カカの天下343「お楽しみ会、作戦会議!」
「よーし、号令」
「きりーつ!」
ガラ、と皆と一緒に立ちますカカです。
「礼!」
「「お願いしますぜ、先生!!」」
「まかせとけ!」
「着席!!」
なんか用心棒の先生みたいな挨拶を交わし、始まりました特別授業。
「さて、今日話し合う内容だが……てめぇらも知ってるだろうが、今学期末にはお楽しみ発表会ってぇもんがある。四年生からてめぇらも参加だ。てわけで何するか決めろ」
おー、あれか。春休みの直前にある行事! 体育館に生徒を集めて四年生から六年生までのクラスが順にいろいろ発表していくやつだ。
「知っての通り、発表内容は常識の範囲内ならなんでもいい。歌でも劇でも手品でも……まぁ大抵は劇に落ち着くみてぇだがな」
体育館の狭いステージでできることは限られている。だからおのずと合唱や合奏、劇の三つに内容が集中してしまう。楽をしたいクラスは合唱、もうちょっとがんばろうというクラスが合奏、すごくがんばろうというクラスが劇、といった感じだ。
「うちのクラスが何をするか、そりゃおまえらに任せる。さて、何がやりたい?」
「はーい!」
意外なことに、即行で手を上げたのはサエちゃんだった。
「私とカカちゃんの書いた台本で劇をやりたいですー」
へ? なに? 聞いてませんよ?
「ほほぅ、てめぇら台本なんか書けんのか?」
「最近練習してたんで、できると思いますー」
あ、そういえばこないだ創作話がどうとか聞いてきたっけ。なるほど、これやりたかったんだねサエちゃん。よし、永遠の親友としてはここは応援しなければ!
「大丈夫です、テンカ先生! 教頭が思わず破壊したくなるような台本作ってみせますから!」
「常識の範囲内でやれっつったろうが。聞いてなかったのか」
「はい!」
「いばんな!」
「あと練習中と本番中も忘れます」
「妙な予約してんじゃねぇよ」
「便利な機能でしょ。ビデオの予約より簡単ですよ」
「そらそーだろーが」
ふふふ……面白くなってきた!
「でもま、他のやつらの意見も聞かねーとな。誰か、これの他に意見あるやついるか?」
テンカ先生がそう言うと、ちらほらと手が挙がる。むぅ、私とサエちゃんの愛の劇場を邪魔するのはどこのどいつだ。
「んじゃそこのおまえ、何がやりたい?」
「激闘、西村伝説!」
「おまえニシカワじゃなかったっけ」
「いいんだいいんだー、村を滅ぼすなんて無理なんだーどうせー……しくしく」
何かあったんかニシカワ君。
「ふむ……じゃ、アヤ。おまえは?」
「私のオンステージ!!」
「他のやつらは?」
「みんな裏方で」
「却下」
すごいアヤちゃん。姉みたいな傍若無人だ。
「てめぇ一人で目立ってどうすんだよ」
「えー!? だって偉い人が言ってましたよ? ステージに上がるときは自分以外をじゃがいもだと思えって! だからじゃがいも扱いしたのに」
それきっと意味違う。
「だったらじゃがいもが主食の国はどうなんだ?」
「そこではみんなが主役なんです! あ、なんか良い言葉ですねこれ。みんなが主役!」
「そ、アヤ以外は主役なわけだ」
「アウチッ!?」
「さ、他は?」
「カレー決定戦、上級者向け!」
「却下」
それからもぽつぽつと意見が上がる、が……テンカ先生は面白くなさそうにため息をついた。
「てめぇらな……なんでそう自分勝手なんだよ。もっとこう、全員が『超賛成!』って叫ぶような意見ねぇのか?」
ふむ。
「じゃハーイ」
「ほい、カカ」
「テンカ先生の腹踊り」
「「「超賛成!!」」」
「超却下!」
光の速さで全員が賛成したにも関わらず却下された。横暴だー!
「他! 他にねぇのか!? って、なんだよサエ」
「はーい、意見を言い直します」
え、変えちゃうの? 私たちの愛の劇場!
「みんなの意見を全部入れた台本を書きますのでー、それで劇をやりたいですー」
「「…………」」
反対など出るはずがなかった。
お楽しみ会のお話、スタートです^^
本番は結構先の話。どうやってカカたちが準備していくか……長々とお楽しみください^^