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カカの天下  作者: ルシカ
344/917

カカの天下344「罪つくりな言葉たち」

「「いただきまーす」」


 カカと一緒に声をそろえて合掌。トメです。


 今日も今日とて楽しい夕飯の時間となりました。いつも妙なことを言い出してくるカカだけど、今日は一体どんなことを言ってくるのか。


 もぐもぐ。


 もきゅもきゅ。


 ……あれ?


「どしたカカ。なんで喋らないんだ?」


「ん? あ、別に」


 あからさまに僕から目をそらして答えるカカ。なにやら考え込んでいたようだが……ハテ?


 もぐもぐ。


 もきゅもきゅ。


「ね、トメ兄」


「なんだ?」


「一生、私の味噌汁を作れ」


 ようやく顔をあげたかと思えば何言ってんだコイツ。


「……たぶん今のところのカカの人生で飲んだ大半の味噌汁は僕が作ってると思うけど、それがどうした?」


「むぅ、効果薄いな」


「は?」


 聞き返すとすぐにカカはうつむいて、答えてくれなかった。なんなんだ一体。


 もぐもぐ。


 もきゅもきゅ。


「ね、トメ兄」


「なんだ?」


「愛してる」


「ブッ!!」


 味噌汁吹いた。


「な、何をいきなり?」


「や、気にしないで」


 気にするなってアンタさんよぉ、いきなり告白しといてそりゃないんでないかい?


 僕の非難混じりの視線ビームを涼しい顔で受け流すカカ……や、あれだな、たまに「お兄ちゃん大好き」とか言いたくなることもあるんだろうな、うん。きっとその類だ、あんま想像つかないけど。


 もぐもぐ。


 もきゅもきゅ。


「ね、トメ兄」


「なんだ?」


「抱いて」


「ブホッ!!」


 からあげ吹いた。もったいね。


「なな、何を言うとるだチミは?」


「や、気にしないで」


 気になるっての! あれか? もしかして最初のやつもプロポーズの言葉だったりするのか? もしや禁断の兄妹愛!? ま、まさか、サエちゃんLoveなカカに限ってそんな……


「なぁカカ。おまえにとってサエちゃんはなんだ?」


「神」


「僕は?」


「紙」


 よし、いつものカカだ。


 ふむ? となるとなぜにカカはこんなことを言い出してきたのだろうか。 


 もぐもぐ。


 もきゅもきゅ。


「ね、トメ兄」


「な、なんだ?」


「ソース取って」


 ほ、普通だ。僕はそばにあったソースを手に取り、そのままカカに手渡ししてやった。


「ありがと、お兄ちゃん大好き」


「げほっ! げほっ!」


「なぜむせる」


 や、なぜってアナタ。そんなフェイント卑怯デスヨ?


「こ、コホン……なんなんだカカ、もしかして僕に甘えたいのか?」


「思い上がるな」


「ホントなんやねんおまえは!!」


 わけがわからない。今日のカカはいつにもましてワケがワカラナイ!


 ――その後、さらに何度かカカから甘い言葉をささやかれたのだが……ささやいた直後にことごとく扱き下ろされ、一向に甘えてくる気配はなかった。一体なんだったのだろう。




 ――夕飯が終わって自分の部屋へ戻り、私カカは早速サエちゃんに電話した。


「もしもし、こんばんはサエちゃん」


『こんばんはーカカちゃん。どうだった?』


「えっとね、一番トメ兄が動揺した言葉はね――」


 そう、これは調査だったのだ。


 トメ兄に効くのは一体どんな言葉か、それを調べるための。


『よしよしー、サユカちゃんのデート必勝プログラムはもうすぐ完成だよー』


「おー! 楽しみ楽しみ」


 クリスマスにトメ兄とサユカンが約束した映画デートが間近に迫り、動き出した私たち。


 お楽しみ会の台本も考えなきゃだけど、まずはこっちが大事だよね。果たしてサユカンはこのデートでトメ兄とラブラブになることができるのか!?


 考えただけでニヤニヤしちゃうね。


『でー、他にはどんな言葉を言ったのー?』


「愛してる」


『おー、ストレートだねー』


「愛してる」


『はいはいー』


「愛してる!」


『なんで三回言うのー?』


 や、サエちゃんに言ってみたかったもんで。


 突然、家族に「愛してる」とか言われたらどうしますか?

 食事中だったらとりあえず吹くと思います。

 まぁ新婚さんだったり夫婦だったりするとまた違うのでしょうけど笑


 カカたちが言ったとおり、サユカちゃんのデートが迫っています。はてさて、どうなることやら……


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