カカの天下275「第七回、カカラジ!」
「みなさま、こんカカ! 最近寒いなーと思ってたらもう雪!? ゆき! スノウ! いくらなんでも早いでしょーにホワイトクリスマスの感動もなくなっちゃうよ空気読みなさいよ空! って空気に向かって空気読めっていうのも変な話だよねーなんて思ってる香加です!」
「確かに寒くなるの早すぎだよな、うん。留です」
さてさてお待ちかね、カカラジ第七回の放送が始まりました。
「最近はカカラジが長くなりがちだし、ゲストに来てもらうのは後にしようってことになりました」
「えー! えー! 今回のゲストなら最初から最後までならずレギュラーになってくれてもいいのに!」
「あたしもレギュ――」
「引っ込め」
げし、ひゅー……と前回に続いて落ちていく括弧。
「えーっと、これはネット小説『カカの天下』を盛り上げるため、ぶっちゃけトークや作者の本音などを放送する情報ラジオみたいな番組です! 私たち香加、留兄、何階から落ちても死なないどっかのバケモノは本編自体とは関係ないのでお気をつけください」
「よし、んじゃCMにいこー」
今回はテンポ早いなぁ。ほいCM。
「どうも、新人アナウンサーの沙羅と申します。えーとですね、実は今回、新しく開店したというスーパーにきていま――」
「30グラムでいいからさー!」
どどどどどどどどどどどどど!
「……なに、いまの。あっ、いえ、えっとですね! 今回は新しく――」
「たっぷりよこしなさーい!!」
どどどどどどどどどどどどど!!
「――新しく開店したスーパーは30グラムをたっぷりよこしなさい、じゃなくて、あの、その」
「カット!! 沙羅ちゃん、なにその意味不明な脅迫文! 全然ダメじゃない。もうテープないんだよ?」
「ご、ごめんなひゃい! あ、噛んじゃった……でも、30グラムが――」
「た、食べられるうううううううう!!」
「の、飲まれるううううううううう!!」
どどどどどどどどどどどどど!!
「えっと……こほん! 30グラムがたっぷり飲み食いできるスーパーです、ぜひどうぞ♪」
――あの、これ没のテープじゃないっすか?
――あぁそうだよ! なにしてんだ放送止めろ! ったく、誰だテープ間違えたやつ!
――わ、私、です……
――なんでアナウンサーの沙羅さんがこっちの仕事までやってんの!? 君クビ!!
――えぅ!?
「なんだ今のは」
またもや放送事故?
「私映ってた!」
「あ、ああ……アナウンサーの後ろをものすごい勢いで駆け抜けてったの、やっぱおまえか。それにしてもアナウンサーの人、前に皿売ってなかったっけ」
皿を割りすぎてクビになり、転職したそうです。
「ああ、この間割ったのが初めてじゃなかったのね……ま、それは置いといて。改めましてこんカカ、留です」
「香加です。そして!」
「こんにちはー、ゲストに呼ばれました、小枝ですー」
きゃー! きゃー!! とはしゃぐ香加。やかましい。
「小枝ちゃんようこそー! みんな読めるよね? サエちゃんだよ! サエちゃん!」
「そう。だから前回までのゲストと違って、波乱な展開にはならないはずだ!」
「香加ちゃーん」
「なに、小枝ちゃん♪」
「香加ちゃんってさー、私のこと好きなんだよねー」
ピシリ、と凍りつく収録現場。
「え、と、その」
「好きなんだよねー」
「いやその!」
「キスしたい?」
「えええぇえぇ!?」
「したいんでしょー?」
「あのそのえっとのなにぬねの!?」
「あー、そういやそうだよな。沙由歌ちゃんだってトメのこと知ってるんだから小枝ちゃんも当然……」
前回と違って今回は香加がターゲットですね。
「かーもーんー♪」
「そ、そこまで言うなら遠慮なく!」
「待った! 放送禁止にする気か!?」
「そこまではしないよ!」
「どこまでするんだよ!!」
「あーれー♪」
誰をゲストに呼んでも、結局暴走するのね……
「ストップ! もうお便りコーナーなんだから、ちゃんと進めなさいよ! なんならあたしが――」
「それはもっともだが! あんたがいると更にややこしくなるから引っ込んでろ!!」
どかん! ひゅー……
「なんか冷めちゃったねー、冗談はこのくらいにして進めようかー」
「え、冗談だったの?」
「別に冗談じゃなくてもいいんだけどー?」
「えーっと、その、あ、あとでね?」
後でナニをするのか妙に気になりますが。
「おたより紹介するぞー? いいかー? いいな。よし。えーまずはカカラジネーム『白石』さんから。『なんでトメとカカばっかり出るんですか?』という質問」
「だってカカの天下だもん」
「テンカの天下じゃないしね」
「総理大臣の天下でもないよねー」
「なんか政治とかの話になりそうだな、そのタイトルだと」
というわけで『白石』さん。答えは『主人公だから』です。
「次は私読むね。カカラジネーム」
と言いつつ投稿というわけではなかったのですが、質問ということでこちらでお答えいたします。
「えー『魔王姉に勝てない弟』さんから。『姉には頭が上がらないんですけど、どうしたらいいんですか? トメ様に質問です』だってさ。どうなん留兄」
「頭を上げるな」
「……それでいいの?」
「それが無難。適当に下げて適当に付き合うが吉」
「つまらない答えですねー」
「それでうまくやっていけるなら、それに越したことないだろ。出る杭は打たれる――頭を上げたって姉にどつかれてまた凹むだけよ」
「小枝ちゃんならどする?」
「あの手この手で無理やり頭を下げさせるー」
どの手? いや、怖いから聞かないでおこう。
「でもさ、なんだかんだで留兄はお姉に頭上がらないわけでもないよね」
「あれは上の存在というより異空間の生物だしな。厄介なだけだし、頭を上げず、下げず、使いもせずに、ほっとくのが一番なんだよ」
ホント無難ですね。まぁ無難に普通な人じゃないと他人にぽんぽんツッコミ入れらんないか。
「さ、どんどん行こう。次は僕が読むぞ。カカラジネーム『ネギまみれ』さんから。『わりと皆シュー君にひどいことしてますけど、良心は痛まないのでしょうか?』という質問だけど、香加、小枝ちゃん。どうよ」
「だってさ」
「だってねー」
「だって、なぁ」
おろ、三人そろって苦笑い?
「「「シュー君、苛められるとすごい嬉しそうなんだもん」」」
……ああ、確かに泣き叫び嘆きつつも(あえて書かなかったけど)いい顔してますもんねぇ。
というわけで読者の皆様、これからシュー君がひどい目にあったときは「なんだかんだで喜んでるクセに♪」なんて思いながら読んでください。
「次読むよー。カカラジネーム『風邪には注意しましょう』さんから」
「作者はもう風邪ひいちゃってるらしいよ」
「バカだねぇ」
うるさい。
「『トメさんとカカちゃんのお母さんってどんな人ですか? 教えて下さい!』だそうですが」
まだ秘密です。
「だそうです。でも……一応ヒントっぽいものは今までの話の中にあるんだよね、留兄」
「ああ、多分誰もわからないだろうけどな」
もし『もしかしてトメカカのお母さんって……』って感じでヒントに気づいた人は、こっそりメッセージででも教えてください。当たってたら、あとがきとかでさり気に「正解♪」とか書きます。
「わかるかな」
「わかんないだろうなぁ」
「さ、次は私が読みますねー。えーと、カカラジネーム『レズビアン』さん」
「なんか危なげなネームだな」
「えとー、『カカちゃんとサエちゃんの物理的な絡みが見たいです!』だってー」
静寂が訪れる。
にこ、と笑う小枝ちゃん。
たらり、と冷や汗をたらす香加。
「いただきまーす♪」
「いただかれるのも悪くないけどでもいやそのあの!!」
ピン、ポン、パーン。
文字に出来ない激しいことが行われているので、少々お待ちください……
パン、ポン、ピーン、。
「はぁ……はぁ……う、奪われた」
「ごちそうさまー」
「や、何もなかったから! なかったからな! 僕が止めたから! 誤解すんなよ読者の人!!」
「気を取り直して次読みますねー」
「く、クセになりそう……へへ」
「香加、戻って来い! 香加!!」
「んふふふ、みーてーたーよー?」
「おまえは戻ってくんな!」
げし! ひゅー……
「次は、えっとー……『他。たくさんの方に前々から「テンカ先生と姉の絡みが見たい」という希望がカカラジにも送られてきていましたが、そちらの方々には前回、実際に話を書いたことによって返信とさせていただきます!』って、あれ、これで終わりなのー? 他にもあるのに」
「な、なんとか復活……ん、んっとね、次回のカカラジは人気投票結果発表スペシャルで、そのときにいろいろ考えてるんだってさ」
「らしいな。今回紹介されなかったお便り、要望も次回に持ち越しされたのがいくつかあるから、投稿した人は心配しなくていいよ」
その詳細はCMの後で!
一度クリアしたゲームはつまらない……そう思ったことはありませんか?
そんな考えを覆す、新感覚RPGが登場!
その名も、K(空気を)Y(読む)クエスト! 細かい登場人物設定によってプログラムが器用にも空気を読み、設定に応じた雰囲気の物語を作成する! その内容は登場人物によって千差万別! ツマラナイ設定ならツマラナイ物語に、笑える設定なら笑える物語、オタクな設定ならマニアックな物語、アダルトな設定ならうっふんあっはんな物語になるという優れもの!
一度クリアするだけでは絶対に飽きない超ハイスペックゲーム、大好評発売中!
なお、このゲームは製作者がわかっていません。ゲーム会社に匿名で送られてきたからです。そんなゲーム発売するなというツッコミはなしで。
このクエストを真にクリアしたとき、その謎が明かされるのかもしれません……
え? 興味ない?そこをなんとか。
もしわかったら我が社にご一報ください。
CMが明けて。
「お待ちかね! ついに人気投票の中間発表に移ります!」
どんどんぱふぱふー!
「中間だからね、票数とか六位以下は省いて、今のところのトップ五人だけ発表するよー」
「ふふふー、私がゲストに呼ばれたってことはー、トップは私だったり?」
「いやいや、これってカカの天下なんだよ? 絶対私だよ! なんせタイトルなんだから! どうなの留兄?」
「僕も今から読むとこだし、どうなってるのかわからん。だからさっさと読むぞ。まずは五位!」
「いえい!」
「いえーい」
「五位は……姉!!」
「あい? 呼んだ?」
ちょうどヒョコッと顔を出す括弧。
「これが……五位?」
「これがかー」
「え? ちょと、なんで皆さん口元をひくひくさせながら静かにあたしを落とそうとするの? あのね、いくらあたしでもこう何回も落とされたらちょっときつ――ああああああぁぁぁ」
「さ、次行くか」
爽やかな顔して進める留さん。
「四位の発表! なんと二人います!」
「おー!」
「おー?」
「四位……同票で、カカとサユカちゃん!!」
「がーん!!」
がーん、がーん、がーん……とエコーをかけてショックを受ける香加。
「か、カカの天下なのに……」
「まぁまぁ、香加ちゃん。四位だってすごいよ? 沙由歌ちゃんと一緒なんだし」
「それは嬉しいけど……でも! でも! ベスト三に入れないのはヒロインとしてさ! タイトルとしてさ!」
「はいはい、愚痴ばっか言わせるのもなんなので次行くぞ」
「三位ですかー。トメお兄さんと予想してみます」
「三位! サエちゃん!」
「…………あはは」
「ぐ、ぐるぢ……な、なぜに笑いながら僕の首を絞めるの小枝ちゃん!?」
「ゲストを立てないからですー」
「仕方ないだろ! 事実なんだから――げほ、げほ」
「……むー、仕方ない、ですねー」
なんか落ち込んでしまった香加と小枝ちゃん……苦しそうにむせながらも、留は気を取り直して進めます。
「……い、いくぞ? 第二位」
「誰よー」
「誰ですかー」
元気ねー。
「ニ位、テンカ先生!!」
「て、テンカ先生……!? カカのテンカなのにテンカ先生に負けた!!」
「これじゃーテンカのカカになっちゃうよー!?」
「や、それ日本語おかしいから」
強いんですよねぇ、テンカ先生人気。でも……
「とうとう一位の発表です!」
「……誰? 他に一位になるような人いたっけ」
「もういないでしょー」
「一位は……あれ」
テンカ先生以上にぶっちぎりの人気を誇るキャラがいました。
その名も!
「……トメ?」
そうです。ニ位に大きく差をつけ、ただいま一位を爆走中なのは……まぎれもなくトメだったのです!!
「あ、あれ。おっかしいなぁ、あはは。僕、そんな目立ったキャラでもないし可愛くもないし、こんなはずは……あ、あれ? なんで皆ゆらゆら左右に揺れながら僕に近づいてくんの? ね、なんか喋ろうよ。怖いよゾンビみたいだよ! なんかいつの間にか姉もいるし! どうでもいいけど復活早くなってるな姉!?」
「……落とすか」
「落としましょーかー」
「落とそうかぁ」
「な、ちょっと、僕は姉じゃないんだから、こんな高さから落ちたらいくらなんでも……あ、そうだ! こんなときには確か――あった! おたよりの中にあった姉の撃退法! これを使えば……えっと『まず姉に何か適当に理由言って右の手首を掴ませます』だな。ちょうど今掴まれた――」
ゴキャ!!
「なんか折れた!? これ以上のことできないよ!?」
「カカラジチョーップ」
「チョップチョップー」
「わああぁ!! やめろやめろこんな状態の手首でチョップなんかやらせるなああああぁ!!」
えー……
なにやら大変なことになってますので、ここからは私が説明いたします。
「痛い! ちょっと! なんで窓際まで僕を運ぶの!? そして常にチョップさせまくってるのは誰!?」
おかげさまで投票数も百を超えまして、皆様がどのキャラにどんな想いをもってくださっているか伝わってきて、楽しませてもらっています。
「たった百!? ちょっと! こないだあたしが言ったこと忘れたの? これを読んでいる全、員! 投票しなさい! 渋ってんじゃないわよ、ちょちょいってメール打つだけでそのキャラへの愛の証になるのよ!?」
「いだだだだだ僕にも愛の手を!!
「あんたは投票で愛もらってるでしょうが弟!!」
えー、外野が過激なことを言いましたが、投票してくれたら嬉しいのは確かです。
「そんなこと言って、これ以上投票延びなかったら泣いちゃうくせに」
そんなことはありません!
「ほんとに?」
……ちょっとあるかもしれませんが。
「泣いてる!! 僕も泣いてるのわかってるか妹!!」
そうそう、ここから票が動かないのもつまらないので、乗り換え制度なんか作ってみようかと思います。
すでに二キャラに投票した人でも、一キャラだけ、票を変更してもいいです。そのときは『誰をキャンセルで誰に入れる』と書いてくださればオッケーです。
人の心も人気も移ろいゆくもの。話が進むにつれて『やっぱりこの人のほうがいい!』ということもあると思うので。
「うんうん。私にたくさん乗り換えてねー」
「小枝ちゃん、三位なのに満足いかないの?」
「私はこっそりトップとりたかったんだよー」
「トップの時点でこっそりしてないから」
「そうか! こっそり僕の手で壁にチョップしまくっているのは小枝ちゃんだな!? すんごく痛いぞ!」
それからそれから。次回の三百回目はいつものカカラジと違って人気投票スペシャルをやります!
内容としては、各位発表ごとにそのキャラへインタビューをしたいと思います。
加えて、読者様でキャラへの質問や伝えたいコメントがありましたら伝えておきますので、何かありましたら遠慮なく感想欄でもメールででもお教えください。コメント等が多い場合は省略させていただくかもしれませんが、その場合はご了承願います。
「まとめると――投票を一人だけ変えられる! キャラに伝えたい言葉があったらどうぞ! 投票まだまだ待ってます! の三本だね」
そういうわけです。香加、ありがとう。
ではでは、そういうわけで……次回の投票結果をまたお楽しみに!
私は皆様の投票を楽しみにしつつ、不安に思いつつ……このあたりでお暇させていただきます。
「あ、終わりだってさ。留兄」
「終わりだと。弟」
「終わりですってー、留お兄さん」
「お。終わりって何が? ま、まさか僕の命が――」
ポイ。
ひゅうううううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅ。
南無。
「この番組はー、『スーパー、天下の台所』とー」
「テンカ先生の台所? なんか汚そう」
「だねー。あと、『匿名の人のおかげで急に売れたゲーム会社』の提供でお送りしましたー」
「会社の名前言わないんだ……」
「それじゃ皆様。またねー、ばいばい♪」
「カカばい♪」
たくさんの投票をいただき、作者としてすごく喜んでおります。そりゃもっといただければもっと喜びますが(笑
こんな風にカカラジやキャラ投票という企画が成立するのも、皆さんがこの作品を読んで、盛り上げてくださっているおかげです。作者として、心から感謝しています^^
PS:感想欄でもいくつかいただきましたが、皆様にも。本当に風邪には気をつけましょうね。