カカの天下330「それぞれの野望」
「おはよ、とお久。元気にしてたかてめぇら」
「「おはようございまーす!」」
皆と一緒に大きな声で挨拶! 久々に学校なカカです!
そう、冬休みも終わり、今日から三学期の始まりなのです!
「てめぇらがどんな冬休みを過ごしたかはあとで聞いてやる。とりあえずは出席だな」
「先生はどんな冬休みだったんですかー?」
出席簿を片手に取ったテンカ先生にあえて聞いてみるサエちゃん。でも……
「……聞くな」
ほんと何があったのかねぇ。
出席も取り終わり、クラスの皆でぞろぞろと始業式へ。
まー特筆することのない式でした。教頭が喋んないと面白くないんだよね。
それで再び教室へ。
「さて、宿題の回収だな。だがその前に授業っぽいことしなきゃなんねぇみたいだ。面倒だが」
相変わらず教師のセリフっぽくないなぁ。
「んーとな、あれだ。新年の抱負! それぞれなんかあるだろ。それ順番に語ってけ」
新年の抱負……えっと、つまり今年中にやりたいこととか目標だよね。
「適当に順番に行こう。まずは西革」
「西川です……でもうちから西にある市が村に名前を変えたから、僕は西村になりそうなので――」
「西方向にどんだけ村やら川やら国やらあると思ってるんだ。そんなこと言い始めたらキリねーぞ。西アフリカとかいう名前になったらどうすんだ」
それ国じゃん。
「24(にし)キロ以内が範囲です」
この人も結構よくわかんないこと言うよね。
「それで? 西村になりそうだからどうすんだ」
「その村を滅ぼします」
「やれるもんならやってみろ。はい、次」
うーん、先生ドライだ。
「次はアヤだな」
「CDを五枚作ります」
「やれるもんならやってみろ。次」
はやっ。
「カレーがすべて」
「ソウデスカ。次」
え、今の、抱負?
「えーとですねー、友達がカカちゃんのお兄さんのこと好きなので、その恋を成就させてあげたいですー」
お、サエちゃんだ! うーん、いいこと言うなぁ。
「それから、私の担任の先生もそのお兄さんとくっつけましてー」
……は?
「どっかのお皿も多分くっつけられると思いますので、それもー。そしてドロドロになったところへ、さらに妹に手を出すように仕向けて禁断の愛を育みましてー」
あ、あの、もしもしサエさん?
「そして盛り上がりが最高潮になったところで、私がお兄さんを奪います」
「「最後はおまえが奪うんかい!?」」
私と先生、クラスメイトのツッコミが見事に重なった。
「はい、まさに豊富な抱負でしょー?」
「サエちゃん、それ言いたかっただけでしょ」
「てへ♪」
なんかサエちゃん、私のお母さんと会ってから声マネだのダジャレだの妙にスキルを受け継いでるような……
「カカ、油断するな。サエは『冗談』だなんて一言も言ってない。本当にそのつもりかもしれんぞ」
「ま、まさかー」
「今年が楽しみですねー♪」
む、むぅ……怖い。
「じゃ次はカカ」
「はい? あ、えっと。読書感想文を書き終えたいです」
「それ冬休みの宿題だろが」
「今年中に終わるかどうか……」
「今週中にやってこい。で、今年の抱負ほかにねーのか」
「これを超えないと先のことは考えられません!」
「……じゃ、ついでに今年の抱負も宿題な」
むぅ、宿題が増えてしまった。
冬休みの宿題、読書感想文だけ忘れてたんだよねー。何読めばいいかな……
と、こんな感じに皆の抱負を聞いた後、宿題回収やらなにやらありまして……あっという間に下校時刻。せっかくだし合流したサユカンにも今年の抱負も聞いてみた。
「今年はトメ兄とどこまでいくの?」
「なんでトメさんのことって決め付けるのよっ!?」
「違うのー?」
「そ、そう、だけどさっ」
「でしょー? で、どこまでいくのー?」
「……き、キス」
「「おー!!」」
これは、やっぱあのサンタ衣装を用意するしかないね! さーどうしてくれようか。
……でも私はまず読書感想文か。くぅ、さっさと終わらせてサユカンで遊ばないと!
私は決意を新たにして、二人に聞いてみた。
「ねぇ! 私、何の本を読んだらいいと思う?」
「「常識の本」」
……そりゃないぜ、マイフレンズ。
んー、ほんとどうしよ。
新学期のはじまりはじまりー。
果たして彼女らの目標は叶えられるのか、そしてカカはどんな目標を抱くのか。はてさて……というか全部叶えられたらすごい話になりそう笑
……それもいっか(ぇ