カカの天下369「カカ天クエスト Ep4」
注意:このお話はカカ達がゲームのキャラになりきりながらRPGを進める話です。話の内容はゲームの中ですが、『もしもカカ達が異世界にいたら』みたいな感覚でお楽しみください。
ステータス
カカ ボケ勇者 レベル1 へん
サエ 悪の魔法使い レベル1 はらぐろ
サユカ 手の平の踊り子 レベル1 さびしんぼう
トメ ツッコミ レベル1 つっこみ
スライムという、新たな仲間を加えた一行。
「名前なんにしよっか」
「なんか希望あるー?」
「格好いいのを頼むぜ!」
「どうしよう、カカすけ?」
「じゃーケロリンで」
「……デンジャーケロリンからとったのか? たしかにこのスライムってデンジャーだけど」
「なんだかよくわからねぇが、それは人間どもの世界じゃ格好いい名前なのか?」
「すごくすごく格好いいよー」
「そか。ならそれでいいぞ!」
そんな一行は、やがて近隣の街へとたどり着きました。
「街だ!」
「新しい街っ! うーん、旅の醍醐味よねっ」
「でも大丈夫なのか? 魔物なんか連れてって」
「きっと大丈夫ですよー。ほら」
試しに、とサエは入り口近くの街人に話しかけてみた。
「こんにちはー。私たちって何に見えますかー?」
「あ、はいこんにちは。えっと……ツッコミ、ボケ、マジシャン、踊り子……魔物使いもいるのかな? どう見ても旅の芸人一座ですね!」
「ほらー」
スライムが加わったことにより、一行の勇者度が10下がった!
「なんか変なパラメータ下がってるし……こんなことで僕らは大丈夫なのかね?」
「まーまートメ兄。とにかく私たちが王様の命令を受けてることには変わりないんだし、やるべきことをやろうよ」
「お、たまにはまともなこと言うじゃないカカすけっ!」
「んで小娘。この街でやるべきことってなんなんだ?」
「もちろん窃盗だよ!」
カカはぶっちゃけた。
「王様から命を受けた私たちは法的に無敵! だから早速全部の家に不法侵入して、片っ端から使えるものを盗んでくるのよ!」
「RPGの正しい姿だねー」
「う、うう……常識人としては激しく抵抗があるが」
「トメさん……RPGってそういうものなんですっ! 一緒に地獄の底まで悪の道を歩きましょう!」
「まー魔王とか倒すんなら地獄くらいは行かないとダメだろうしな。こんなちぃせぇこと気にしてたらキリねーぞ、あんちゃん」
「そ、それもそうか」
ケロリンの励まし。トメの良心が5下がった。
「よっし! じゃあ各自、分担していくよー」
とある一軒屋。
「おじゃましまーす」
「な、なんだチミは!?」
「なんだチミはってか! そうです、私が、勇者です」
「……勇者様ですか?」
「うん。だからとっとと出すもん出してもらおうか」
「どんな理屈ですか!?」
「うるさい、この王様の命令書が目に入らぬか!」
「そ、それは……発行された人は何をしても王様のせいにできるという、伝説の!」
「わかったらさっさと使えるもん出せー!」
一行の勇者度が50下がった。
そんな感じで一時間後。
「よし、みんな集合!」
カカの号令によって一行は一旦街の広場へと集まった。
「そんじゃー各自、調達できたブツの確認ね。順番に出してこう。まずは私……」
ごそごそとカカが取り出したアイテムは……
「馬のフンと豚のフンと牛のフンと人のフンを手に入れた」
「どこの牧場いってきたんだおまえは!」
「え、違うよ。行ったのは農家。これが一番使えるからって」
たしかに農家の方にとっては必需品だ。
「このアイテムを入れる、特別な袋ももらってきたんだよ」
一行のアイテム欄に新たな道具袋、『こえだめ』が加わった。
「加わらないでよそんなのっ!」
「む、じゃあサユカンは何もらってきたのさ」
「わ、わたしは……その、萌え要素研究辞典を手に入れたわ」
「……どこでもらってきたの」
「な、なんか通りすがりの人が、素質あるとか言われてっ」
なかなか見る目がある人である。ちなみに道具効果は『読むと魅了が成功しやすくなる』という、踊り子にとっては嬉しいアイテムだったりする。
「サエちゃんとケロリンのコンビは?」
「お金を手に入れたー」
「うん、サエちゃんはどこまでもサエちゃんだ」
所持金は増える一方だ。
「さてさて、トリのトメ兄は?」
「う……うん。い、言っとくがな、タンスの中にあったんだからな! タンス開けたら自動的にアイテム欄に入るから、仕方なく手に入れちゃったんだからな!」
「ずいぶん必死だね、何手に入れたのさ」
「……エロサンタ服を手に入れた」
サユカンは装備した!
「えっ!? なんで!? なんで勝手に装備させられてるの!?」
「そりゃもうサユカンの――踊り子のための装備だからでしょ?」
「エロ度が80上がったー」
「あがりすぎよっ!!」
「ほほー、なかなかいいじゃねぇか。ほれほれ、くるりと回ってみ、スカートふわっとやってみせやがれ。ひゅーひゅー」
ケロリンはオヤジくさい。
「うううぅ。なんでこんなの手に入れてくるんですかぁトメさんっ!」
「そ、そんなこと言われても」
答え、ゲームが空気を読んだから。
「どんな空気よっ!!」
「ピンクな空気?」
「か、カカすけぇっ!! 君、いいかげんに!」
真っ赤になったサユカがカカに襲い掛かろうとした、そのとき!
「大変だー!! 魔物が攻めてきたぞー!!」
街人の悲鳴が響き渡った。
「なに!? それは本当か!」
「じゃあ早速、勇者様に退治してもらおう!」
「そうだな! おらおら勇者! 出てきてさっさと働けや!」
「でかい口たたいてでかい顔してんだからさぞかし強さもでかいんだろうねぇ!?」
「お、お金とられた分働いてもらわないとわりに合わないデス!!」
とことん街人の悲鳴が響き渡った。
「あー……こりゃやるしかないね」
「魔物退治か? でも僕ら、一回も戦闘で勝ったことないのに……」
「大丈夫ですよー。なんのためにいろいろ盗みまくったんですかー」
「そうだぜ、そろえた道具を駆使すれば必ず乗り越えられるってのがRPGのお約束だ! ま。いざとなりゃ俺がいるしな」
「そ、そろえた道具って、ろくなのが無いじゃないのよっ!」
ごちゃごちゃ言いながらも街の入り口に移動した一行が見たものは――街の外からこちらへ向かって砂煙をあげながら突進してくるイノシシ型の魔物の一団だった!
「な、なんか強そうだぞ」
「大丈夫だよ、いけ、サユカン!!」
「きゃっ、ちょっと何す――あぁん!!」
カカに背中を強く押されたサユカは、バランスを崩して転んでしまった。
スカートがふわりと舞った。
『ブヒー!!』
魔物は興奮して立ち止まった。
「おー、さすがサユカちゃん。萌える転び方だー」
「魅了成功だね」
魔物はサユカのふとももから目が離せない!
「よし、みんな。攻撃だよ!」
「お、おう……って、なに配ってんだカカ」
「武器だよ。せーの!」
一行はアイテムを使った!
さまざまなフンが魔物たちへと襲い掛かる。
魔物は全滅した。
「はやっ!! てか強っ!!」
一行のずるがしこさが20上がった!
「む、レベル上がらないね」
「一撃死するアイテム使っても経験値にならないんだねー」
サユカはエロレベルが2になった!
「お、こっちは魅了成功で経験値入ったみたい」
「よかったねーサユカちゃん。パーティの中で一番エロいよー」
「う、嬉しくないわ……っ!」
妙なパラメータばかり上がっていく一行! しかし普通のレベルは上がらない。勇者度はすでに−55! ちゃんとやっていけるのか!?
次回、『初めてのダンジョン』をお楽しみに!
結構人気があるカカ天クエスト、ようやく更新です。
果たして皆さんの期待にこたえられているでしょうか? とりあえずぶっちゃけてめちゃくちゃなのは自信があります笑
次回ーとか書いてるわりには先の予想が私自身も全然読めなかったりします^^;