよ! でも、でも! 説明がついちゃうんです! トメさんの周りに女性がたくさんいても抱かなかった嫉妬を、サユカちゃんがいるときだけは抱いてしまった! それはつまり……つまり……」


 はて。


 この前にその話を聞いたときも思いましたけど、なんだか違和感があるのですが。


 はてさて?


「私としてはトメさんが好きだと……思うん、ですけど……」


「いまいち自信がもてないとー?」


「はい……昨日のこともありますし」


「あ、トメさんだ」


 がばっ!!


「うっそーん」


「あ……あなたねぇ!!」


「あははー。まぁまぁ、そんな首を砲丸投げするような勢いで振り向くほど気にしてるっていうことは、好きってことなんじゃないんですかー?」


「そ、そうなんでしょうか」  


 そんな弱気なサラさんの顔を見て、私は思わず勢いよくテーブルを叩いてやりました。


 バン!!


「ひっ!! な、なんですか」


「いえ、なんかびくびくしてたので、ついー」


 あははー、ビクッてなった。ビクッてー。


「も、もう! サカイさん! いい歳して何やってんですか!」


「変な性癖をもつ大人よりはいいと思いますけど」


「あぅ!」


 いくら反撃しようと思っても無駄ですよー。今の状況は、私が相談されている側――つまり、私を呼び出した時点でサラさんに勝ち目はないのです!


「もういいです……遊びたければ遊んでください……私は自分がこれからどうするべきなのかさえ、わかればいいんですから……」


「じゃー警察にいきますかー」


「まだ何もしてません!! そ、そりゃトメさんを追いかけるべきかサユカちゃんと禁断の道を目指すか迷ってますけど!」


 すっかり自分の気持ちを見失っちゃってますねー。


「そうですねー。まぁトメさんとサユカちゃんは一緒にいるとき多いですし、そのときに一緒に追いかけてればそのうち自分の気持ちも――」


 あら?


 あらら?


 一緒に、いる?


 ふと、先ほどのサラさんのセリフが脳裏に浮かびました。


 ――トメさんの周りに女性がたくさんいても抱かなかった嫉妬を――


 この間も同じようなこと、言ってましたよね。


 でも、待ってください。


 トメさんの周りって、そんなに女性いましたっけ?


 いると言えばいますけど、サラさんとテンちゃんってあまり面識ないはずですよね。つまり、サラさんが今まで見てきたトメさんの周りって、小学生の女の子ばっかり? もしくはカツコちゃんやお母さん?


 想像してみましょう。


 好きな男の人。その人に群がる小学生の女子たち。そして姉と母親。


 嫉妬……しますか?


 しませんねぇ、普通に考えたら。


 つまるところ、サラさんの悩み――『周りに女の人がいても嫉妬しなかった』っていうのは当然の反応なわけで。


 悩みすぎなだけで結局は、普通にトメさんが好きなんだと結論づけられるわけで。


「そうですね……わかりました! とりあえず両方追いかけてみます」


 でも勘違いしてるわけで。


「そうですねー。頑張ってください」


 それを教える義理もないわけで。


「えっと、警察、警察っと」


「携帯しまってください! き、気持ちの整理がつくまでは何もするつもりないんですから!」


 からかうとおもしろいわけで。

 

 もうしばらく黙っておくつもりなわけで。


 なんだか見落としがちですが、実際にトメの周りで彼女になりそうなのって言ったらテンカ先生とサラさんくらいなんですよね。

 まぁ、普通に考えたら、の話ですが笑

 サユカちゃん入れても三人……

 禁断の道いれたらカカも?

 伏兵敵にサエちゃんも入るのかな?

 んー……や、モテてるかどうかは置いといて恵まれてはいるのか。

 やっぱトメはあんな感じの誕生日でよかったということで^^


 明日は、そんなトメ君のその後をお届けします笑


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