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カカの天下  作者: ルシカ
408/917

カカの天下408「わてわて」

「サユカちゃん遅いねー」


「そ、そだね」


 ドキドキ……あ、カカです。


 何がドキドキなのかというと、いま公園のベンチで待ち合わせ中なのですが……まだサユカンがきておらず、サエちゃんと二人きりなのです。だからどうしたと思うでしょうが、私は今ちょっとした企みを実行しようとしているのです。


 先日、嫁のサエちゃんを裏切ってサユカンとちゅーしてしまいました。私からしたわけじゃありませんが、したことには変わりありません。これではサエちゃんの夫失格です。


 かくなるうえは……そう。


 サエちゃんとも、ちゅーしてしまうのです! わお、私って大胆!


「大ターン!!」


「でっかいターンがどうしたのー?」


「や、なんでもないなんでもない」


 興奮のあまり叫んでしまいました。


 とにかく、サユカンがくるまでになんとかサエちゃんとちゅーしなければ。


 さぁ、どうする?


「サァドゥスルー!!」


「何が作動するのー?」


「やや、なんでもないなんでもない」


 またもや叫んでしまいました。


 落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け――ひっ。


「おちをつけろ!?」


「オチはつかないけど、だーれだ?」


 ああ、いきなり視界が真っ暗になって驚いたけど、サエちゃんがふざけて後ろから目をふさいできたのか!


「ほらほらー、だーれー?」


 後ろから聞こえる楽しそうな声。ここは普通に答えるとおもしろくないからふざけて――あ、そうだ。


 このままの状態で言ってしまうのはどうだろう。さっきから私は緊張していて、ろくなことが言えてない。この後も面と向かって言えるとは思えない。目隠しされた状態なら、顔が見えない状態なら、きっと勢いで!


「さ、さ、サエちゃ! ちゅーしたい!!」


 言った!


 言っちゃった!


 さぁ、サエちゃんの返事は?


「んー? この手がサササエチャ・チューさんの死体の手だってー?」


 誰さ!!


「せいかいー」


 しかも当たってるの!?


「チューさんはね、桜の下に埋まってたんだけど私が掘り起こし――」


「そうじゃなくて!!」


 悪ふざけモードに突入する前に、私はサエちゃんの手を振り払って、後ろを振り返った。


 びっくりした顔のサエちゃんが、目の前にいた。


「私は、サエちゃんと、ちゅー、したいの!!」


 断言した。


 間違えなく聞こえるように。


 そしたら。


「…………ぇ」


 サエちゃんの顔がみるみる赤くなって――って、え? あのいつも余裕でニコニコなサエちゃんが!?


「ぇ、ぇ、ぇぇぇー!?」


 顔を真っ赤にして両手を胸の前でわてわて動かしてる!?


 あああなんか私も恥ずかしくなってきた!!


「えっとー! うんとー! どういうことー!?」


「んとね! えっとね! 言葉通りなんだけど!!」


 私も同じように両手をわてわてとせわしなく動かしながら答える!


「それってー! ほんとにー! わたしとー? ちゅー!?」


「そー! ほんとー! サエちゃんとー! ちゅー!!」


 なぜか運動会でエール交換する人みたいにフレーフレー! バッ! バッ! バッ! と腕を振るサエちゃん! そしてそれにボンボン持ったチアガールっぽくフレーフレー! サッサッサ! と応える私!


「なんでー!? どしてー!?」


 いきなり腹筋しはじめるサエちゃん!


「だってほら! 私サユカンとしちゃったから!」


 続いて腕立て伏せをする私!


「それでー! 私ともー!?」


「じゃないとー! なんか三人のバランス悪い気がしてー!」


 そしていつの間にかわっしょいわっしょいと見えないお神輿をかつぐように腕を動かしまくっている私たち!


 や、なんか恥ずかしすぎて動いてないと落ち着かないんだ!


「きゃ――」


「あ!」


 無闇に動きすぎてバランスを崩したサエちゃんが私に激突!


 そのまま二人で倒れこんで転がって――止まった。


 ちょうどサエちゃんが私を押し倒したみたいな形で。このまえ漫画にあったなーこんなシーン。その後どうなるんだっけ。


 あーそうだ。二人はちゅーするんだ。顔は目の前だし、この上もなくちゅーしやすい体勢だよね……って、ちゅー!?


「か、カカ、ちゃん」


 サエちゃんの可愛い顔が、すごく近くに。


「サエ……ちゃん」


 息がかかる。まばたきできない、その瞳から目が離せない。


「ちゅー、するー?」


「ん……」 


 私はコクリと頷きかけて――


「なにしてんのよ君らっ」


 サユカンの声が耳に入った瞬間に光の速度で立ち上がった。


 その勢いで振り払いそうになっちゃったサエちゃんも、同じく何事もなかったかのように立ち上がっていた……や、見られたくないものを見られたときの人ってすごい素早く動けるもんなんだね!


「な、なんでもないよー」


「そ、そうそう。ちょっとふざけてたら転んじゃって」


「そう? なんかピンク色のオーラとか薔薇の背景が見えた気がしたけどっ」


 なにそれ。


「気のせいだよー。それよりサユカちゃん、遅刻だよー」


「あ、ごめんごめんっ。おいしそうな桜のアイス見つけたのよっ! 一緒に食べよっ」


 はぁ……アイスは嬉しいけど作戦は失敗かぁ。


 でもなぜだろう。


 すんごく危ない道に走りかけてたような気がする。なんだかサユカンに感謝すべきなような……あむっ?


「んむんむ……おいし。へ? サエちゃん?」


 顔を真っ赤にしたサエちゃんがスプーンを差し出した形で……え? 食べさせてくれたの? 


 サエちゃんのスプーンで……え、それって。


「バランスはー……これでー」


「あ、うんうん! バランスはこれで充分だよね!!」


 顔を真っ赤にして笑いあう私たち。


 そうそう、これでいいのさ! 別に唇同士じゃなくても!


 これで充分……幸せ……にへへ。


「あれ? なんだかまた薔薇が見えるわっ」


「サユカちゃん、目がおかしくなったんじゃー」


「二人の顔も薔薇みたいに真っ赤なんだけどっ」


「「気のせい気のせい」」


「……二人とも、何をわっしょいわっしょいしてるの?」


 ……なんか、えらいもん書いてしまった気がする笑

 

 どうも、作者です。えー、これはほら、あれですよ。

 子供のうちはいろいろあるんですよ、うんうん。間違ったり変な道にそれたりしながら成長してくんですよ、はい。

 だから薔薇とか百合とか気にしないでねっ!


 無理か笑

 

 えっと……わっしょいわっしょい!!(ごまかし

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