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カカの天下  作者: ルシカ
273/917

カカの天下273「カカVS姉娘、筋トレ」

「カカー」


「なっ、あっ、にー?」


 おいっちに、さんしっ、どうも、カカ、です!


 ただ、いま、トレーニング、中で、腕立て、伏せ、してます! いち、にっ!


「部屋入っていいかー」


「さん、じゅ! ふぅ……いいよ」


 私は腕立て伏せをやめて立ち上がり、タオルで汗を拭きながらトメ兄を出迎えた。


「お邪魔します。あ、ホントに邪魔しちゃったか」


「いいよ、ちょうど三セット終わったとこだし」


「いつも思ってたんだが、そのトレーニングって何セットやってるんだ?」


「何セットとかは別にないよ。んとね、いつも腕立て腹筋背筋その他もろもろやってるんだけど」


「カカって女子だよな」


「そうだけど。男子に見える?」


「……や、見えない。小さい頃の姉に見える」


「やめてよ、あんな男とか女とか越えてる人みたいだなんて」


 たしかに姉に言われたとおりにトレーニングしてるけどさ。


「で、どんだけやってるんだ?」


「全部できなくなるまで」


 ん、なんでポカンと口開けてるの。


「ぜ、全部?」


「うん、腕ガクガクお腹ブルブル背中ギチギチになったら終わり」


「……そりゃ強くもなるわ」


 おかげで運動全般で男子に負けたことがない。


「んで、なにか用? 私まだこれやるんだけど」


「ああ、実は――」




「あんたとはよく二人きりになるね、タマ」


「カカー」


「カカお姉ちゃんって呼びなさい」


「カカおっちゃん」


「誰がおっちゃんだ」


 と、いうわけで。


 例によって例のごとく、お姉が連れてきたタマを押し付けられたのだった。


 なんでもシュー君の家が今誰もいないらしい。たまにうちに預けられるのはそういうときらしいんだけど……じゃあお姉の家はダメなのかな、というかお姉はどこで寝泊りしているのだろう。いまだに知らないんだけど。


「おっちゃーん」


「おっちゃん言うな。お姉ちゃんって呼ぶの!」


「おねぇー」


「私をお姉と一緒にするな!」


 まったくどいつもこいつも……


 さて、トメ兄はタマを私に押し付けてさっさと部屋に戻っちゃったし、どうするかな。シュー君が仕事終わったら引き取りにきてくれるらしいんだけど。


 とりあえずトレーニングやっちゃうかな。


「いち、に……あれ、タマもやるの?」


「やうー」


 腕立て伏せの姿勢をとった私のマネをしようとするタマ。お腹が床についてるから寝転がっただけって感じだけど。


「よし、私についてこれたらあんたはレベルアップしてタマゴになるのだ!」


「めだまやきー」


「そうそう、目玉焼きになるの。いくよー。いっちにっ、さんしっ、ごーろく」


 十回目くらいで横を見てみると、そこには頑張っているタマの姿が。


「いーちーにーさーんーしー」


 ごん、ごん、ごん、ごん!


 なんか頑張って額を床にぶつけてる!?


「やめなさい、タマ!」


「うー。痛い」


「ならやめようよ!」


 理由のないわけのわからない行動ばっかり……これだから子供は厄介なんだよ!


 え? 私はどうなんだって?


 私もまだ子供だもん。だからいいの。


「まったくもー……腕立てはだめだね。じゃあ腹筋をやろう」


 ごん、ごん、ごん、ごん!


「だからなんであんたは頭を打ちつけたがるの? 頭を割りたいの? そりゃタマゴになれとは言ったけどさ!」


「いたいー」


「ならやめようよって言ってるじゃん! あのね、頭を割っても目玉焼きはできないんだよ!?」


「スクランブルエッグならできそうだけどな。ケチャップいりの」


「……トメ兄。それしばらく作らないでね」


 当分食べたくない、スクランブルエッグ。


「で、トメ兄。覗き?」


「人聞き悪いこと言うな。おまえがドア閉め忘れてたんだろうが」


「閉じろゴマって言ったよ」


「それで閉じるわけなかろう」


「トメ兄に言ったんだけど」


「僕はいつからゴマになった?」


 お? 気づかなかったけどトメ兄の後ろに誰かいる。


「シュー君だ」


「あはは……こ、こんばんは」


「意外と早く迎えにきてな、それ知らせにきたんだよ」


「ありがとうゴマちゃん」


「昔そんなアザラシいたな、ってなぜに僕が」


「シュー!」


「ああ、はいはいタマ様、帰りましょうねー」


 相も変わらず呼び捨てにされてるのを聞いて、私とトメ兄の憐れみ光線(目から発射)がシュー君を貫く。


「シュー君。まだ、なんだな」


 まだ、というのは前回シュー君が自分を「パパ」と呼ばせるために決行した『お菓子で言うこと聞いてもらおう作戦』のことだ。実にセコい。


「……ふふ、まだ五つ、です……」


 ちなみにその高級お菓子セットは一つ五千円だ。


「二万五千円か……」


「私の分は?」


「あ、えっと……一つお持ちしました。どうぞ」


 ひゃっほい。


「苦しゅうない」


 シュー君は苦しゅーだろうけど。


「カカ、おまえは遠慮ってもんを知ったほうがいい」


「私よりもタマに教えたほうがいいかと。さっきの見たでしょ? そのうち自爆しちゃうよ」


「ふむ、でも爆発ってところは姉の娘らしいな」


 そして爆発してもピンピンしてそう。


「ああ、痛い! タマ様、そんなに頭突きしないでください!」


「……や、シュー君のほうが金銭面とか精神的に爆発するかもしれないな」


「大丈夫じゃないかな。爆発するほど火薬はいってなさそうだもん」


 果たしてタマがシュー君を「パパ」なんて呼ぶ日がくるのだろうか。


 こないでほしい。


 そしたらもっとお菓子もらえるかもしれないし。


 頑張れシュー君、味方はいないぞ(ぉぃ


 相も変わらずひどい扱いなシュー君ですが……彼も好きでやってることなので問題ないでしょう(本当か?


 本来ならトメという常識人(多分)がそのお金の無駄遣いを「おいおい」と止めるはずです、が、それをしないのは……さて、なぜでしょう?(笑)

 答えはカカラジででも書きます^^ 


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