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カカの天下  作者: ルシカ
322/917

カカの天下322「初めての英語」

「うー。つまんにゃい」


「でもいつかはやんなきゃいけないことだろ?」


「サエちゃんやサユカンと遊びたいよぅ」


「だめ、それ終わってから」


 ども、珍しく厳しい口調のトメです。


 カカたちの冬休みもそろそろ終わりが近づいてきたころ。ここで僕はカカに『宿題終わらせなきゃ外出禁止令』を出したのです!


「どうせワーク一冊なんだから、やろうと思えば今日で終わるだろ?」


「そうだけどさー、飽きたよこのワーク。どうせやるなら別の勉強がいい」 


「別のってなにさ」


「うーん、英語とか興味あるなぁ」


 ふむ、まぁ休憩がてらに少し教えるくらいならいいか。


「そうだな。This is a Pen くらい覚えてもいいかもしれないな」


「利子要らずのベン?」


 その気前よくお金貸してくれそうなお方はどこのベンさんですか。


「これはペンです、っていう英語だよ。んー、もっと簡単なほうがいいかな。じゃー……」


 数分後。


「ユーアーペン!!」


 You are Pen! あなたはペンです……用法は間違ってるが、ペンを擬人化したと思えばこれでよかろう。ユーアーのほうが覚えやすいし。どうせ遊びだし。


「ユーアーペン!」


「そうそう」


「ユーアーペン!」


「うまいうまい」


「ユーアーペン!」


「繰り返しすぎ」


「ユーアーペン!」


 そんな何度も「あなたはペンです」って言い聞かせるとは、そのペン、そんなに自分を見失ってるのか。


「ユーアーベン!」


「へ? や、僕はベンさんじゃないぞ」


 利子もなしにほいほい金なんか貸せないぞ。


「まぁいいや、ちょっとトイレに……」


「ユーアー便!!」


「や、たしかに便所いくけどさ」


「ユーアー大便!」


「勝手に決めんな!」


「ユーアー快便!」


「それはちょっと嬉しいが!」


「……あれ? ユーアー便と似たようなことを前に言ったような覚えが……なんだっけ」


 まったくもぅ、楽しそうなのはいいけどちゃんと宿題やれよ? 


 やれやれ、僕はおとなしくトイレタイムを……ふー……う?


 電話だ。


「カカー! 出てくれー」


 やがて電話の電子音が止む。よしよし、ちゃんと取ってくれたな。


「ユーアー関西弁!」


 ちゃんとしてねぇ!


 やばい、早く戻らないと……で、でもまだ発射中だし!


「ユーアー東北弁?」


 しらねーよそんなこと聞いてるなよ! だいたい東北弁ってどんなんだよ!


「ユーアー京都弁どすえ」


 関西弁じゃなかったのかよ! ってあれ、そういや京都って関西かー。ってそんなことはどうでもいい! 相手は誰なんだ……そればかりが気になる!


「ユーアーテン!!」


 がちゃりと電話の切れる音。そっか、テンか。そういや旅行先は京都だったな。よかった……あいつならカカの言動にも慣れてるだろうし。


 無事にトイレを終えて出ると、カカがわざわざ待っていた。


「変な電話しやがって」


 カカは「それを忘れていた」とでも言うかのようにポンと手を打った。


「ユーアー変!」


「変なのはおまえだ!!」


「む、逆の場合はどうするの? アーユー変とか?」


「いいとこはついてるが、それは後で教えよう。それでテンはなんだって?」


「お姉が起こした事件のせいで帰り遅くなるって。一応家族のことだから心配しないように、って電話くれたそうな」


「別に心配なんぞしないが、なんで姉が直接言わないんだよ」


「いま牢屋にいるから話せないんだって」


 はぁ!? 


「ずいぶん帰りが遅いとは思ってたが……また捕まってんのかあの姉は」


「よくやるよねー」


「始業式までに間に合えばいいけどな、テンも」


 まったく、あの姉は毎回毎回……僕が監督しないところだとすぐハメはずすんだから。


「あーゆー並外れたバカにはなっちゃダメだぞ」


「アーユーバカ?」


「なんだとぅ」


「トメ兄があーゆーバカって言ったんじゃん」


 ……ややこしい。


 いいや、英語は置いといて宿題やらせよ。


 ――宿題見るやつが戻ってくればいいけどね。

 

 どうでもいいですが私、小学校のころにローマ字の勉強を怠ったせいで中学の英語ですごく苦労した覚えがあります。

 ローマ字を覚えているかどうか……その差は大きかったなぁ(しみじみ


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