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カカの天下  作者: ルシカ
339/917

カカの天下339「食べ物で遊んじゃいけません?」

「「いただきます」」


 召し上がれ自分、召し上がれカカ。どうも、トメです。


 ただいま夕飯どき。天ぷら盛りあわせとご飯とお味噌汁という和風な献立です。


「むぐむぐ、うん。今日もいい仕事してるね」


「お褒めに預かり恐悦至極」


「ご褒美にエビの天ぷらとかぼちゃの天ぷらを交換してあげよう」


「ありがたき幸せ。で、どっちがほしいんだ?」


 僕の皿にもカカの皿にもそれぞれの天ぷらは一つずつ。つまりどっちかを二つ食べるということだ。僕はどっちも好きだから別にいいんだけど。


「……自分で言っておいてなんだけど、どっちも好きだから決められないや」


 食べ物の好みが合うのはやっぱ兄妹だなー。


「じゃあここは天ぷらさんに聞いてみよう」


 またおかしなことを言い出したよこの妹は。


「私はエビの天ぷら役やるから、トメ兄はかぼちゃの天ぷら役ね」


「は? あ、あぁ、まーいいけど」


 僕かぼちゃね。


「このドテかぼちゃ!!」


「おまえそれ言いたかっただけだろ」


「このおたんこなす!」


「あ、ナスの天ぷら食べたかったか?」


「うん、今度お願い」


「わかった」


 うん、相変わらずよくわからん話の流れだ。 


「ところで天ぷらの『ぷら』ってどういう意味だろ」


「おい、エビの天ぷら役とかいうのはどうした」


「あ、そうだった。コホン……おいおいかぼちゃの天ぷらさんよー、いつまでもプラプラしてないで働けよ!」


 『ぷら』をそこに持ってきたか。えーと。


「なんだよ、そっちこそプリプリ怒るなよな」


「エビがプリプリで何が悪い!?」


 悪くないね、むしろすばらしいねプリプリ食感なエビさんは。


「プリプリがダメとかいうんならブリブリしてやるんだからね」


「何をブリブリするかは知らんがやめてくれ」


 その音なんとなく食欲なくなるだろうが。カレーのときにアレを言うのと同じだぞ。


「ん、飽きた」


「もうかい。自由にぷらぷらしてんのはカカじゃんか」


「我こそはお味噌汁!」


 ほんとフリーダムだねこの子は。


「ご飯さん、私、あなたのことが好きなの!」


「太るぞ」


「素で返さないでよ!」


 あーはいはい。えーっと、そうだな……


「ごめん、僕は他に好きな人がいるんだ!」


「えぇ!? そ、そんな……あなたとはベストパートナーだと信じていたのに!」


 うん、たしかに白いご飯と味噌汁は名コンビだね、でも……よし、ノッてやろう。


「でも、でも僕は……お茶のほうが好きなんだ!」


 ビバお茶漬け!


「おっちゃんが好きなの!?」


 そうきたか、なんの!


「そうだ! 悪いか!?」


 さぁどう返してくる?


「だからトメ兄って彼女がいないのかー」


「ぅおい! そっちこそ急に素に戻るなや」


「彼氏ならいるの?」


「いてたまるか! なにが良くておっちゃんなんか好きにならにゃいかんのだ」


「収入」


 確かにおっちゃんの収入は良いからそれは魅力的、じゃなくて!


「あのね、彼氏彼女っていうのはお金なんか関係なくてね」


「トメ兄お茶漬けにするつもりなんだね」


 聞けや人の話。


「……おぅ、おまえは猫まんまか」


「やっぱこれだよねー。あ、梅干とってきてあげるね」


「お、気が利くね」


 んー、言葉遊びしつつも波乱なく夕飯が進んでいく。楽しいねー、和むねー。


「我こそは梅干!」


「はいはい、お一つくださいな」


「ごめんなさいご飯さん、私、他に好きな人がいるの!」


 あれ、まだ続いてたのか。しゃーないな。


「そ、そんな! 一緒にお茶しようよ梅干さん!」


「ごめんなさい……私、トメ兄が好きなの!」


 あん?


「トメ兄……キス、して……」


 えーと、皆様。


 誤解しないでいただきたい。これは兄妹の禁断の愛なんかではなく、単に梅干のセリフなのです。ほら、キスしようと迫ってくるのはカカじゃなくて真っ赤な梅干です――え、梅干?


「ぶちゅー」


「んむむむ!!」


 酸っぱいじゃないかぁ!!


 や、ただそれだけなんですけどね。


「あは、してやったり♪」


 梅干を離してもいまだに口に残るすっぱさに口をすぼめる。その顔がおかしいのか、けらけら笑うカカ。このやろー、どう仕返しすべきかっ。


 ちょっとした応酬をしながらも、楽しく美味しくご飯をいただく――今日は、こんな夕飯。


 はい、今回は初心に戻って(?)なんでもない場面をダラダラーっと書いてみました。

 基本はやっぱこれですねー。なにげなーくほのぼのーっと。

 あなたのご飯さんはお味噌汁とお茶、どちらを選びますか? ちなみに私の今日のご飯さんはお茶を選びました。

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