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カカの天下  作者: ルシカ
267/917

カカの天下267「サラの扱いには充分注意しましょう」

「カカ、これ朝飯に使うからラップしておいてくれ」


「皿をラップでサランラップ?」


「そんなギャグ言ったつもりはさらさらないが」


 初っ端からくだらないこと言ってますがトメです。


 夕飯も終わり、残り物を妹にラップさせて僕は洗い物を……と?


 ――アーネーアーネーアーネー♪


「電話だ」


「トメ兄の着信ってわかりやすいけど変だね」


「変な着信音は変なヤツだけだよ。相手によって細かく違うのだよ」


「気が合うね、私も屁みたいなメールはおならの音にしてるの」


「それなら本物のおならが誤魔化せるな」


「……本当の理由がバレた」


 さて、電話電話……部屋に置きっぱなしだったな、たしか。


 あったあった。


「もしもし、金も時間も食い物も貸せるもんもやれるもんもないぞ、さぁなんだ」


 『じゃー顔貸して。取りにいくから』


「取りにって、僕の顔を?」


 『その首、もらいうける!』


「どこの武将だあんたは」


 このツッコミって前にもしたな。新しいの考えなきゃなー……ん? なんか台所から音がしたような。


 『首って案外引っこ抜くの大変でさー』


「悪い、なんかあったみたいだから引っ込んでろ」


 『む? 引っこ抜けないなら引っ込め? こりゃ失敬』


 よくわからない姉を無視して台所へ。


「大変だよトメ兄!」


「どした!」


「ゆーかい事件だよ!」


「はぁ!? どこの誰がゆーかいされたんだ!」


 慌てて台所に入ると、そこには――床に落ちた明日の朝飯と、それを乗せていたものの残骸。


「……皿割れた?」


「さらわれた」


 オゥノゥ!


「おあとがよろしいようで」


「待たんかいゆーかい魔」


 ゆーかい魔=皿割り魔である。


「おまえさ、最近、皿何枚くらい割った?」


「いちまーい、にまーい、さんまーい……」


 お菊の皿みたいに数えるカカ。あ、これ有名な怪談ね。とあるお屋敷にいたお菊さんという人が高級な十枚組の皿を一枚割ってしまい、罰として井戸に落とされる。そして死んだはずのお菊さんが毎夜毎夜、井戸から現れて皿を「いちまーい、にまーい」って数えて最後に「きゅうまーい、一枚たりなああい!」って狂っちゃうやつだ。


「九枚たりなあああい!」


「割りすぎだおまえは!」




 そんなわけで。


 翌日、僕とカカは割った分の皿を買いにデパートまで来ていた。


「トメ兄! これがいいよ!」


「それサランラップだから」


 一回使ったボケはいいよ。


「これは?」


「それサラリーマン」


「誰だか知らんがそれって言うな!」


 ごめんなさい知らない人。


「じゃあこれ!」


「それは沙羅さらさん!」


「た、確かにそうですけど、なんで知ってるんですか!?」


 名札がついてるからです店員さん。


 こんな感じで騒ぎながらも、青い模様が涼しげないい皿を見つけることができた。


 会計を済ませて袋詰めしてもらう。


 詰めてもらってる間、カカと二人して他の食器を見ていたんだけど……


「トメ兄」


 くい、と手を繋がれる。ん、引っ張ってるのか。


「あれ」


 カカの視線を追うと、そこはたったいま皿を買ったレジカウンター。


 店員沙羅さんは包装紙でも探しているのか、後ろを向いて棚の中を覗き込んでゴソゴソしている。


 そして後ろを向いているから気づかないんだろう。机と棚の間が狭かったのも悪かった。


 身体を『く』の字に曲げて棚を漁っている沙羅さんの見事なヒップが、包装前の皿に当たって少しずつ少しずつ……カウンターから落ちそうになっている。


「皿割れる!!」


 思わず叫んだカカ! 


 そして超注目される僕!


 ……あれ。なんで僕?


 状況整理タイム!


 僕――いい大人。妹――小さな女の子。


 繋がれた手。


 「さらわれる!!」という言葉。


 ……どっからどうみても僕ってゆーかい魔じゃん♪ あははヤベェよ。


 あ、皿が落ちた。


 パリン、という音。割れたなあれは。


「さらわれたぁ……あぁうぅ」


 そこでそれ言うか!? そこで泣くか!?


 ぽん、と叩かれる肩。


 徐々に迫ってくるデパートのお客様包囲網。


 あぁ……


 僕の明日はどっちだ!?


「こっち」


 警備員室ですかそうですか。


 皆さんも皿が割れたときは注意しましょう、捕まりますよ(ぇ

 しかし最近オヤジギャグ的なものがちょっとずつ増えてきたような……? 気のせい? 気のせい!

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