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カカの天下  作者: ルシカ
316/917

カカの天下316「カカ天式おみくじ」

 改めまして、あけましておめでとうございます、トメです!


 昨日の年越し騒動も冷めやらぬうちに、今日は朝から初詣とシャレこんでます。もちろんカカサエサユカの保護者として。


 姉とかも誘えばよかったんだろうけど、それは無理な話でした。なぜなら姉、サカイさん、テン、シュー君の四人は年末から温泉旅行に行ってしまっているのだから。湯煙殺人事件とか起きないか心配だけど……そういうわけで今日は四人だけでお参りです。


 さすがに元旦の午前中、まだまだ神社も混んでますな。雪はもうやんじゃったけど。


「お、巫女さんだよ巫女さん」


「拝もー拝もー」


「それ拝む対象じゃないから!」


「なんまいだーなんまいだーっ」


「それ失礼だから!」


「トメ兄に彼女ができますように」


「それ巫女さんに言ったら勘違いされるだろうが!!」


 新年早々こんな感じです。


 騒ぎながらも行列に並んでなんとかお参りを終え、やってきました新年の一大イベント!


 その名も、おみくじ!!


 これをやらないと新年が始まりませんよ!


「私からやる!」


「あっ、カカすけずるい」


「そうだよーカカちゃん。後になるにつれて笑いがとりづらくなるんだからー」


 何の話か知らんが、別に誰が最初でもいいじゃんか。


「ほれほれ、カカやりな」


「やた♪」


 意気揚々と巫女さんにお金を払い、おみくじを引くカカ。


「しょうきちだ」


「あら、普通ねっ」


「や、普通じゃないよこれ」


「は? 普通じゃないってなんだよ。見せてみ」


『正吉』


 誰だよ。


「私も引きましたー、けどこれー」


『忠吉』


 だから誰だよ。


「わたしもひきましたっ、けど、きょう……」


『明日がダメでも凶はいいことあるさ』


 良いのか悪いのかわかんねーよ。


「それじゃ、僕は……」


『大好き』


 どうしろと。


「あの、すいません巫女さん!」


「あ、はい。なんでしょうか?」


「あのですね、このおみくじ――って、サラさん!?」


「あ、本当だ」


「敵っ!」


「サユカちゃん落ち着いてー」


 おみくじを渡してくれていた人がサラさんだと、ようやく気づいて僕らは驚く。あまりに巫女さん姿がハマってて今まで気づかなかった。


「なにしてるんですか、こんなとこで」


「えぅ! そ、その……年末に前の仕事をクビになりまして、転職を」


 またかー、しかし年末にクビになるなんて何したんだ一体。


「それはともかく、あけましておめでとうございます。今年もよろしくです」


「あ、ああ。こちらこそあけましておめでとう!」


「おめでとうございますー」


「ねぇねぇサラさん。拝んでいい? 今年はトメ兄に彼女が」


「サラさんにそれを拝むなカカすけっ!!」


「今年はトメお兄さんに――」


「サエすけぇっ!!」


 ぎゃーぎゃー騒ぎ始めるお子様どもは放っておいて、僕はサラさんにおみくじのことを聞いてみた。


「あ、それですか。実はですね、この神社の神主のお子さんが大変ユーモア溢れる人でして、おみくじでも笑いがとれないかとそんな書き方を」


「それでいいのか神社の息子」


「そ、そうですね。さっきからお客さんにも結構ツッコミを入れられてますし」


「これツッコミどころか苦情もんだろうに」


「でも皆さん面白いって評判ですよ?」


 ほんっと心広いなこの界隈の人ら。


「まぁまぁ、息子さんも神社を継ぐのかまだわからなくて、今はバイトばかりのようですし。どこかのレストランで働いているとか」


 まさかヤツか?


「とにかくですね、ちょっと書き方は違ってもおみくじの内容自体はそのままですので。小吉とか中吉とか」


「サユカちゃんの『明日がダメでも凶はいいことあるさ』っていうのは」


「凶だけど頑張って♪ っていう応援です」


 さりげに優しいな。


「じゃあ僕のこの『大好き』っていうのは」


「それは大凶です」


「うそぉ!? だって大好きとか書いてあるんだよ!? 普通に考えてプラスな言葉でしょ! 大吉じゃ――」


「大凶です。それも特に大きい大凶って聞いてます」


「なんでやねん!!」


 今年初のなんでやねん!!


「えぅ!? そ、そんなこと言われても……おみくじにまで『大好き』とか言われる勝ち組は大凶だ、って神主さんから説明あったんですもん」


 この世の中はそんな奴らばっかなのか!?


「そか……大凶か……初めてひいたけど」


「が、頑張ってください!」


「ふー、楽しかった!」


「楽しかったー」


「疲れたわっ」


 おぅ、騒ぎ終わったかカカども。


「ねね、トメ兄はおみくじなんて出たの?」


 そういえば見せてなかったな。


「これだよ」


「ぶっ、『大好き』だって!」


「だ、『大好き』ですってっ!!」


「サユカちゃん、なんでそんなに驚いてるのー?」


「だ、『大好き』!」


「へ、うん。そうなんだよ、でもこれ大凶みたいでさー」


「大好き!」


「へ、いや、だから」


「大好きっ!!」


「そんな繰り返さなくても」


「そ、そうですねっ、あはは……顔見て言えた顔見て言えた、きゃーっ」


「でも意味伝わってないよー?」


「やることに意義があるのよっ」


「にしてもトメ兄も気づかないもんかねぇ」


 なにやら三人がボソボソ会議してるけど聞こえない。


「うーん、どうしたのかな、あいつら。サラさんどう思います?」


「え、えっと……なんといいますか、ああこれは大凶になっても仕方ないなぁ、なんて」


 なぜにぃ!? 


 むぅぅぅ、納得はいかんが、引いたおみくじがこれだったのだから仕方ない。


 大凶、大凶かぁ……


 今年、がんばろ。


 改めまして、あけましておめでとうございます!!

 やー、リアルのほうはホワイトお正月です笑

 真っ白なスタートをきれるよう、皆さんいいお正月を過ごしてくださいね^^

 ではでは、今年もよろしくお願いします!

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