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カカの天下  作者: ルシカ
278/917

カカの天下278「占いの結果は温かく」

 居間でテレビも飽きたので、そろそろ寝るかーって感じのトメです。


 観ていたテレビは、人気ドラマの続編。『初恋はやっぱり実らない? フラれ結ばれエンドレス』だ。なげー初恋である。でもおもろい。カカにも見せよう。


 そんなことを思いながら部屋に戻ろうとしたとき、カカの部屋に明かりがついているのが見えた。


「まだ起きてるのか、カカのヤツ」


 もう結構遅い時間なのにな、ちょっと注意してやろう。


 僕はカカの部屋をノックした。


「おーいカカ、いつまで起きてんだ」


 叱る意味もあるし、このまま入ってしまえ。


「おい、カカ?」


 入ってみると、そこではカカが……


「とめにぃ……」


 泣いてた!?


「天変地異の前触れか!?」


「きいてよとめにー!」


 僕の大げさな言葉に反応することもなく、カカは僕に泣きついてきた。


「占いで悪い結果出た」


「は? ああ、カカのいんちきトランプ占いのことか」


 まだやってたのか。


「インチキじゃないもん!」


「当たった試しがあるのか?」


 僕も何回か無理やり占われたけど、特に当たったことはないんだが。


「当たるんだよ! 例えばね、占いができるようになってから、まずはアヤちゃんに占ったの」


 ああ、たしかアイドル志望の歌うまい子だっけ。


「そしたら忘れ物注意って出てね……次の日アヤちゃん、ガスの元栓を閉め忘れたんだよ!」


 意外と地味だなアイドル志望。


「水難って出た西川君は川に落ちるし」


 ああ、川だけに。


「東の川に落ちるなんて西川の名折れだ! とか文句言うし」


 それは知らん。


「このままじゃ西革に落ちぶれてしまう! とか嘆くし」


 違いがわからん。


「メル友のカレーの人をメールしながら占ったら」


 器用なことするね。


「寒さに気をつけましょうって出て、そしたらカレーの人、『占いおつカレー』とか寒い返事よこすし」


 それはこじつけ。


「占い当たりまくりだよ!」


「サエちゃんやサユカちゃんは占ったのか?」


「二人は私の友達だよ? 怖くて占えないよ」


 他のは友達じゃないんか。


「で、カカの占いはなんて出たんだ」


「明日、病気になるって……喉、ちゃんと鍛えてるのに」


 はぁ……ここまで信じてくれるやつがいればトランプ占いの本を作った人も本望だろう。や、そもそも占いっていうのは……よし。


「ちょっと待ってろ」


 カカの返事も待たずに踵を返し、僕は台所へ向かった。


 えっと……あったあった。


 僕はちゃちゃっと作業を終わらすと、カカの部屋に戻った。


 カカはベッドに座ってしょぼんと肩を落としていた。わかりやすい落ち込み方だ。


「ほい、トメの占いコーナーです」


「……え?」


「この温かいココアを飲めば、風邪をひかないでしょう」


 僕がお盆にのせて持ってきたココアを見せると、カカはきょとんとした表情になった。


「何言ってるのトメ兄。そんなの占いじゃ――」


「占いだよ。カカが占ったろ?」


 僕が何を言ってるかわからないのだろう。訝しげなカカにココアのカップを持たせながら、僕は説明してやる。


「占いっていうのはな、その人に注意を促すものなんだよ。不安をあおるだけなら単なるイヤなやつだろ? 西川君だって、水難とか言われたからなおさら川が気になって近づいちゃったのかもしれないし」


 本に書いてあることをマネしただけの占いに、そこまで信憑性があるかどうかは知らない。ただ――信じる信じないは置いておいて、占いがどういうものかはわかってるつもりだ。


「出た占いの結果を見て、その人が喜ぶにはどうすればいいか、危険を回避するにはどうすればいいか……それを考えてアドバイスしたり、気をつけるきっかけをくれるのが占いっていうものなんだよ。カカの占いにはさっきなんて出た? 病気になるかもしれない、だろ。なら、そうならないようにこのココアを飲んで、温かくして寝ればいい」


 カカはおずおずとココアに口をつける。


「……温かい、おいし」


「そりゃよかった。ほら、それ飲んで布団に入りな」


「うん……そっか。占いって、その人のためにするものなんだね」


「そうそう」


「じゃあトメ兄の占い結果、黙っておこうと思ったけど、言ったほうがいいんだね」


「お、おう」


「家族がやっかいごとを持ってくるでしょう」


「……それを持ってくるのが小さいほうの家族か大きいほうの家族か、それは置いといて……占い師さんや、それについてのアドバイスは?」


「覚悟してください」


 わかりやすいアドバイスをありがとう。


 これはしっかり温かくして寝て、明日に備えるしかないね。


 僕はそう思いながら、自分の分のココアに口をつけるのだった。あーおいし、あったかー。


 占いについてはそれぞれの人で持論があるかもしれませんが、私もトメもこう思ってます。


 信じる信じないは置いといて、とりあえず行動の指針にはしとく。


 占いについては特に深く勉強したことはありません。だから否定する気も肯定する気もありません。

 ただ、もし当たってたときのために気をつけておく、でも当たらなかったときのためにそこまで気にしない。

 まぁ平たく言うと。

 ちょこっと気にするだけ。

 ですかね(笑)

 ココアでも飲みながら^^

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