表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
282/917

カカの天下282「公園で遊ぼう、宝探し編」

「昨日の校長探し、見つからなかったけどあれはあれでおもしろかったわねっ。宝探しみたいでっ」


「じゃー宝探しをしよっかサユカちゃん」


 最近外で遊びにくくなってきましたね。だからこそ反抗心溢れる子供の私、カカはいつもの二人を引き連れて公園へとやってきました。


「サユカちゃんの宝物、この公園内に隠したから探してみてー」


「隠したって、いつの間に? そもそもわたしの宝って何よ」


「私とカカちゃんで作ってプレゼントした、ビーズつきシール」


 あ、最近の私ら二人のビーズ遊びの作品か。どこにでも何回でも貼れるシール飾り、サユカンにプレゼントしたんだよね。


「ふん、残念だったわねサエすけ。あんなチャチなもの、宝物でもなんでもないわよ。それを失くしたくらいで、このわたしが必死になって探すと思ってるの?」


 ガバッ! ガバッ! ガバッ!


「どこよっ!」


「めちゃ必死に探してるやん」


 とりあえず手近に落ちている岩をめくりまくり、勢いに任せて近くで遊んでいた女の子のスカートまでめくるサユカン。宝くじ失くした人でもそこまで必死になるかどうか。


 女の子に頬を染めて謝り、公園内を探しながら爆走し始めるサユカン。それを確認すると、サエちゃんは私に向き直った。


「カカちゃん、やっと二人きりになれたね……」


 ぇ、なにそのドキッとするセリフ。


「カカちゃん」


「な、なに」


 唇がなんか眩しいんですけど、ってどこ見てんだ私。


「今度こそ教えて。校長のこと」


 む、まだ諦めてなかったのか。


「だから、そのことは教えられないの」


「私に隠し事するのー?」


「ぅ……そ、そういう言い方されると困る」


「私よりあの女がいいのね!?」


「そ、そんなことないよ! 私はいつもサエちゃんを一番に!」


「じゃあ話して!」


 なんか昼メロっぽくなってきた。


「教えてくれないと……トメお兄さんにバラすよ?」


「な、なにを」


「カカちゃんが知り合いに片っ端から『トメ兄のここが可愛い』とか『トメ兄のここがラヴい』とか言いふらしまくってるって!!」


「それは勘弁して!!」


 そんな事実はまったくないけどあの兄は絶対に喜んじゃうから!! 私が必死で否定しても生暖かい目で見てきそうだから! ラヴいって何!?


「うぅ……仕方ないなぁ。ちょっとだけだよ?」


「うんうん!」


 あー、すんごい嬉しそうだー、かわいいーなーくそー。


「んとね」


「サエすけっ! どこにもないじゃ――」


「サユカちゃん邪魔! ヒントはトイレー!」


「ぇ、あ、は、はいっ」


 私の話が遮られたのが気に食わなかったのか、さっさとサユカンを追っ払うサエちゃん。


 ちょっと怖かった。サユカンちょっと悲しそうだった。


「さ、続きー」


「イェッサー!!」


「なんで敬礼してるのー?」


 怖い人にはまず敬礼。


「んとね、私も校長のことそんなに知ってるわけじゃないよ。ただ、なんというか、この前たまたま見つけちゃったというか」


「ふむふむ」


「そしたらなんか『謎の校長って格好いいじゃない? だから内緒にしといて』って言われて」


「……なんだかカカちゃん族っぽい考えする人だねー」


 族て。


「カカちゃん、あのさ、勤労感謝のお母さんへの」


「サエすけ! トイレには――」


「ヒントは鏡! ゴー!」


「い、いぇっさーっ!」


 サユカン、今日なんか可哀想だなぁ。


「カカちゃん。勤労感謝のお母さんへの手紙、あの後どうした?」


「へ!?」


 ぎく。


「手紙さー、書き終わったみたいだけど、あの後持ってなかったよね。もしかして」


「食べたの!」


「……へ?」


「食べたんだよ! ほら、知らなかったかもしれないけどさ、私にはヤギの血が流れてるんだ! だから我慢できなくて」


「へー。じゃメーって鳴いてみて」


「メェェェェ」


「ん、可愛いから許そー」


 あれ、許された。なんか意外だ。しかも私っぽいこと言うし。


「あんなに慌てるってことはー、やっぱそうなんだよねー」


「サエちゃん、なんか言った?」


「んーんー。なんにも。じゃーこの話は終わりにして、本当に宝探し遊びしよっかー」


「さ、サエすけさん?」


 トイレから戻ってきたサユカンは怯えている。


「鏡、調べても、その、すいません、見つからなかったんスけど……」


 とことん怯えている。


「んー、なんで人って自分の髪の毛についてるものって気づかないのかなー」


 メガネしてる人が自分の額にかけてそのまま忘れるみたいな感じだよね。


 サエちゃんがぺリ、とサユカンの頭についてたシールを取ってやると、サユカンは愕然とした。


「灯台あたまくらしだねー」


「それだと灯台が頭で暮らしてるみたいだね」


「わ、わたしは……今まで一体なにをしてたの」


「女の子のスカートをめくった後、トイレをじっくり、べったり、舐めるように丹念に調べてたんだよ。無駄に」


「こと細かに言わないでぇっ!」


「いいんだよーサユカちゃんはそれで。うんうん、ラヴいラヴい」

 

 だから、ラヴいって何。


 校長のことについて、色々とメッセージがきたりしていますが……あえてノーコメントとさせていただきます。


 真実はどうなのか、それは今後の展開をお楽しみに!!


 にしてもサユカちゃんラヴいわ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ