表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
37/917

カカの天下37「妖怪雪降らし」

 ポク、ポク、ポク。


「うーん」


 こんにちわ、トメです。


 僕はいま、朝の布団の中という聖域にて至福の時を過ごしています。いや、冬の毛布って言葉にできない気持ちよさですよね。


 ポク、ポク、ポク。


「うーん」


 気持ちよすぎて、この時期になるとなかなか布団から出られませんよね。特に早く起きる必要のない、今日みたいな日曜日なんかは。


 ポク、ポク、ポク。


「うーん」


 ええ……布団から出たくないんですよ起きたくないんですよ。


 でも、でも……


 ポク、ポク、ポ――


「いいかげんにせんかーい!」


 たまらず僕は身体の上に馬乗りになっていた妹カカを、布団ごと吹っ飛ばした。


 コロン、とうまく転がって受身をとり、カカはてくてくと僕に歩み寄ってきた。


「で、朝から人の頭を木魚みたいに叩いてくれたのはどういう了見だ?」


「や、この叩くやつがたまたまあったから」


「なんでそんなもんがたまたまあるんだ」


「お姉が持ってきたんじゃない?」


 ありうる。あの生物はなんとなく気になったものを拝借して我が家に置いていくという習性がある。ただ、それが人のものだろうと拝借してしまうことがあるのが困りものだ。


 なんでああも常識を無視して自分の感性に正直に生きられるのか、フシギでしょうがない。


「ま、それはいいとして。僕を起こした理由は?」


「にゃい」


「おやすみ」


「うそうそー」


 布団を被りなおした僕を再びカカがポクポクと叩いてくる。別に痛くは無いが、地味に邪魔でなんとなくムカつくな、これ。


「はいはい、なんの用だよ」


「あのね、相談にのってほしいの」


「はぁ、なんの」


「昨日のことなんだけど」


「昨日……って、なんで昨日のことを今日の朝に言うんだよ」


「さっき思い出したから」


「……そか」


 忘れてたくらいなら大した相談じゃないのか?


「私、ずっと疑問に思ってたんだけど」


「うん」


「雪って、なんで降るの?」


 ……少し、思考が止まった。


 考えてみれば気象関係の話なんて小学校低学年じゃまだやらないか。


 雪の降る理由……ねえ。


 簡単に言えば上空で冷やされた水蒸気が凍って、それにまた水蒸気がひっついて――って固まってったものが雪。


 で、重くなって降る。


 降ってるうちに溶けたら雨になって、溶けなかったら雪のまま降る……とかいう感じだったと思うんだけど……


 説明めんどうだ。


「あのな、雪を降らせてるやつがいるんだよ」


 だから僕は適当にでまかせを言った。


「誰が降らせてるの?」


「姉だ」


「あー、降らしそー」


 カカは姉を妖怪かなにかと勘違いしてる節があるので、案の定納得した。


「じゃあ、今度お姉に聞いてみるね。なんで雪を降らしてるのか」


「うん、聞いてみてくれ。なんて答えたかまた教えてくれな」


 さーて、なんて答えてくれるかな?




 その後。


 カカは姉に聞いてみたらしい。そうすると、困惑しつつも一応答えてくれたそうだ。


 なぜ雪を降らすのか……その答えは。


「冬だから」


 ごもっとも。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ