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カカの天下  作者: ルシカ
427/917

カカの天下427「頭が痛い」

「ただいまー」


 あれ、返事がないよー? 可愛い妹が帰ってきたのに。


 あ、どうも。可愛い妹です。学校も終わり、サエちゃんサユカンと遊び倒して気がついたら夕やけこやけ、夕飯を楽しみにしながら帰宅したのですが……


「おーい、ただいまだってばさー」


 靴があるから帰ってるのは確実。なのに返事がないのはどゆことだろう。


 私は靴を脱ぎ飛ばし、居間へ行ってみた。


 いない。となると自分の部屋かな。


 てってってーと移動、ノックするの面倒だったので省略してそのままドアを開けると……ビンゴ。


「トメ兄?」


「んー」


 寝てる?


「おーい、ただいま」


「……ん、おか……えり……」


 なんだかすんごくしんどそうだ。


「もしかして朝の、まだ続いてるの?」


「んー」


 今朝のトメ兄はひどかった。顔は白いしフラフラだし歩くたびに頭痛がするのか顔しかめるし……俗に言う二日酔いだね。


「会社ちゃんと行ったの?」


「……ん……二日酔いなんて理由で……あの両親……金くれないし」


 よしよし、えらいえらい。


「頭いて……助けてくれ……」


 お?


「助けが必要?」


「んむ……」


「誰か呼ぶ?」


「んむ……」


「八百屋さんでいい?」


「んむ……」


 よしきた。


 私はトメ兄の部屋を出て電話へ直行した。


 そしてピッポッパ……


「あ、もしもし。笠原ですけど」


『お? カカちゃんかい! どうしたぃ!』


「トメ兄が二日酔いなんです。助けてください」


『あん? なんでうちに言うんだ、んなこと』


「んと……トメ兄がね、辛いときはおっちゃんの顔を見たくなる、って言うから」


『あぁん!? こ、こえぇこと言うな……まぁいいか。今度一緒に飲みに行ってやるかな!』


「その前に助けてよ」


『あぁ、わかった。あとで二日酔いに効きそうな野菜もってってやるよ』


「ありがと」


 カチャリと受話器を置いて、トメ兄の元へ戻る。


「助け呼んだよー」


「んむ……」


「まだ助けいる?」


「んむ……」


「果物屋さんでいい?」


「んむ……」


 よしきた。


 再び電話へてってけてー。


「あ、もしもし。笠原ですけど」


『あらやだカカちゃん? 珍しいじゃないのさ! どうしたの?』


「トメ兄が二日酔いなんです。助けてください」


『あらあらまぁまぁ! だっらしないわねぇ』


「トメ兄がね、辛いときはおばちゃんの顔を見たくなる、って言うから電話しました」


『あら! あら! あっら−!! いやねぇこんなおばさん捕まえて何言ってるのかしらヤーねぇ! でも、でもでも、ちょっと嬉しいから今度デートしてあげようかしら。キャー! 歳がいもなく興奮してきたわ』


「その前に助けてね」


『はいはい、あとで二日酔いに効きそうな果物もってってあげるわ』


「ありがと」


 カチャリと受話器を置いて、トメ兄の元へ戻る。


「助け呼んだよー」


「んむ……」


「まだいる?」


「んむ……」


「食堂でいい?」


「んむ……」


 ほいきた。


 電話電話っと。


「もしもし、笠原ですけど」


『おお、カカちゃんかい。どうした』


『カカちゃんだと!? おい兄貴、俺にも代われよ』


『うるせぇな。俺への電話だぞ』


 あ、向こうに弟さんもいるっぽい。


「あの、実はトメ兄が以下略」


『ほぅ、あのにーちゃんがねぇ。それで俺にどうしろと?』


「トメ兄がね、辛いときはゲンゾウさんの顔が見たくなるっていうから」


『あんだと? けっ……俺の男前ぶりも、てぇしたもんだな』


『すげぇぜ兄貴。だが羨ましくはならねぇな』


『仕方ねぇ……今度デートしてやるか』


 この人もするんだ。


『そしてこう言うんだ。すまねぇ、この思い出を最後に俺のことは忘れてくれ……ってな』


 しかもフッちゃうんだ。


『格好いいぞ兄貴。だが相手が男だと格好つかねぇな』


「でもその前に助けてね」


『仕方ねぇ、身体に優しい料理でも持ってってやるか」


『よし、自分の店に戻るついでに俺が持っていこう』


『てめぇ……そんなこと言って、俺に惚れた男を横取りするつもりじゃねぇだろうな』


『へ、そんときゃ俺のほうが男前だったってだけのこと――』


 長くなりそう。


「とにかくよろしく」


 カチャリと受話器を置いて、トメ兄の元へ。


「トメ兄、まだいる?」


「んむ……」


「酒屋さんでいい?」


「んむ……」


 ほいきた。


 電話電話……ぴぽぱぽ。


「もしもし、笠原ですけど。トメ兄が以下略なんで助けてください。トメ兄が、辛いときはどうしてもおばあちゃんの顔を見たい、って言うもんで」


『ほっほっほ……わかったえ。今度、一緒にホテルにいこうかの』


「ホテル?おいしいものでも食べるの?」


『ほっほっほ、食べるのぉ。わしが』


 よくわかんない


『若いもんは久々じゃ……ごちそうじゃわい』


「とにかくお願いね」


 カチャリと受話器を置いて、トメ兄の元へ。


「あれ、トメ兄。起きたの?」


「ああ……なんとかな。まだ頭痛いけど」


「もうすぐ助けがくるよ。二日酔いに効くものいっぱい持ってきてくれるって」


「おー……ありがとー」


「どういたしまして。あとね、多分ね、トメ兄の商店街の評判あがったよ」


「……なんで? ていうかそもそも誰に助けを」


 ピンポーンと鳴るチャイム。


「来た」


「……何が?」


「じゃ、頑張ってねトメ兄」


 あーいいことした。なんていい妹なんだろう私は。


 満足した私はニコニコしながら自分の部屋へ戻った。


 数分後、なんか玄関で大騒ぎになってた。「誰を選ぶの!?」とか「この浮気者!」とか聞こえた気がしたけどよくわかんない。


 私は眠かった。だからちょっと寝る。


 おやすみなさい。


 トメがひたすら頭を痛くする。

 今回はそんな話です笑


 や、トメカカのやりとりがやっぱ基本ですねー。

 でもなんでこんな話書いたかというと、ただ単に今日の私が二日酔いだったから……それだけだったり笑

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