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カカの天下  作者: ルシカ
318/917

カカの天下318「カカ天式年賀状」

「じゃ、また明日ねー」


「一時くらいに遊びにいくわっ」


「待ってるよん、じゃねー」


「気をつけてなー」


 どうも、さきほど辱めを受けたトメです。何をどう受けたかは聞かないでいただきたい。


 初詣も昼食も終わったので、サエちゃんとサユカちゃんは家に帰ることになりました。カカと一緒にぶんぶん手を振りながら見送ります。


「しかしあの格好で帰ったら親御さんはなんて思うかねぇ」


「可愛いと思うんじゃんない?」


 や、それはもっともだが。人の家に行って帰ってきたら振袖姿というのは親御さん的には……ま、いいや。深く考えるのはよそう。


「さっきのトメ兄みたいに」


「余計なこと言うな!」


 ちなみに僕はちゃんと着替えた。というか脱がされ――や、なんでもない。


「じゃ帰るか」


「そだね、お母さんとお父さんはまだ仕事あるみたいだし」


 そのようだ。さっきからひょいひょい僕らを飲み込んでいた獅子舞の姿が子供らに妙にウケたらしく、「僕も」「私も」と大人気になってしまったのだ。おかげで獅子舞はさっきから飲んだり吐いたりを繰り返すハメになった。まるで無茶して酒を飲む若者のようだ。顔赤いしな。


「あの獅子舞の顔、青くなっていかないのかな」


「そこまで細かい芸したら名物になるだろうな」


 僕とカカはそんなくだらないことを話しながら、微かに雪の名残がある道を歩く。


 やがて我が家が見えてくると同時に、郵便受けに何かが挟まっているのが見えた。


「年賀状だ!!」


 毎年恒例のモンですな。


 僕らは家に入り、居間で早速チェックを始めた。


「これと、これ、これがカカ」


「これがトメ兄で、これお母さんで……ね、トメ兄。なんか真っ白な年賀状あるんだけど」


「ああ、それ父さんのだよ。炙り出しなんだ」


「これ表も真っ白だよ。どうやって届いたんだろ」


「自分で走って配ってるんだろ。忍者仲間のだろうから」


 二人で協力してどれが誰の年賀状か仕分けし終わり、ようやく年賀状の拝見タイムに移ることができた。


「さてさてー?お、これサユカンのだ。なになに『去年はお世話になりました、今年もよろしくお願い――』ってすごい普通の文だ! スタンプで押してあるだけだよ、これ。ネズミの絵は手書きで可愛いけど」


「年賀状って普通はそんなもんだろ」


「えー、私サユカンの年賀状、工夫したのに……」


「あれ、僕にきたサユカちゃんの年賀状は全部手書きだぞ? なんかハートばっかだし……」


「おぉ、サユカン新年早々やってくれるね!」


「インク足りなかったのかな。そこを誤魔化すためにハートでカバーか」


「……トメ兄も新年早々言ってくれるね」


 頑張れサユカちゃん。今度会ったときは優しくしてあげよう。


「えっと、これはサエちゃんの、げ――!!」


「どしたカカ。お、僕のもサエちゃんの、ってぇ――!!」


 僕はカカと同じく言葉を失った。


 そこには……いつ撮られたのかまったくわからない、僕の恥ずかしい写真が載っていたからだ! 反応を見る限り、おそらくカカも……


「こ、今年もヨロシク、って感じ?」


「なんか『ヨロシクしないと……わかってんだろうな?』とか脅迫されてる気分だ……」


「さすがサエちゃん、私のよりインパクトのある年賀状だ……負けた」


「カカはどんなの送ったんだ? 去年はやたらと悩んでたが」


「ふふん、今回は手本があったからすぐ書けたよ。大好きな友達に『いつも一緒だよ』っていう言葉をこめて」


「ほぅ、いいじゃん」


「紙面びっしり『好き』って文字書いて、真ん中に『いつもおまえを見ている』って」


「どこのストーカーだおまえは!!」


「去年お母さんに届いた年賀状の中で一番インパクトあったのをマネしてみたんだけど」


 母さん……名前が売れるとこういうの心配だよなぁ。まーそういうのが大得意な職業の旦那がついてるから大丈夫とは思うが。


「サエちゃん、いまごろ受け取ってくれたかなぁ」


「ポイ捨てしなきゃいいけどな」


「サエちゃんなら笑い飛ばしてくれるよ」


「たしかに。お、これはタケダ君か」


「おもしろくない笑えない。ポイ」


「カカはサエちゃんと逆で笑えなかったらポイか……あ、テンのだ。旅行先からわざわざ送ってきたみたいだな。よく元旦についたもんだ。えーと『旅館の刺身、うめぇ』って単なる自慢かよ!」


「これお姉からだ。んと、『やっぱ旅館の名物は事件だね』だって」


「起きたのかよ事件!!」


 もし僕がその場にいれば二時間ドラマになんてならないだろう。『犯人は姉』『凶器は姉』『証拠は姉』これで一瞬で解決だ。


 ――そんなこんなで僕らはいろんな年賀状を眺め、帰ってきた母さんとお雑煮を作って食べて元旦を過ごした。我が家では時間のかかるおせち料理は作らない。多忙な親のためにね。でもその分、新年に一緒にお雑煮を作るというのは大切な恒例行事だったりする。今年は姉がいないし、父さんも相変わらず顔を見せないが……いい新年の始まりには変わりない。


 そう、いい始まりだ。


 だから僕は大凶なんか信じない!


 まだ根に持ってたの? とか言うなよ!!




 おまけ1――サエちゃんの年賀状チェック。


「ただいまー。と、あけましておめでとうございますー」


「あけましておめでとう、サエ。そこにあなたの年賀状置いてあるわよ」


「ありがとー。あ、カカちゃんのだ。なになに……あははー、こんなに『好き』って書かなくてもわかってるのにー。『いつもおまえを見ている』とか幽霊みたいなことをー」


 なんとなく肩ごしに振り返ってみる。


「なんだ、鎧着て血を流してるおじさんしかいないじゃんー。正月だからそういうの多いんだよねー……んー、もしかしてあなた、イメチェンしたカカちゃん?」


「サエー? なに一人で喋ってるのー?」




 おまけ2――サユカちゃんの年賀状チェック。


「ただいまっ! お母さんあけましておめでとう!」


「おめでとう、サユカ。あなたの年賀状そこに置いといたわよ」


「ありがとうっ。えっと、これはサエすけの、ってぇ!?」


 そこにはわたしの恥ずかしい写真がっ!!


「さ、サエすけのヤツ……これでヨロシクとか言ったつもりかしら……あ、これはカカすけの、ってぇ!?」


 そこにはトメさんのイカしたブロマイドが!!


「わ、わたしの友達にはろくなのがいないわね、『おめでとう』も『よろしく』も一言もないなんて……えっと……ふむ、んー、こうっ、とか……こういう風にすると」


「サユカ? なに二つの年賀状を重ね合わせたりしてるの?」


「な、なんでもないわっ!!」




 おまけ3――カカラジの年賀状チェック。


「新年ということで、特別にちょっとお邪魔します。こんカカ」


「留兄。結構きてるね、年賀メール、というか年賀感想」


「そだな香加。やっぱラジオやってるからには、いくつかに返事をしたいところだが」


「でも全部はきついよね」


「確かに。じゃあ私らが一人二枚だけ書いて、読者の方にランダムで送るってのはどうだ」


「そだね、じゃあ一枚は当たりでマトモなこと書いて、もう一枚ははずれで変なこと書こう」


「む、変なこととか僕のキャラじゃないような……」


「いいじゃん、遊び心も必要だよ」


「それもそうか、じゃあ他に書ける人がいないか探してみよう」


「よーっし、何書こうかなー……」


「今から他の人探して書いてもらうとして……今日の夜中には送れるかな。ということで書いてない人でほしい人がいたら急いで書いてねー。文面に『あけましておめでとう』っぽいこと書いてあればオッケーだよ。それではカカばい!」


 と、いうわけです笑

 今日の真夜中あたりに感想の返信と一緒にランダムで選んだ方へ留たちの年賀状を送ります(というか書きます)

 ちょっとした思い付き企画なので、そんな大層なものは期待しないでくださいね^^;

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