表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
390/917

カカの天下390「女の対決 意地の張り合い編」

 ふぅー、用事終わり。あ、ども。最近はお楽しみ会のことばっかりやってるカカです。


 今日も今日とてセイジ食堂で用事を済ませ、さぁ出ようというところで……とあるテーブルに見知った顔を二つ見つけました。


「なんでここにいるんですかー?」


「……いちゃいけませんか?」


「あー、そうかー。暇なんですねー仕事なくて」


「うぐっ」


「食べてるのが一番安い定食なのも、仕事なくてお金ないからですかー?」


「い、いいですもん! 私もあなたと同じの食べてやりますもん!」


「他人の食べてるのを見てほしくなるなんて、卑しい人ですねー」


「あ、あはは……いちいち嫌味言わなきゃ気がすまないなんて心も胸も小さいですね。大きいのは年齢だけですか」


 なんだろう。最近温かくなってきたのに、あそこ一帯だけ冬真っ盛りな寒さな気がする。


 今日は厚着してないから近づきたくないなぁ。でも仕方ない、せっかくあの人いるんだし、お楽しみ会まで日がないし、声かけちゃえ。


「あの、もしもーし。サカイさんにサラさん」


「「あら、カカちゃん?」」


 うぉ、ハモった。


 そして二人はまた睨み合い始めた。


「なんでカカちゃんのこと知ってるんですかー?」


「あ、あなたこそ!」


「私はご近所さんでずーっと仲良しなんですよー」


「私はクリスマスを一緒に過ごすほどの仲良しです!」


「むー! じゃ、えーと、私なんかカカちゃんの恋人候補なんですからー!」


 オイ。


 私の恋人はサエちゃんだけだぞ。


「じゃあ私はカカちゃんと結婚します!」


「いいえ、私はカカちゃんと一緒の墓に入りますー!」


「その前にカカちゃんを殺して私も死にます!」


「そのときは来世で生まれ変わって私とカカちゃんは結ばれるんですー!」


「私だって来世は――」


「皿かカッパかオカマに生まれ変わるに決まってるじゃないですかー」


「あ、あなただってナマケモノとかドブネズミに生まれ変わるに決まってます!」


 お、おぉ……なんだこの身近にあまりないドロドロした女の戦いは。もっと見たいけど、あまり時間ないんだよね。残念。


「ま、まぁまぁ! ちょっと話聞いて。今日はちょっとサカイさんに用事があって」


「私? 勝ったー!」


「負けた……」


 面倒くさい人たちだなぁ。 


「それでー、私に用事というのはー?」


「はい、サカイさんの持ってる衣装を貸してほしいんです」


 おや、なぜかサカイさんの顔が真っ白に。


「な、なな、なんのことでしょー?」


「サユカンから聞いたんです。いっぱい持ってるんですってね。魔法使いの衣装とか妖精の衣装とか、あと何かのアニメの――」


「いいいいいいいえいえいえ持ってません持ってませんー!」


 私の口を慌てて閉じて、サラさんのほうを伺うサカイさん。しかし遅かったようだ。


「へぇぇぇぇぇ……サカイさん、コスプレが趣味なんですか」


「いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえー! けしてそのようなー!!」


「その歳で? ぷ」


「そのケンカ買ったー!」


 ああんもう、この二人はどんだけ仲悪いのさ!


「待って待って! サカイさんの恥ずかしい趣味は置いといて、私たちにはその恥ずかしい衣装が必要なんです。恥ずかしいとは思いますが協力してくれませんか?」


「うぅー、そんな恥ずかしい恥ずかしいって連呼しなくてもぉー」


「生きてるだけで恥ずかしいんですから、いいじゃないですかそのくらい」


「無職よりは恥ずかしくないつもりですー」


「コスプレおばさんよりマシです」


「おば――!」


 あああああもう!!


「いい加減にしてください! 二人とも私のこと好きなんでしょ! だったら私の言うこと聞け!!」


 しびれを切らして怒鳴りつけると、睨み合ってた二人はなぜか揃ってきょとんとした顔になった。


「「……いや、別にそんなに好きなわけじゃ」」


「じゃあさっき私を取りあってたのは何!?」


「「ノリ」」


 この二人、本当は仲良いんじゃないだろうか。息合ってるし。


「……まぁいいです。とにかく衣装いっぱいあるんだったら貸してくれませんか? コスプレおばさん」


「違うんですぅー! コスプレもしないしおばさんじゃないんですー!」


「じゃあなんで衣装持ってるんですか?」


「なんで二十九歳なんですか?」


 またこの人は余計なことを。


「サラさん、いちいち水を差さないでください。そんなの歳だからに決まってるでしょ?」


「もう歳だって言われたぁぁぁぁぁー!」


「カカちゃんはトドメ刺しちゃいましたね」


「……サラさんって意外と意地悪なんですね。トメ兄に報告っと」


「やめてえええええ! なんでも言うこと聞くからそれだけは! 私の家の家訓で『敵には全力で当たれ、泣いても許すな。叫んでも許すな。涙が枯れたらちょっとだけ許せ』っていうのがあるだけでぇ!!」


 えぐい家だなぁ皿族。血族の間違いじゃないのかな。血まみれな感じの。


「うううぅ……衣装はぁ、なんというかぁ、あの子が着たら可愛いだろうなぁーって妄想するために買ったといいますかー」


「あの子?」


「い、いえいえいえいえいえ! お気になさらずー! 観念して衣装はお貸ししますからー! はぁ……ところでその衣装、何に使うんですかー?」


「今度うちのクラスで劇やるんですよ。お楽しみ会の出し物なんですけど」


 そう言った瞬間、なぜかサカイさんの目の色が変わった。


「用意するー! いくらでも用意するー!! いいのがないなら取り寄せてでも用意するー!!」


「な、なんでそんな意気込んでるのかわかんないけど助かります」


「わ、私も用意します!」


 へ、サラさん?


「伊達にいろんな職をやってきたわけじゃありません。裁縫は得意なんです!」


「おもしろいですー、じゃーどっちがより良い衣装を用意できるか勝負ですー!」


「望むところです!」


「え、あの、そんなにたくさんはいらないんだけど」


 って、聞いてないし。


 うーん……


 私ら、何回ほど衣装替えすることになるのかな? 



 サラさん……当初はおとなしい子だったのに!


 や、まぁ気の許せる人(気を使わない敵?)に対してはこんな感じってだけで基本的に弱気なのは変わってないですけどね^^;

  

 それにしてもこの二人、遠慮なくドロドロなやりとりが書けそうな感じでちょっと楽しかったり。今後もセット登場増えるかも?笑

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ