表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
374/917

カカの天下374「お菓子の逆襲」

「こんにちはー」


「ほいほい……あれ、サカイさん。どしたんですか?」


 首をかしげながらも突然の訪問者を出迎える私の名前はカカです、どうも。


「実はですねー、懸賞でお菓子がいっぱい当たっちゃいましてー、お裾分けしようかとー」


「お! ほんとですか」


 これは嬉しい! 古今東西、お菓子が嫌いな子供はあんまりいないのだ。


「はい、どうぞー」


 ドサッとサカイさんが玄関の床に置いたのは、ダンボールに詰まったお菓子の数々。


「わ、こんなにたくさん当たるなんて……運いいんですね」


「いえいえー、八時間ほどぶっ通しでネットで送れる懸賞に送り続けてたらこれくらいは当たりますよー」


「……サカイさん、ちゃんと仕事してるの?」


「あははー、それではー」


 ごまかすように笑ってササーッと退散していくサカイさん。うーん……サカイさんちはお金持ちっぽいから少しくらい働かなくても大丈夫なんだろうけど、いいのかなアレ。人として。


 ま、いっか。それよりもお菓子が大事!


 ポテチにチョコに柿ピー……種類はバラバラだけど、私は組み合わせとかは気にしないタイプだ。


 今日はトメ兄の帰り遅いから、夕飯までの間にお菓子食べてもいいってお許し出てるし……これはもう食べまくるしかないでしょう!


 居間へとダンボールを運んだ私は早速ポテチの封を空け、猛然とお菓子へと挑みかかった。

 



 一時間後。


 テレビを見ながら、たまに漫画を読みながらひたすらお菓子を食べ続けた結果。


 飽きた。


 各袋に多少の違いはあるにしても、基本はポテチとチョコと柿ピーだ。食べ続けてれば飽きてくる。いつもはトメ兄が一回のおやつで食べる分しかお菓子を買ってこないから、飽きるなんてことは今までなかったんだけど……


「なんか見るのも嫌になってきた」


 軽くげっぷをしながら、まだまだ残っているお菓子の袋を睨む。


「ポテチは塩辛いし」


 いつもはそれがいいんだけど。


「チョコは甘いし」


 いつもはそれがいいんだけど。


「柿ピーのくせに柿の味しないし」


 いつもはそれがいいんだけど。


「うー……もうだめ、いや。お菓子なんて嫌い。見たくもない。あっちいけこのカス! や、ポテチは残ったカスがおいしいんけどさ……むー、はぐ」


 いやいやながら、それでもポテチにかぶりつく。


 出されたもの、封を開けたものは出来る限り残さず食べなさい――そう言われ続けて育ってきたから頑張るしかないのだ。


「むぐむぐむぐ、むぐん」


 いつも少ししか食べられないときは足りないって思うのに、たくさん食べれば飽きてきて嫌になる。


「中間はないのかな、もう! お菓子って嫌なヤツ!!」


 文句を言いながら二枚一緒にポテチを口に入れ、もぐんもぐんと咀嚼した、そのとき。


「んぐむっ!?」 


 ポテチの破片が歯ぐきに刺さった、すんごく痛い! 


「むぅー、むぅー……」


 なみだ目になりながらモゴモゴしていると。


「むぐ?」


 妙な感触がした。口元に手をやると、赤い液体が。


「はなぢ?」


 チョコ、食べ過ぎたから?


 床に血が落ちないように気をつけながら、急いでティッシュをとって鼻につめる!


「ううう、なにさこれ……お菓子の悪口言ったから怒ってるの?」


 ありえないと思いつつ、右の鼻の穴にティッシュつめつつ、私はお菓子を睨んだ。


「このー、お菓子の分際でー!」


 ムカついた私は柿ピーの袋を床に叩きつけた。


 一個のピーナッツが床に当たって勢いよく跳ね返り、そのまま私の左の鼻の穴に入った。


「フゴッ!?」


 びっくりして思わず吸い込んでしまった。


 右につめていたティッシュも吸い込んでしまった。


 えらいことになった。



 

「ただいまー……なにしてんだカカ」


「おかえり。お菓子を拝んでるの」


「どうしたんだその鼻。真っ赤だぞ」


「私の罪の証」


「どこの宗教の話だそれは」 


 私は悔い改めて食い漁る。あぁ、お菓子よ、赦したまえ。


 私は気づいた。お菓子を怒らせたせいで、もしもお菓子と仲良くできなくなったら――どうなる? もうお菓子が食べれなくなったら、どうなる?


 死んでしまうじゃないか!


 というわけで、とりあえず今日だけでもお菓子を敬うことにした。


「よくわからないけど、飯食うぞ? 適当に買ってきたやつで悪いが、すぐ食える」


 そう言いながらさっさとテーブルにパックに入ったカレーとサラダを並べるトメ兄。


 その並べられたカレーとサラダの上に、ぱらぱらーっと。


「なにしてる。そこのトラブルメーカー」


「今日はね、お菓子様の日なの」


「はぁ」


「だからお菓子食べるの」


 砕いたポテチがかけられたカレーとサラダを見て、トメ兄の顔がげんなりした。


「なんだ、この不思議な食い物は」


「いいから食べるの」


「うまそうに見えない」


「それでも罰と思って食べるの」


「僕はその罰を受ける必要ないと思うんだけど」


「そんなの知らないの」


「オイ」


「食べるの」


 ちょっと駄々っ子モードで言い張ると、トメ兄は観念してくれた。


 というわけで。


「「いただきます」」


 …………あれ。


「なぁ、カカ。意外とうまいなこれ」


 やっぱりお菓子様は最高だ。


 逆らってはいけない。 


 このお菓子はフィクションです。

 実際のお菓子はこんなにヤンチャさんではありませんので、ご安心ください。

 でもありえる話ではあります(多分

 みなさん、食べ物は大切にしましょうね^^

「……ね、ちょっと」

 ん? なに香加。

「言いたいことがあるんだけどさ」

 はぁ、よくわかんないけど明日のカカラジじゃダメなの?

「じゃ、それで」

 ふむ、なんでしょうねぇ。なんか怒ってたような気もしますが。まぁ明日になればわかるでしょう。

 ではでは^^

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ