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カカの天下  作者: ルシカ
355/917

カカの天下355「大人の恋と子供の恋 前編」

 ……こんばんは、サユカです。


 寝れません。


 眠いのに、寝れません。


 明日はデート。わたしが告白した結果がどうなるのか……不安に押しつぶされそうだったわたしは、深夜になってもモヤモヤしてまったく眠れなかったのです。そこで――


『相談ですかー?』


「はいっ、その、恋愛相談なんですけど」


 節分の日からずっと頬と胸が熱い。風邪でもひいたのかと体温を測ってみたけど問題なし、これは間違いなく心の熱さ。この熱をどうにかして冷やしたかったわたしは電話をかけた。深夜になっても起きていて、話を聞いてくれそうな人に。


『えー、めんどいですー』


「いっつも話を聞いてあげてるんですから、たまにはこっちの話も聞いてくださいよっ」


『サエが絡みますかー?』


「全然っ」


『おかけになった電話番号はただいま興味がありません、ピーッと言うのも面倒なんでこのまま切りますー』


「待たんかいっ!!」


 ぶーぶー文句を垂れる、いい大人のはずのサカイさん。  


『それにしてもなんだって私に恋愛相談なんですかー?』


「だ、だって恋愛の相談できそうな人なんて、サカイさんくらいしかいなくて」


『私ってそんなに恋愛経験豊富に見えますかー?』


「えっ……だってサカイさんってドロドロした恋愛や離婚に疲れ果てたからそんなに腐ったんじゃないんですかっ!?」


『おかけになった電話番号はちょっと怒ってます、ピーッと鳴りましたら遺言を残して――』


「あぁごめんなさいっ!! ちょっと寝不足で本音がっ」


『遺言はそれで終わりですかー?』


「ほ、ほんとにごめんなさいっ! お願いですから話を聞いてくださいっ! ほんと……不安で、寝れなくて」


『んー、仕方ありませんねー。聞きましょー』


 かくかくしかじか説明ちゅー。数分経過。


 話を聞き終わったサカイさんは『ふふふー』と気持ちの悪い笑い方をした。


『トメさん困ってたでしょー?』


「うっ……はい、多分」


『それはそうでしょーねー』


「あのっ! や、やっぱりわたしみたいな可愛くない子に告白されたりしたら、その、迷惑、なんでしょうかっ」


 半分泣きそうになりながら問いかける。


 するとサカイさんは――再び気持ち悪い笑い方をして答えた。


『たとえばサユカちゃんが三歳の子に好きですって告白されたら、困りませんかー?』


「それは、もちろん困ると思います。そんなこと言われても……どうしようも、できませんしっ」


『なんて答えますかー?』


「……答え、られないと、思います」


『なんで答えられないと思いますか?』


「……答え方が、わからないから、です」


『そうですね。だって問題にすらなってないんですもん』


「……えっ?」


『答えっていうものはですね、問題があってこそ成立するんです。「好きです」なんていう言葉は問題じゃありませんよね? 単なる気持ちの吐露にすぎません』


「……はい」


『サユカちゃんはトメさんに「好きです」としか伝えていませんよねー? 好きだからどうしたいか、それをまったく伝えていません。それじゃートメさんが困るのも当然ですよ。サユカちゃんがどうしてほしいのか、それがわからないんですから』


「わたしが……どう、したいか」


 まったく考えてなかった。


 ただただ、トメさんが好きで、その気持ちを伝えることに夢中で――


『サユカちゃんくらいの歳で、同い歳くらいの子に告白すれば、暗に「お付き合いしませんか」という問いかけになるんでしょうけど、歳が違うとそう簡単にはいきません。それはわかりますよね?』


「……はい。さっき、『三歳の子に』って聞いたとき、お付き合いするかどうかなんて、考えもしませんでした」


『トメさんも大人ですからねー。答えは用意してくるでしょー。でもそれを聞く前に、サユカちゃんがどうしたいのか、ちゃんと教えてあげるべきですよー。歳の違う人を好きになったら、「好き」というだけでは片付かないんですから』


 わたしは、どうしたい?


 トメさんが好き。だからどうしたいの?


『今のサユカちゃんはトメさんの気持ちはもちろん、自分の気持ちもわかっていません。それなら不安になるのも当然ですよー。でも片方でも気持ちがわかってれば――不安も少しはなくなると思いますよー』


 そっか。


 わたしは自分の気持ち、わかってなかったんだ。


 熱に浮かされて、わかろうとしてなかった。考えてなかった。あるのは好きという気持ちだけ。それしか見てなくて、これからどうなるか――それを全部トメさん任せにしてたんだ。


『眠れないならちょうどいいじゃないですかー。デートまで――トメさんの気持ちを聞くまでの間に考えてみるといいですよ。自分がどうしたいのか』


「……はい」


 そうだ、考えよう。きっとトメさんはちゃんと考えてくれてる。子供の言うことだと馬鹿にしたりしない。そんなことができない優しい人だから、わたしは好きになったんだから。


 そんな優しい人にばかり考えさせて、わたしが考えないなんて失礼だわっ!


「……サカイさん。すごいです。大人みたいです」


『ふふふー、知りませんでしたかー? 私ってドロドロした恋愛を経験してきた大人なんですよー』


 電話越しなのに、優しく頭をなでられているような気持ちになった。 


『がんばって』


「はいっ」


 さぁ、考えよう。


 わたしの、気持ちを。


 時間は、まだあるっ。


 ……サカイさんがまともに見える(爆


 はい、ここらあたりコメディ要素少なめですが、ここまで読んでいただいている読者様ならご容赦いただけると思います^^ 


 サユカちゃんがどういう答えを出すのか。

 それにトメがどう答えるのか。

 大切に書いてあげたいと思いますので、続きはもう少々お待ちください^^

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