カカの天下415「変な占い」
ふー……トメです。
「ねね、トメ兄」
夕飯を食べ終わってダラーンとしてるところに、カカが携帯片手にやってきました。
「ん?」
「これやってみて」
カカが見せてきた携帯の画面には、名前や生年月日を入力する画面が。
「占いか何か?」
「うん、KY占いっていうの。流行ってるらしいよ」
「……KY?」
「K(空気を)Y(読む)占いだって。私がたまにサエちゃんちでやってるKYクエストっていうゲームと同じシステムらしいよ」
「へー。カカはなんて出たんだ?」
「えっと、これを教えてくれたカレーの人の占い結果はね」
「なぜ自分のを言わない」
「うるさいな。とにかく、カレーの人はメールで『一生カレーだけ食ってろ、って結果だったの! 最高の褒め言葉だよね!』って喜んでた」
「どんな占いだよ。ていうか何を占ってんだよ」
「いーからやってみなさいって」
「……ああ」
まぁ暇つぶしにはなるか。
「あ、ちなみにね。これ、ふざけたり間違ったりして入力すると即画面が変わって文句言ってくるから」
「は? なにそれ」
「たとえばね」
カカは『星座』の欄に『ししし座』と入力した。
「こんな風に間違えて『し』を多く書いちゃったとするでしょ? すると」
お、画面が変わった。
真っ白な画面。その真ん中には、こんな文字だけが書かれていた。
『笑いすぎ』
……しししっ、って笑い声のことか。
「こんな風にツッコミいれてくれるんだよ。おもしろいでしょ? ししし」
「……はいはい。いいけどさ、その笑い方は怪しいからクセにするなよ?」
「うん。あとね、面白かったのが」
カカは再び星座の欄をいじる。
今度は『便座』
出てきた画面の文字は――
『この便所野郎』
「どう! いーでしょ! いーでしょー!」
「なんで便所にそんな興奮してるのかよーわからんが、たしかに愉快だな」
なんだか本当に画面の向こうに人がいるみたいだ。
「やってみるか」
えーっと。まずは名前を入力。そして性別か。男、っと。
『うそつけ』
「嘘じゃねぇよ!!」
再び変わった画面に思わず全力でツッコんだ。
「あ、たまにそういう冗談も出るから」
「えらい高性能だなこいつ……」
「一回使った冗談はもう出ないから、安心して続けて」
はいはい、そうですか。えっと、次は星座か。
僕はおうし座だから、お、う――
『オゥ!!』
「まだ入力途中だよ!!」
どこをどうやったらこんなプログラムが作れるんだ! ったく。
「えっと、次は好きなものか」
好きなものは、なんだろ。
「妹っていれて」
「えー」
「だって間違いないでしょ?」
「あえて書くほどじゃ……」
「いいから書いて」
「はいはい」
楽しそうにしちゃってまぁ。えー、い、も、う、と、っと。
『さっさと書けよ、素直じゃないな』
「これカカが操作してるんじゃないだろうな!?」
「んーん、してないよ。占いが空気を読んだんでしょ」
おかしい……おかしすぎる。
「とりあえず次の質問は――って、あれ。こんだけか」
意外と短いな。送信、っと。
「何が出てくるかな?」
「お、きたきた」
画面を覗き込む。
『占い結果』
『笠原留、24歳、A型』
あれ、血液型なんか入力したっけ。
『住所は〜』
は!?
『戸籍記録は〜』
はぁぁ!?
『未来の妻は〜』
「待て待て待て!! なんだこれは! いくらなんでもおかしいだろ、っていうか怖っ!」
「空気を読んだんだって」
「イロイロ読みすぎだよ!! なんでこんな個人情報が――」
『好きなもの、パンチラ』
「断じて違うわ!! だいたいさっき妹って書いたろ!」
『妹のパンチラ』
「そうじゃなくて!!」
『と、いうのはもちろん冗談で』
ずるっ!!
「なぁ……この携帯叩き折っていいか?」
「ダメだよ、私のなんだから。それに占いが空気読んだだけだって何度も言ってるじゃん」
「何の空気を読んだんだよ!」
「トメ兄のツッコミ空気じゃない?」
「なんだよそれ……あ、本当の結果でた」
『おもしろかった』
「これコイツの感想じゃん」
「よかったね、褒められて」
『これからもがんばってツッコんでくれ』
「応援されちゃった……や、待て。なんでツッコんでるってわかった!?」
音声認識機能でもあるのか!?
KYシステム……
謎だ。
たまには季節感無視の話も入れないと〜って思ってこんな話書いてみました。
KYシステムって便利(まて