カカの天下276「カカ天クエスト Ep1」
注意:このお話はカカ達がゲームのキャラになりきりながらRPGを進める話です。話の内容はゲームの中ですが、『もしもカカ達が異世界にいたら』みたいな感覚でお楽しみください。
ステータス
カカ ボケ勇者 レベル1 へん
サエ 悪の魔法使い レベル1 はらぐろ
サユカ 手の平の踊り子 レベル1 さびしんぼう
トメ ツッコミ レベル1 つっこみ
場所:テンカ城。
王様に集められた勇者一向は、魔王討伐に向けて王様のありがたい言葉を聞くことになりました。
「よくきたな、芸人一座」
「誰が芸人だ!?」
「あ? 違うのか。ボケ、ツッコミ、踊り子、手品師といい感じにそろってるじゃねぇか」
「……じゃ王様、この芸人一座で魔王相手に何をしろと?」
「笑いでも取ってくればいいんじゃねぇか? そうすりゃ世界も平和に」
「そんなRPGがあるか!」
のっけからメチャクチャです。
「ま、冗談はともかくとして……てめぇらは魔王を倒すために選ばれた勇者だ。ま、金と装備は適当にやるから適当に頑張ってこい」
「おそれながら、王様」
トメが 出しゃばった!
「出しゃばるって言うな! なんだその戦闘中にありそうな意味がない行動のナレーション!」
「トメ、どこに向かって叫んでんだ?」
「……いえ、なんでも、ありません」
トメは はずかしめを 受けた!
「あー、うるさいなもぅ……」
トメは はずかしい。
「やかましいっての! ともかく! 王様、なぜ僕らのような芸人一座が魔王討伐になんか選ばれたのでしょうか?」
「トメさん……芸人って開きなおったわね」
「ふむ、理由は簡単だ」
王様はさも迷惑そうにため息をつき、カカを睨みました。
「魔王ってよ、カカのねーちゃんなんだよ。妹なら責任とってなんとかしろ。オレは迷惑してんだ」
この上もない理由に、芸人一座は黙るしかありませんでした。
「装備と金は武器庫番の兵士に預けてあるから、とっとと行け」
芸人だか勇者だかわからない一行がしぶしぶ立ち去ろうとした、そのときです。
「王様先生、ちょっといいですかー?」
「どっから先生が出てきたのか気になるが、まぁいい。なんだ手品師」
「私は悪い魔法使いですよー」
「全然悪そうに見えんが」
天使のような可愛らしい笑みを浮かべた魔法使い、サエが今日初めて口を開きました。
「要は魔物や魔王をなんとかしてこいという依頼ですよねーこれ」
「依頼っていうか命令だぞ」
「日給」
「は?」
なんだかメルヘンとは正反対の言葉が魔法使いの口からでましたね。
「日給ください。きちんと契約しましょー。50Gなんて子供のお小遣いはなしですよ。あ、そうそう。もちろん武器も棍棒とかいうしょぼいものじゃなくて、きちんとしたものですよねー」
「おいおい待てよ。なんでオレがそこまでしなきゃなんねーんだ。俺はそいつの姉に迷惑してんだぞ。それにな、オレは民から巻き上げた金で毎日酒を飲まなきゃなんねぇんだ。てめぇらにくれてやるほど余裕は――」
「その民の間で『子供ばかりの芸人一座を、王様はろくに援助もなしに魔物にけしかけて大怪我をさせた』という噂が広まったら、そう簡単にお金を巻き上げられなくなるかもしれませんねー」
「……む」
「きっと民の皆さんも『あの王様ならやりかねん』って納得してくださると思いますがー」
「てめぇらが怪我しないように頑張れば済む話じゃねぇか」
「芸人一座にそんな根性あるわけないじゃないですかー」
サエは 正論を となえた!
つうこんのいちげき!
「あ、ああ! 実はてめぇらはオレが選んだ最高の勇者で――」
「さっきまでの会話はこの魔法道具『録音陛下』でカンペキに録音しています。その中で王様は私たちのことを芸人一座、としか呼びませんでしたよねー。これを民に聞かせれば、どうなるでしょー」
王様は 逃げられない!
「……ちっ、わかったよ。渡す金額と武器のレベルを上げりゃいいんだろ」
「はい、あと雇用契約書ですー」
「前言撤回、確かにおまえは悪の魔法使いだ」
かくして悪の魔法使い一行は、それなりにいい装備とお金を手に入れて冒険へと臨むこととなりました。
と、その前に……
はなす。
「だりぃー」
はなす。
「仕事早く終わんないかな」
はなす。
「今日飲みにいこうぜ。おまえもくるか?」
はなす。
「にゃー?」
「何してんだ、カカ」
「え、いや。冒険前にお城で情報収集を……と思ったんだけど、ろくなこと言う人がいないね」
「あのな、普通に考えろ。見ず知らずの人にいきなり話しかけて、人生のヒントなんかもらえるわけないだろ? ゲームのやりすぎだよ」
「あの、これゲームなんだけど……じゃ、喋るネコとかは」
「ネコが喋るわけなかろう。さ、行くぞ。まずは魔物倒して経験稼がないとな」
「魔物はいるのに……」
わりと身も蓋もない始まりとなったこの物語。
果たして、どんな冒険になってしまうのでしょうか……
はい、無難な始まりでしたね(そうか?
のっけからカカ天ぽくなってはいますが、せっかくのRPG世界、まだまだ話を広げていかないとつまらないですよね。
そんなに頻繁には更新しませんが、このゲームもちょこちょこ進めていきたいと思います^^