カカの天下28「変な歌は好きですか」
一部の人にしかわからないネタを書いてしまいました。
完全に個人的趣味で書きました、ごめんなさい笑
レンタルCDというものがありますね。
まぁ説明するまでもないでしょう。低価格でたくさんのCDが聞ける便利なシステムです。うちの妹カカは結構その手の店を利用してCDを借りてくるのですが……
今日、たまたまそのレンタル品が居間に放置してあったので、あいつはどんな曲聞くのかなーと興味本位で開いてみた。
適当にCDをとりだしてラベルを見てみる。
「なんだこれ」
あまりに変な歌手と曲名に、僕の頭の中はハテナマークで埋まってしまった。
だってさ。
歌手:最強の部活。
曲名:鉈で殴ろう。
これ、おかしいでしょ?
なんか一部だけがわかるネタっぽい気もするけど。
僕は見なかったことにして、他のCDを取り出してみた。
歌手:警察に捕まったやつら。
曲名:警察が捕まれ。
……えーと、なんだこのコメントしかねるものは。
や、確かに最近警察の不祥事が目立ってるけどさ。それにしたって警察に恨み持ってるからって警察捕まれって……まっ正直にも程がある。僕はそんなん好きだ。えーと、他にはないのか?
歌手:ニート。
曲名:働いたら負けかなと思っている。
……うむ、いまどきならこんな歌あってもおかしくないような気がする、なんとなく。でも世間のニートさん達、本当の負けは人生を無為にすることだぞ。だから仕事しろとは言わんがなんか頑張ったらどうかなーと思う。
僕か? 僕は妹と遊ぶことを頑張ってる。ああ頑張ってるさ、羨ましいか。
――さて、とりあえずまともな曲がないことはわかった。
あいつは一体どんな育ち方をしたんだろう。親の顔を見てみたいもんだ。って親はいま家にいないから僕が親代わりなわけで。ってことは僕のせい?
僕が何をしたというのか。
ツッコミしかしてないな。
……ダメじゃん。
「ただいまー」
お、カカが帰ってきた。
ここは一つ、もっとちゃんとした曲を聴きなさいと注意してやるべきだろう。
「おーい、カ」
「嘘だ、嘘だ、嘘だ♪」
なんか歌ってる!
「おはぎを食べれば中に針、外に出れば車にひかれ、皆祟られ狂ってく♪」
ひたすら楽しそうにひたすら妙な歌詞を歌っている我が妹よ……おまえも狂ってるように見えるぞ。いつものことだけど。
「気にいらなきゃバットで殴れ、大きな鉈で頭をかち割れ♪ パックリン♪」
パックリンとか言うな。可愛いのが逆にえぐい。
「殴れ殴れ殴れー裏切り者を鉈で殴り倒すのよーせっかく埋めた死体を、晒さないでほしかったのにー♪ だって賞味期限がきれたナマモノって――」
「か、カカ!」
「お、トメ兄。君の賞味期限は大丈夫かい?」
「なんのだ!? じゃなくて、なんだその歌は!」
「どうでもいいけどいまオトメ兄みたいに聞こえたね。オトメ、乙女……トメ兄が乙女。似合わな。賞味期限切れてるっぽいよね」
「やかまし! そんなことよりなんだ、その教育上不適切な歌は」
「世間で流行ってるやつ」
「うそつけ!」
「えー。賞味期限ヤバイの流行ってるじゃん」
それは普通に社会問題だけどさぁ。
「あのなぁ、もっと普通の歌を聴きなさい」
「普通って何? そんな枠にはめるから人間小さくなるんだよ」
「何様だおまえは」
「お子様だけど」
しばらくそんな感じでカカと言い合っていたけど。
どうしても聞いてみろとうるさいので試しにその曲、鉈で殴ろう、を聞いてみると……意外といい曲だったので僕もダビングしてしまった。実はこの曲、そういった陰惨な運命から逃れようとする曲で、三番あたりの歌詞で救われるのだ。
変な曲、と頭から決め付けるもんじゃないね。
カカは変だけど。