カカの天下367「主役はどなた?」
「さて、お楽しみ会だけど」
「どんな台本にしよーねー」
お昼休みにウキウキ会議、あちこちそちこち、良い友♪
こんにちは、カカです。今の歌は気にしないでください。
「カカすけー、サエすけー。きたわよっ」
「あ、サユカン。おいでおいで」
「よこそー」
隣のクラスからやってきたサユカンは私が促した席に座り、三人で向かい合って会議スタイル完成!
「さて……サユカンが色々と大変で忘れてたけど、来月のお楽しみ会でやる劇の台本考えないといけないんだよね」
「な、なによっ! わたしは確かに大変だったけど、カカすけもサエすけも似たようなものだったじゃないのっ」
「えー、私はいつもどおり遊んでただけだもーん」
「……そのわりにはずいぶんと大きなケーキ、トメ兄に作ってたよね」
「んぐ、あ、あれはー、そう、実はカカちゃんにあげるのに作ったんだよー。だけど恥ずかしくてー」
なんですと!
「サユカン! なんだかんだで一番いろいろあったのはサユカンでしょ! 私たちはあくまでオマケ! やましいことなんか何一つない!」
「な、なによ急にっ。別にそういうことにしといてもいいけどさっ」
「ふー、カカちゃんって単純。そゆとこ好きー」
「サエちゃん何か言った?」
「カカちゃんが好きだなーって」
「どうよサユカン! このラブラブっぷり!」
「あーはいはいっ、わかったから話戻すわよ! 時間ないんでしょっ」
そーだった。
「それでね、まずはこの劇のタイトルなんだけど」
「私いい提案あるよー」
「はい、サエちゃんどうぞ」
「題してー、『告白はおしっこ』」
「ぶっとばすわよっ!?」
うーん、とてもいい題名なんだけど……
「ほら、一応みんなの意見を全部取り入れた台本にするって約束でしょ。そのタイトルだと難しいんじゃないかな」
「えー、かつてない素晴らしいタイトルだと思うんだけどー」
「かつてもこれからも全くいらないわよ、そんなタイトル! ふんっ、なんでもありなんでしょ!? なら『黒い魔法使いサエ』にでもすればいいんじゃないのっ」
「なるほど、魔法ならなんでもありだね」
「もう何度も言ってるけどー。いいかげんその黒いって言うのやめないー?」
「じゃあ『グロい魔法使いサエ』でっ!」
「ケンカ売ってるー?」
「じゃあ『ゲロい魔法使いサエ』はどうよっ!」
「むしろサユカちゃんにそれ吐かせてあげようかー?」
「じゃ、じゃあ『トロい魔法使いサエ』はどうっ?」
「むー、これはこういう喋り方なんだから仕方ないでしょー」
なんだかなぁ、キリがなくなってきた。
「まぁまぁ。それじゃまず主役を決めようよ」
みんなの要望をまとめた紙を見る限りじゃ、ごちゃ混ぜな劇をやることになりそうだし……ここはやっぱり主役でタイトルを決めるべきだと見た。
あれ、紙の端に主役に関すること書いてある。どれどれ?
『カレーが主役。カレー大活躍』
見なかったことにしよう。
「主役かぁ……あ、ねーねーニシカワ君」
「んー、何か用?」
たまたま近くにいたニシカワ君に声をかけ、ちょいちょいと手招きするサエちゃん。
「ニシカワ君もやるよねー、お楽しみ会の劇。どんなのがいいー?」
「もーなんでもいいよ。あ、でもアヤ坊には歌わせてやってね。じゃないと僕が八つ当たりされるから」
「む、やる気ないね。こないだの会議のときは何か言ってたのに」
「あのときは勢いで言っただけだよ。基本的に僕は口だけだから」
「じゃーニシカワ君の役、適当に決めるよー?」
「どうぞ、僕も適当にやらせてもらうから」
「それじゃニシカワ君は『西の勇者』役ってことで」
その瞬間、ニシカワ君の耳はダンボに。目はギンギラギンになった!
「任せろ! 西は僕に任せろ! 西のありとあらゆる世界は僕のものだあああああ!!」
おお、吼えた、燃えた。やっぱ西に関してはテンション違うなぁこの人。
「んー、そう提案したはいいもののー、ニシカワ君が主役じゃパッとしないねー」
「サエすけ、今更なに言ってんのよっ。もう彼、勇者やる気満々じゃないのっ!」
「勇者が主役とは限らないよー」
「む、それもそうねっ」
うーん、難しいなぁ。
「主役かー……なんでもできる人じゃないとねー」
「というか、どんな展開に巻き込まれてもおかしくない人じゃないといけないわねっ」
「つまりは何でもアリか」
そんなお姉みたいな人がこの学校にいるわけ――
「あー、なんでもアリな人ねー」
「いたわね、そういえばっ」
「はぇ?」
なんで二人とも、そんな意味ありげに私を見るの?
ま、まーさーかー?
楽しみ会の準備、急がないとやばいんじゃないでしょうか。
まぁ、カカたちですし、ノリでなんとかしちゃうんでしょうけど笑 また今後の展開もお楽しみに^^
しばらくのんびり行くので急展開はないと思いますけどね、多分。そう、多分……(意味ありげ?