カカの天下404「カカとしりとり、レベル3」
「しりとりがしたい!」
「そうですか」
「しりとりの『り』からね」
どうも。適当な返事も気にせず勝手にしりとりを始めるような妹を持つトメです。
「リンダ」
「誰だよそれ」
「こないだしりとりしたときトメ兄が言い出した名前じゃん。ほら、続き続き」
そうだっけ……えっと、『だ』だな。だ、だ……
あ、着信音。僕の携帯電話だ。
「悪いカカ。ちょっと電話出るから」
「ダメ」
「ダメって言われても」
「じゃー電話しながらしりとり続けてよ」
なぜそこまでこだわる?
「電話相手は……テンか。なら、まぁいいかな」
「あ、せっかくだからそのまま一人しりとりしてみてよ。一言喋ったらしりとりの続き言うの」
「ん、わかった」
なんでもいいや、テンだし。電話マークをポチっとな。えっと、『だ』からだよな。
「もしもし。ダンボ?」
『誰がダンボだ』
「気にするな、冒険野郎」
『誰も冒険なんざしてねぇよ!』
話が進まない……やりづらそうな顔をカカに向ける。
「んと、『ただし〜』とか、『さらに〜』とかつければいいんじゃないかな」
なるほど、文章をつなげて不自然にならないようにするんだな。
『ま、いいや。オレの用はな、今度の週末飲まねぇかと思ってさ』
次は『う』か。
「ああ、いいぞ。ただし運動不足」
『関係あんのかよ』
「ねーよ。ただしクリスマス」
『クリスマスにはあんのか!?』
「だからねーよ。細かいこと気にするなって言ってるだろ? オッケーだよ。ただしスキンシップ」
『どっか触らせないとオッケーじゃねぇのか!?』
「さらにプリクラ」
『飲みながら触りながらプリクラを撮る気か!?』
「でもランドセル」
『どういう格好でなにさせる気だ!?』
おもしろい……
しばらく遊んでからネタばらしして、テンとは普通に飲む約束をして電話を切った。
「これ、おもしろいね。私もやってみたい」
隣で電話の内容を聞いていたカカが愉快そうに言った。すると……
「お? 都合のいいことにカカの電話も鳴ってるぞ」
「やた! えっと、サユカンからだ」
「じゃあしりとりの『り』をとって『リンゴ』からスタートだ」
「ほいほい、ポチッとな。もしもしゴリラ?」
『誰がよっ!?』
おー。声がこっちまで聞こえてくるわ。
「気にしないでよラッキーボーイ」
『わたしは女よっ!!』
あ、ガールか。そういやさっきテンにも『野郎』って言ったけどそこはツッコまれなかったな。『野郎』で合ってたのか。
『まったくもう……相変わらずわけわかんないんだから』
「だってインド生まれ」
『嘘つきなさいよっ!! インド生まれだと皆カカすけみたいになるっての!?』
「だってレインボー」
『理由になってないわよっ!!』
レインボゥだから……次は『う』かな。
『ともかく……そのっ、昨日はゴメンね。明日からはまたいつもどおりになるから……また一緒に遊ぶわよっ』
「もちろんだよ。実はウソ」
『ウソなのかよっ』
「わ、乱暴な言葉づかいだねサユカン。ダメだよそんなの。でもソレがいい」
『どっちよっ』
「だからダメなんだってば。なぜならインド生まれ」
『インド関係あるのっ!?』
や、予想以上に面白い。
今度みんなにすすめてあげよう。
冗談の通じる相手限定の遊びだけどな、これ。
しりとりやってるって知らなかったらホントわけわかんない電話ですね、これ。
ぜひやってみてください(ぇ