カカの天下444「公園で遊ぼう、タマ編」
「かーかーあー」
「こらこらタマちゃん。『あ』はつけないの」
「じゃあかかく?」
こんにちは、カカです。念のために言っておくけどお母さんでもないし非売品ですよ。
例によって例のごとく少しの間だけタマちゃんを預かることになったので、今日は公園につれてきてみました。私がかつて遊び倒した玩具で子供らしく遊んでいます。や、今でもたまに遊ぶけどね。
「いくおー」
「おー、いけいけー」
滑り台の上で手を振るタマちゃんに応えながら、私はちょっと心配していた。
お願いだから頭から滑るなんてマネはやめてね? ここの滑り台、結構高さがあるんだから。や、私はやったことあるけどさ。
「てい!」
ボト。
ってその高さから落ちましたよあの子!? 滑らずに、しかも頭から!!
「ちょっと大丈夫タマちゃん!?」
「痛くない」
「ほんと!?」
うわー。前から思ってたけど、つくづく姉並に頑丈なんだよねこの子。
「ぃ、いたくぅ……なぃもん……」
そうでもないか。
「よしよし」
私は優しく頭をなでてあげた。
そしたらパシッと払われて、
「いたいでしょ!!」
涙混じりに怒られたっ!? あ、ぶつけたとこをなでちゃったんだね。そりゃさすがに痛いか。
「ごめんねタマちゃん」
「かかのもぐら! さかな!」
よくわかんないけどけなされてるんだと思う。
「かかのどせい!」
土星!? と、とにかく怒りを鎮めないと!
「ほ、ほら。あそこにシーソーあるでしょ? あれで遊んであげるから」
「ぶーぶー! ぶたしゃん!」
むくれるタマちゃんを引きずり、なんとかシーソーの片側にのせる。
「ほら、いくよー?」
タマちゃんはスリル満点のほうが好きだから思いっきりやってあげよう! そう思って私は勢いよくもう片方に座り、タマちゃんを押し上げてあげた。
ぐん、と心地いい感触。
タマちゃんを見る。
やった、笑顔だ。
笑顔でこっちに向かってくる。
あれ、なんで? あ。勢いつけすぎてタマちゃん飛んじゃったんだ。タマちゃん軽いし、てこの原理ってやつかな。空中を泳ぐタマちゃんは本当に楽しそう。キラキラした表情のまま私に衝突せんと迫ってきたので――
避けた。
ゴズシャァ!
背後で野球選手がスライディングを失敗したような音が聞こえた。
おそるおそる振り返る。
「ぎゃああああああああああああ!!」
本気で泣いていた! この子も泣くことあるんだ……じゃなくて!
「ご、ごめんねタマちゃん。笑顔が猛スピードで迫ってくるのが思いのほか怖くて!」
「セミになったよ! どうしてくれりゅ!?」
セミ!? あ、飛んだってことか。にしたってなぜセミ? ってそんなことはどうでもいいか。
「ごめんごめん、ほんっとーにごめん!! どうしたら許してくれる?」
「死んで」
「それはあんまりだよ!?」
「じゃーもいっかいやって」
「やりたいんかい!!」
はぁ……危険なのはわかってるけど、姫の望みならば仕方あるまい。
私はしぶしぶシーソーの片方にタマちゃんを設置した。さぁ発射のスタンバイだ。
そう思いつつ、念のために普通にシーソーで遊んでみる。
「ちがう!」
やっぱダメか。姫は飛ぶことをご所望だ。
「おしりがちがう!」
多分感触が違うってことなんだと思うけど、他に言い方はないものか。
「わかったよぅ……いくよ?」
「おー」
私は意を決し、思いっきり勢いをつけて腰を下ろした。
タマちゃんのお尻がシーソーの椅子から離れる。さぁ、ここからが本番だ。
私は真正面に飛んでくるタマちゃんの腰をうまいこと掴み――
そのまま勢いを殺しきれず――
視界が反転、背中を反らして――
なんかプロレス技っぽくタマちゃんを地面に叩きつけてもうた。
「みぎゃああああああああああ!!」
「ああああごめんごめんごめん!! タマちゃん大丈夫!?」
「へこんだ!!」
「どこが!?」
「ひじ!!」
「なぜ!?」
やっぱり私、この子苦手……嫌いじゃないけど苦手だよぅ。
でもこんな大騒ぎをしたにも関わらず、結局タマちゃんは無傷だった。
子供ってつよーい。
私もこんなんだったのかなぁ?
今度トメ兄に聞いてみよう。
今日? 疲れたからパス。
タマちゃんの前だとカカも変なことする余裕ないですね。や、ある意味してるかもですが笑
あとそうそう。最近サユカちゃんの出番が少なくて不満を持つ方がいらっしゃるかもですが……誕生日でメイン張るのでご勘弁を^^;