カカの天下353「カカVS姉娘 お姫様ごっこ」
「なーんか最近みんなタイヘンなんだよね」
「じゃーカカはヘンタイー?」
「なんでやねん」
トメ兄の真似してビシッとツッコミ。カカです。
今言ったとおり、サユカンとトメ兄はなんかいろいろ大変みたいだし、姉はなんか企んでるっぽくて相手してくれないし、サエちゃんは今日は用事があるとのことなので……久々にタマに会いにきてみました。
「そういや最近ほんとシュー見ないねー」
「どうでもいー」
「そうですか」
ご家族に聞いてもこれと同じ答えを返すからすごいよね、シューの人望の無さは。ま、たしかに私もそんなことかなりどうでもいいけど。
「じゃータマちゃん。今日は何して遊ぶ?」
「おひめさまー」
「お姫さまして遊ぶのかー。とりあえず何がいるかな」
「おかねー」
「……真理だ」
いくらいるんだろ。
「悪いけどお金はないの。でも私がタマ姫様に仕えてあげるよ。何がしたい?」
「ぜーたく」
なんちゅー子供だ。
「え、えっと、まぁできる範囲でならいいけど……って結局何するんだろ。うーん……ねぇタマ。お姫様って何するもんだと思う?」
「そらとぶの」
どこのお姫様だ? そんな無茶するのは。
「かいてんしながら」
無茶しすぎ。
「やってやってー」
「……え、まじで?」
「うにゅ、おひめさまやってー」
いつからお姫様といえば回転しながら空を飛ぶようになったんだろう。世も末だ。
なんて思いつつギャーギャー騒ぐ姫の言葉には逆らえず……とりあえずタマの両脇を持って抱えてみる。
「えっちー」
「身の程を知れ、えらそうに」
あ、姫だから身の程知ってる発言か、これ。
それにしても子供って意外と重いね……鍛えてる私にとっては持ち上げられない重さじゃないけど。それで、えーと? 回転させながら飛ばすんだよね。
「えい」
投げた。
ちっちゃなタマちゃんは回転しながら放物線を描き――
ゴン! と額から床に激突した。
はて。
私はもしかして、とんでもないことをしてしまったのではないだろうか。
ちょこっと冷や汗をたらしながら、落下した状態のまま固まってるタマちゃんにおずおずと声をかける。
「た、タマ? あたま大丈夫?」
「われる」
冷静だ。
てっきり泣き叫ぶかと思いきや、タマちゃんはむくりと起き上がって私を見上げた。
「すごくわれる」
言い直した。
泣いてはいないけど相当痛いらしい。
「ひ、姫? 怒ってる?」
「んーんー」
首を横に振るタマちゃん。ほっ……よかった。
「じゃー痛いの痛いのとんでけ〜しよっか」
「うにゅ」
「痛いの痛いの〜とんでけ〜♪」
「とんれけ〜」
「どこに飛ばす?」
ビシッと私を指さすタマちゃん。
……やっぱ怒ってんじゃないのさ。
「いたい」
ビシッと指さされ直した。
……相当怒ってんじゃないのさ。
「た、タマ姫! どうすれば許してもらえますか?」
「バク転して」
最近のお姫様はバク転を見ると機嫌が直るらしい。
やってみた。
すごい喜ばれた。
「タマもやるー!」
やらせてみた。
ゴン!!
「ひびわれる」
具体的になった。
――こんな、タマちゃんとの一日。
はい、最近トメとサユカちゃん絡みのお話が続いていたので、ここらで普通のお話をーと思ってタマちゃん話をお届けしました。
……え? トメとサユカちゃんのことが気になるから早く書け? やーほら、何にしたって二人がどうなるかは週末のお楽しみなんですから、そう慌てずに……
って、あれ。
なんか明日カツコが動くっぽい?