カカの天下358「バレンタイン・スタンバイ」
時代は手作りチョコだ!
どうも、カカです。そろそろバレンタインですね。去年は適当だったけど、今年は本命の相手がいるので手作りなんかしちゃおうと思います。
本命の相手?
もちろんサエちゃんですよ。
あ、でもサユカちゃんにもあげないと。私としてはサエちゃんの本命チョコと分けたいとこだけど……サエちゃんのほうが豪華だったりしたらサユカちゃん拗ねるからなぁ。
さてさて、そんなわけで早速準備をば。
作ったこと無いから早めにやっておかないとね、というわけで私が頼ったのはコレ!
ラジオ!
『はーい♪ ラジオの前にいる恋する女子諸君、お待たせしちゃったかな? 誰でも聞いただけで超簡単に作れちゃう、バレンタイン特別チョコ作り番組の始まりだよ!』
きたきた。こないだ行ったバレンタインコーナーのとこで宣伝あったんだよね。
正直言って私は料理全般がダメだ。たまーに友達のお菓子作りに参加したこともあったけど邪魔しかしてないのが自慢だ。
そんな私が作れるチョコなんて、溶かして固めるっていうレベルのものしかない。でもいいのだ、愛さえこもってれば!
『さて! 大好きな男子への甘ーいチョコを作ろうと意気込んでる皆に、まずは一言、言わせてもらうよー?』
男子じゃないけど大好きな相手に作るんだ。意気込んでるよ!
さぁ、なんでもこい!
『そんなに好きなら手間暇かけて自分で作れ』
んだとぅ?
プツッ。
それっきり電波が途絶えたのか、ラジオは『ザー』としか言わなくなった。
『イエス、ザー』
「うるさいよ」
なんてラジオだ、こんな暴挙に出るなんて……私や姉じゃあるまいし。しかも言ってることがもっともなだけにすげームカつく。
だがしかし!
こんなこともあろうかと別の策も用意していたのだ!
えと、本、本……あった。
タイトルは『チョコレート太全』だ。何が太いのかはよくわかんない。
えっと、目次を読み読み。あ、これだ。溶かして固める、超簡単なチョコ作り!
そのページを開くと、その冒頭にはでかでかとこう書かれていた。
『大事なイベントをささっと手早く済まそうとする根性なしで腰抜けで愛の足りない哀れな女のためのチョコの作り方』
とりあえず本を床にたたきつけて踏んでやった。
バレンタインってケンカ売る日だっけ?
「……ちゃんと作るかー」
時代は手作りチョコですよー。
こんにちは、サエですー。もうすぐバレンタインということで、チョコをせっせと作成ちゅーなのですー。
「よし、これは高レベルチョコー。カカちゃんやサユカちゃんにあげる用」
いい袋につめつめ。
「よし、これは低レベルチョコー。ごまをすってホワイトデーに期待する用」
普通の袋につめつめ。
「よし、これはクズチョコー。かわいそうな人へのお情け用」
ラップでいいや。まきまき。
「あと……あ、これは派手派手チョコケーキー。カカちゃんとサユカちゃんに『トメさんにー』って見せびらかして焦らせて遊ぶ用」
豪華な箱につめつめ。
「ふふふー……楽しみ♪」
時代は手作りチョコよっ!
「そうよねっ、イチョウさん!!」
「は、はい!? な、なんでしょうかサユカさん!」
「あっ、ごめごめ。気にしないで続けて続けてっ」
「は、はい……では次に――」
最近ノリに任せて喋っちゃうこと多いわ……気をつけないと。
ただいまイチョウさんちでチョコ作りの練習中っ! せっかくトメさんとの仲が近づいたんだもの、このままバレンタインで一気に接近して未来の恋人を確定させるのよっ!
得意そうだからってだけでイチョウさんちに押しかけてまでやってるんだものっ! 気合よっ、気合でがんばるのよっ!
「――と、ここでバットに流し込みまして」
「気合一発っ!」
バキッとバット!!
「さぁ、砕いたバットをどこに流すのっ!?」
「さ、サユカさん、野球のバットなんてどこから」
「気合で出したのよっ! さぁ、これをどこにっ!?」
「そ、そこのゴミ箱へお願いします」
「なんかお尻に似てるわねこのゴミ箱。そっか、これがケツバットってやつねっ」
「サユカさん……少し落ち着きましょう」
「なーんか、皆さん盛り上がってますなぁ」
「ですねー」
「そだな」
んぐんぐ……ぷはぁっ。時代は手作りの梅酒だねっ!!
よ、姉ことカツコだよん。
「で、あんたらはチョコ作ったりせんの?」
「わたしはどうせ影の女ですからー……んぐんぐ、ぷはぁ! ひっく」
「んー、オレはどうすっかなぁ。職員連中にやってお返し期待すんのもアリだが、あんま柄じゃねぇし」
「そんにゃこと言ってー、実はこそこそトメさん用に作るつもりじゃないのかにゃー?」
「あらま。テンちゃんったら、やーらし」
「勘弁してくれよ、んな痒いことやってられっか」
「そんにゃこと言ってー。それなりの理由があれば作ってあげても別に構わないにゃーとか思ってくるくせにー」
「……そりゃ、理由があればな。いい飲み仲間だし、あいつ」
おーおー、我が弟はモテるねぇ。
すごくつまらん。
よし。
「じゃーこうしよう! トメにチョコをあげられるのは一人だけ! そしてその一人には豪華商品を進呈しよう!」
「ほほぅ? なんだよ姐さん、その商品って」
「それはね――」
ごにょごにょごにょん。
「……え? まじで?」
「うわー、すごいカツコちゃん。身も蓋もない商品だー」
「……やるわ、オレ」
「よしっ、カカちゃんたちにも言ってくるわ」
これで弟君がもらえるチョコは一つだけ!
モテ期かなにか知らないけど、人間あまり調子にのらないほうがいいからね。
ま、一個もらえるなら充分でしょ。それで我慢してね、弟くん!
ついでに他の子たちにも仕掛けしとこうかな。ふふふ……そうポンポンとチョコあげられちゃ、あげる相手のいないあたしが気に食わないのよ!
あ? 一応いるか。まぁいいや。たいした相手じゃないし。
全部ひっくるめてゲームにしてやれ!!
今のところの投票数を考えると……トップにトメがいるのは確定かと。そんなわけでこんな展開です!
でも予想以上にいろんな展開の希望票が多かったので……トメのチョコ話以外にも、票数の多かったペアも書いちゃおうと思います。なのでこれから投票する方もトメ以外のペアを選んでも大丈夫ですよ^^
あと、繰り返しますが投票期限は14日の私が書き始めるまでなので、なるべくお早めに^^
何時か詳しく?
……えーと、16時くらいですかねぇ。