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カカの天下  作者: ルシカ
361/917

カカの天下361「バレンタインゲーム おまけそのいち」

 バレンタインデー。ゲームの敗者たちの場合。


 よっ、姉だよ!


 たった今みんなを集めてゲーム終了を宣言したとこ! みんなさすがに悔しそうな顔してるね。あ、みんなと言ってもサカイちゃん以外ね。サエちゃんいるし、先に伝えて帰ってもらったのよ。全然悔しそうにしてなかったけど、というか腰押さえて苦しんでたけど。無茶しすぎたとか言って。


「負けちゃったねー」


「ううっ、やっぱりテンカ先生はライバルだったのねっ!」


「トメ兄のはおまけだったし、別にいいや」


「そんなこと言ってカカちゃん、悔しそうな顔してますよ?」


「してないよ! いい加減なこと言わないでよ。皿割るよ?」


「あぅ!? だから私はカッパじゃないので皿は……あれ?」


「どしたのキョロキョロと。皿なくなったの?」


「い、いえ……その、トメさんにあげるつもりだったマフラーがなくて」


「あれ? そういや私のチョコもない」


「あれれー? 私の作ったみんなへのチョコもないー」


「わたしの義理チョコもっ! どこへ行ったの!?」


 はて。


 ちゃんと書いたはずなんだけどな。


「ねーね、なに慌ててんのさ」


「お姉! みんなのチョコが!」


「それならあたしが全部食べたよ」


『……は?』


「紙に書いておいたじゃん。ゲームに負けたらバレンタインに用意したものは全て没収って」


「そんなこと、どこにも書いてなかったと思うんですがー」


「へ? おっかしぃなぁ。ちゃんと紙の隅っこ、虫めがねで見た?」


「見るわけないでしょがっ!! 詐欺広告かっ!?」


「えー! じゃ、私のチョコ……サエちゃんやサユカンにあげようと思ってせっかく作ったのに」


「おいしくなかったよ」


「勝手に食べておいてそれか!!」


「ならよかったー」


「サエちゃんも安心しないでよ!」


「あ、あの。私が作ったマフラーは?」


「食べたよ」


「えぇ!?」


「何驚いてんの。人間って雑食なんだよ?」


「限度があるでしょう!?」


「あたしにはない!」


「威張るな!! あーもー……ごめんね皆。うちのバケモノが迷惑かけて」


「仕方ないわよ……バケモノだもの」


「マフラーを食べる……バケモノ」


 そこのサラさん、しみじみ言われるとちょっとキツイよ。


「大丈夫だよー。こう考えればいいのー」


 お、サエちゃんだけいい笑顔で笑ってる。


「ホワイトデーが面倒くさくなくてよかったー」


「……サエちゃん。私からのチョコ、いらなかったの?」


「わ、わたしのはっ」


「気持ちだけで充分だよー。気持ちだけなら面倒じゃないし」


 おー、いい感じにサカイちゃんっぽくなってるなサエちゃん。


「まーまー諸君! バレンタインデーだからってウキウキしてたら痛い目あうってことよ! もっと気合を入れてゲームに勝てばよかったんだ! だから次、頑張りたまえー」


「こ、このお姉……えらそうに!」


「お姉さん……ちょっと本気でひどくないですかっ?」


「まーまー」


 あれ? なんかサエちゃんだけ味方じゃん?  


 これからもトメがウハウハでダメ人間になるのを防ぐためにイロイロやる予定だし、いっそ皆から睨まれてたほうがやりやすいかと思ったんだけど……


「きっとホワイトデーにすんごくいいものくれるだろうしー、それで許してあげようよー」


 ……は?


「誰が?」


「お姉さんがー」


「誰に?」


「私たち全員にー」


「な、なんで?」


「私たちのチョコを食べたからー」


 ……あ。


「さぞかしイイモノくれるんでしょうねー?」


「い、いや! あれはゲームの賞品として没収したわけで」


「もらったらお返しするのは大人の基本ですよー?」


「う……で、でも」


「もしお姉さんが何もくれないと言うのならー」


 ふん、なに? 殺すとでも言うの? そうね、今回の流行語大賞だもんね『殺す』って言葉。でもね、あたしを誰だと思ってんの。バケモノ・カツコよ!やれるもんならやってみろってんのよ!


「あげなかったら、どうするのさ」


「みんなで無視しますー」


「……え?」


「何を言われても無視しますー。そこらへんに落ちてる空き缶よりも無視しますー。太平洋の真ん中で浮いているかもしれないアメンボよりも無視しますー」


「え、え、そんないるのか不明なものより!?」


「みんなもそれでいいよねー」


「「「うん」」」


 ちょっとちょっと。


 あたしを誰だと思ってんの?


 寂しいと死んじゃう女・カツコよ!?


「そ、それだけはやめてぇ!!」


「つーん」


「え、もう始まってるの? ちょ、ちょっと卑怯よそれ! ねぇカカちゃん! サユカちゃん! なんで目もあわせないの! サラさん? ねぇ、マフラーマフラー呟いてないで反応してよ、そんなトラウマになるほどショックだったの!? ねぇみんな! ごめん! あたしが悪かった! 謝る! 謝るから無視だけはやめてぇ!」

 

 不覚。


 結局あたしは今回の騒動に見合うだけのホワイトデーのお返しを約束させられた。


 サエちゃんに負けた……


 遠慮がない分、もうサカイちゃん超えてるかも……あの子。


 はぁ……


 やっぱ全部食べちゃうのはやりすぎたか。


 ごめんなさい。

 何がごめんなさいかと言うと……あれです。

 バレンタイン投票でもらったので「あ、これやりたい。これも、ああこれがこうして」とか考えてたら……

 おまけを思った以上に思いついてしまいました^^;


 というわけで次回、そしてさらにその次回もバレンタインのおまけになると思います……

 14日すぎてもこんなに続くのもどうかと思ったのですが……書きたいんだから仕方ないです笑 日常編はもうちょっとだけ待ってくださいね^^

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