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カカの天下  作者: ルシカ
272/917

カカの天下272「パンをおかずにご飯を食べる」

「「「いただきまーす」」」


「ほい、召し上がれ」


 召し上がりますカカです。


 今日はサエちゃんとサユカンも一緒にうちで夕飯を食べることになりました。


 テーブルの上には白身魚のフライ。エビフライ、カキフライ、トランプが並んでいます。


「おいしいわねっ、魚フライ」


 サユカンもぐもぐ。


「おいしいですー、エビフライ」


 サエちゃんもふもふ。


「おいしいぞ、このカキフライ」


 トメ兄あむあむ。


「おもしろいよー、このトランプ」


 私パタパタ。


 あ、パタパタってトランプを切ったり置いたりする音ね。


「……カカ。おまえ一人だけ感想が違うぞ」


「ん、なに。トランプおいしいよーって言えばいいの?」


「言われても困る。トランプのフライなんて作ったことないからな」


「初挑戦すれば? 意外と神がかった味になるかもよ」


「ああ、たしかに紙の味がするだろうさトランプだしなアッハッハ……ヤギしか食わねーよそんな料理。とにかく今は夕飯なんだからそんなもんしまえ」


「そんなもんとはなにさ。これでも学校じゃこのトランプ占い、結構当たるんだよ?」


「そうなのか、サエちゃんサユカちゃん」


 二人は「うんうん」と深く頷いた。


「カカちゃんはトランプを人に当てるのうまいよねー」


「よくあんなシュバッと投げられるわね、今日当たった子なんか刺さってたわよっ」


「もしもし、占いどこいった?」


「占いもちゃんとやってるよ。武器にすること多いだけで」


 けっこー攻撃力あるんだなこれが。


「トメ兄にも前に占ってあげたじゃない。当たったでしょ? 『厄介なことが起こるでしょう』っていう予言」


「あ、聞きましたよー。お姉さんたちにお酒飲まされて大変だったとかー」


「や、それ以前に当たってるよ」


「ほらね!」


「しつこく占ってくるカカ自体が厄介だったからな」


「ほらね!」


「いばるな!!」


 む、当たってるのにその言い草はなんだよぅ。


「今日だってね、占いしてたらちゃんと感じたんだよ」


「なに、不思議なパワーとか魔法の力とか感じちゃったわけっ?」


「サユカンってメルヘンだね」


「サユカちゃん、かわいー♪」


「やかましいわっ」


「で、結局カカは何を感じたんだ?」


「怪しい視線」


「それ占い違う」


 感じたことには違いないじゃん。


「多分それ、カカちゃんファンクラブの人たちだねー」


「パンクラブ? 皆でその人の顔のパン作るとか?」


「そうそう。『みんな、新しい顔よー!』とか言いながら皆でそのパンを食べるクラブだよー」


「言い出した君が嘘言ってどうするの、サエすけっ」


「カカパンとか普通にありそうだよねー」


「サエパンとかもありそう!」


「どっちも中身は想像したくないな……まぁその話は置いといて。カカにファンクラブなんかあるのか」


 む? パンじゃなかったか。


「はい、私のもありますよー。カカちゃんのは一度潰したんですけど、この間の私の誕生日騒動がきっかけでまた復活したみたいですー」


「あー、パンって潰してもしばらくしたらまた膨らんでくるしね」


「カカ、パンから離れろ」


 だってやっぱりパンっぽいもん。


「サユカンのはないの?」


「ないねー」


「……そ、そうっ、ま、まぁっ、わたしはそんなのなくても別に」


「サユカンだけ仲間はずれかぁ」


「サユカちゃんだけ人気ないのかー」


「可哀想、カキフライ食べる?」


「哀れだね、エビもあるよー?」


「トランプで涙ふく?」


「あ、あんたらねぇっ!!」


「おいおいおまえら……」


 間に割って入ろうとするトメ兄はまだまだ甘い。


「でも大丈夫。私がサユカンのファンになるから!」


「私もー。ファンクラブ会長なんかやっちゃうよー」


「えっ!? い、いや別にそんな」


「サユパンも毎日食べるよ! なんかすごく甘そうだけど!」


「食べてるうちにサユカちゃんみたいなポニーテールが生えてくるかもしれないしー」


「生えてたまるかっ! そのパンどこの促進剤よ!?」


「なんだかんだで仲いいな、おまえら……僕はでしゃばりですか。ハイハイ」


 トメ兄がなんかいじけてる。


「ああ、そういえば姉にもファンクラブあったな」


「アネパン?」


「食べたらきっと爆発するわねっ!」


「間違いないねー」


 全員同意。


「で、ファンクラブあったんですかー、お姉さん」


「ああ、ものすごい人数だったぞ。でもそのファンクラブ会員たち、姉が修行の旅に出たときにそれを追って全国に散らばっちゃったからな。もう戻ってきてるの知らないと思うし、この街にはもうシュー君くらいしか残ってないんじゃないかな」


「全国てっ!?」


「お姉さん、すごいんですねー……妙に何でもすごいのはわかってましたけど」


「恐るべし、アネパン」


「伊達に爆発するわけじゃないのねっ」


 パンの話をしながらご飯を食べる。


 今日はそんな夕飯でしたとさ。


 カカパンとサエパンの中身、なんだと思いますか?

 なんかなんでも当てはまるような気もします(笑)


 サユパンですか? 中はあんこかクリームでしょう。

 あまあま

 アネパンですか? 中は爆弾でしょう。

 どっかん

 トメパンですか? 中はツッコミでしょう。

 なんでやねん

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