カカの天下320「カルタの言うとおり」
「いざ、ちんちょーに勝負!」
「尋常に、だろ。珍重に勝負ってなんだよ」
「身長で勝負ならカカすけは最下位ねっ」
「いえいえー、チン長、チンの長さかもしれませんよー」
「なによチンってっ」
それなら僕が一番……っていやいや! 初っ端から下品なネタですいません。あ、わからない人はそのままでいいからね。
どうもトメです。今日も今日とて正月休みを満喫するため、カカサエサユカ+僕のいつもの四人で正月らしい遊びをするところです。
今日の遊びは……かるた! 札を床に並べ、読み手が読んだフレーズの頭文字が書いてある札を取りあい、一番多く札を取ったほうが勝ちという古来からの遊びですね。
「さぁ始めよう! トメ兄はこういうの得意だから読み手にまわってね」
「む、僕もやりたかったけど……まぁいっか。じゃあカルタは」
「はいっ! わたし持ってきましたっ」
おー、デンジャーケロリンカルタだ。さすがご町内のマスコット、グッズも手広く出てるんだな。
さてさて、適当に並べまくって、配置について……と。
「そんじゃいくぞ、準備はいいか?」
「「「おう!」」」
や、やけに気合はいってるな。よし!
「犬も歩けば棒にあたる――」
「はいー」
シュパァン! ってはやっ!!
「ま、まけたわっ」
い、いつものんびりゆったりで運動神経なんか見せないサエちゃんが……犬耳はやしたカエルが棒に激突している札をプロもかくやという速度でゲット!
「あははー、運動は苦手ですけど、考えたり覚えたりするのは得意なんですよー」
「あぁ、なんかわかる気がする……あれ、カカは?」
「カカちゃんなら聞いた途端、外へ走りだして――」
あれ、外から何か聞こえる……
ワン! ギャワン! ギャワワン!! おとなしくしなさい! とぉ!! ゴン!! きゃぅん!? きゃ、きゃいんきゃいん……
トトトトトトト。
「ふぅ、ただいま」
「な、なにしてんだカカ」
「犬を棒に当ててきた」
「ぼ、棒のわりにはすごい音したが」
「電信柱だもん」
や、たしかに犬が歩いてて当たりそうな棒といったらそれだけどさ!
「ワンちゃんに可哀想なことしないでよっ」
「大丈夫、やった犬は近所でも札つきの悪だから。カルタだけに」
「おまえ、カルタのルールわかってるのか?」
「わかってるよ。でもこういう遊び方も試してみようかと」
「さすがカカちゃん。新年からチャレンジ精神旺盛だねー」
ふむ……まぁこういうのもアリか。この妹が他にどんな行動をとるのか、ちょっと見てみたくなってきた。
「よし、次いくぞ。念には念を入れる」
「サエちゃんお願い!」
「むーんートーメーちょめちょめー」
「うぁなんか寒気が!? なに、どんな念を送ったの!?」
「南無阿弥陀仏」
「なんでお経!?」
念を入れられてしまった僕が、ここから先の様子を簡単にお届けいたします。
「鬼に金棒」
カカは愛用の木刀を装備した!
「目の上のたんこぶ」
「せーの!」
「木刀おろせ! 本当にたんこぶ作る気か!?」
「骨折り損のくたびれ儲け」
「せーの!」
「木刀おろせっての! ホントに骨折らんでいい!」
「無理が通れば道理が引っ込む」
びしっと親指で自分を指すカカ。うん、そんな感じだ。
「貧乏暇なし」
「シュー君!」
うん、そんな感じ。
「年寄りの冷や水」
バシャッとコップに入っていた水をかけられる僕。
「僕のどこが年寄りだ!?」
「名前が」
「反論できねぇ!」
そんなこんなで最後の勝負。といっても札はサエちゃんが全部シュパンと取ってしまうので、すっかりカカの奇行鑑賞会になっていた。
「と、とれないわっ……うぅ」
「まーまー、おとなしくカカちゃん見てようよ。ポップコーン食べる?」
「じゃ、最後のいくぞー。負けるが勝ち!」
……シーン。
「私の勝ち!?」
「「「もういいよそれで」」」
今日も楽しいなぁ。
はいー、今日も今日とてほのぼの(?)楽しそうですねー。
本当は一寸先の闇とかの行動もしてほしかったけど……犬も歩けば棒に当たるやりたかったので不採用に。まぁ別に両方やっちゃってもいいかとも思いましたが、一応^^