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カカの天下  作者: ルシカ
438/917

カカの天下438「一家団欒+α」

「今日も今日とていい天気だね」


「いい天気すぎて暑いがな……」


「トメ君はだらしがないなぁ。もっとカッ君を見習ってみれば?」


「ふっ、あたしの頑丈さときたらもう核ミサイル攻撃にも勝つくらいよ!」


「そこは負けとけよ、人として」


 こんにちは、最近暑いですね。トメです。


 そんな天気が続いているのに家にいるのは勿体無い! ということで我ら笠原家はプチピクニックへと繰り出しております。と言っても目的地は近所の公園なのですが。


 ま、GWでどこも混んでるだろうし。家族でお手軽にのんびりするには最適な場所なのではないでしょうか。


 おっと、そうそう。笠原家とは言ったけど……


「え、えと、本日はお招きいただきありがとうございます!」


 こんな感じで恐縮してしまっている彼女――サラさんも一緒だったりする。


「あらあら、そんな固くならなくても」


「い、いえっ、その、これって家族公認の仲ということでよろしいんでしょうか!?」


「ふふ、わたしは別にいいかな。でも本人の意思が重要だよ、サラ君」


「ま、まずは外堀から崩すということで」


 なにやら不穏な会話が聞こえた気がするが、内容はよくわからなかった。わからなかったけど……「崩す」と言いつつ姉を見るのはやめたほうがいいぞサラさん。アレを崩すにはほんと核ミサイルでも持ってこないとダメだろうし。


 や、そんなことよりも気になることがある。


「今日のサラさん、胸が見えるね」


「見るな!」


 あ、違うよ? 別にカカの言ったとおりサラさんの胸元が涼しい感じになっているのが重要ってわけじゃないんだよ? ホントなんだからね!


 僕が気になったのは……


「あら、どうしたのトメ君」


「そんなに見つめないでくださいトメさん!」


 母さんとサラさんさ。


 同年代にしか見えないんだよね。


 つくづくうちの母親の若作りは異常だと思う。や、べつに濃い化粧とかしてないから作ってるわけじゃないのか。単純に若いのだ。


 改めてそんなことに感心してるうちに、目的地へと辿りついた。


 やはり太陽が出てると公園の活気が違う。遊びまわる子供たちや散歩するお年寄り、ベンチに座る家族など――陽気だけじゃなく、みんながポカポカしていた。うん、外へ出てきてよかった。


 お花見のときのように適当にシートを広げて場所を陣取り、さぁ何をするか――というところで。


「ふははは! あたしも混ぜろ!」


 姉が現れた。


「あ、あれ?」


「お姉が、もう一人……」


 そう。姉はすでに一緒にいる。なのに姉が再び現れた。


 や、姉の姿をしたバカが現れたと言ったほうが正しいか。


「なにしてんのさ、父さん」


 当然、こんなことをするのはうちのバカ忍者しかいない。


「知れたことを! 俺も家族団らんに参加したい! でも顔を出すのは恥ずかしい! だからカツコの姿で現れたのだ!」


「それじゃあたしが恥ずかしいだろーが、このクソオヤジ!」


「む? 貴様に恥などあったのか」


 僕も初耳だ。


「あ、あんたねぇ……いいよ、今日こそ決着つけてやる!」


「ふっ、いいだろう。勝ったほうが本物のカツコだ!」


 や、あんた勝ったら姉として生きる気ですか。


「公園、親子、ときたらやはりキャッチボールだな。ほれ、受け取れ。音速を超えない限りは壊れない、高級キャッチボールセットだ」


「受けてたつ。でも勢いあまって超えても知らないからね」


 そこは超えとくなよ、まがりなりにも人として。


「ふっ!」


「はぁっ!!」


 ヒュ――ぱぁん!! キュン――ずぱぁぁん!! シュィン――ドカァァァァンン!!


 ……さて。なにやら弾丸を撃ちあってる二匹の変な生物は放って置いて。


「こっちは何する?」


「お母さん、バトミントンやろー!」


「あら楽しそう。でもママ、こういうの苦手なのよね。運動神経なくて」


「私が教えたげるよ、ほらほら早く」


 ほほえましい二人は仲良くシートから離れていった。


 さて。


「何しよっか、サラさん」


「あぅ!?」


 僕ら二人だけ残ってしまったわけですが。


「わ、私たちも勝負しますか?」


「いいよ。何して勝負?」


「えっと……あ!」


 何かないか周囲を見渡したサラさんの視線が花壇で止まる。


「花占いで勝負です!」


「……どうやって」


「占いの結果がどうなるか賭けあう、っていうのはどうでしょう」


 なるほど。花占いといえば簡単に言えばイエスかノーを決めるものだ。そのどちらかに賭ける、というなら単純極まりない勝負だが――


「でもそれってさ、花を見たらだいたい結果わかっちゃうよね」


 花びらが多い花はあまりない。パッと見て花びらが奇数か偶数かを見極めれば簡単に賭けに勝つことができるだろう。


「あ、じゃあ……賭けをしてから私とトメさんで同時に一本ずつ花を選んで、二つの花びらの数をまとめて占うというのはどうでしょう」


 なるほど。無造作に選んだ花が二つとなれば結果はすぐにわかるもんじゃないからな。


「よーし、やってみよう」


 しかし花占いとはまた女の子っぽい……穏やかな陽気の中でやるにはピッタリかもしれないが。


「じゃ、なに賭ける?」


「私がトメさんと結婚できるかどうか!」


 ……オイ。


「私は結婚できる、に賭けます」


「じゃ僕は結婚できないに賭け――」


「私と結婚したくないんですか!?」


 どーしろと。


「じゃあ逆です。私は結婚しない、に賭けますので」


「僕と結婚したくないのか……」


「ああうう、そうではなくて!!」


 ちょっとおもしろい。


 ……しかしまぁ。なんか聞き捨てならない単語が出てるし、あんまり誤魔化すわけにもいかないか。


「あのさ、サラさん」


「はいっ?」


「さっきから結婚とか言ってるけど……本気、じゃないよね?」


「…………ぇ」


 あれ。


 なんだろう。


 サラさんの顔がポストになった。や、タコか。とにかく真っ赤になっちゃった。


「え、えと、えと、家族団欒のところお邪魔しました! そそそその失礼します!!」


 思いっきりまくし立てて走り去っていくサラさん。


 それを呆然と見送る僕。


「な、なんだったんだ?」


「んっふっふ」


 ふと気がつけば隣には姉が。


「きっとアレだね。自分が気づかないうちにプロポーズしまくってたのに、今ごろ気づいたんだね」


「……そなのか?」


「サラさんって走り出すと止まらないっぽいからね」


 あんたが言うな。


「結婚なんて現実感なかったから気づかなかったと見た。なんせデートとか告白とかすっ飛ばして言ってんだから。はてさて、サラさんの本心やいかに!?」


 ……女の心なんかわからんよ、僕は。


「そしてあたしは果たしてどっちのカツコでしょう」


 それもわからん。


 ちょこっとバラバラめですが団欒です。

 騒がしく書こうと思ったんですけど、なんだかユイナさんがいるとカカたちはのほほーんとしちゃって大騒ぎにはならないようです。

 ……え? 二人の姉対決やら走り去るサラさんは充分騒がしい?

 んー。

 どうでしょう笑 


 サラさんの真意については、後日^^

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