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カカの天下  作者: ルシカ
262/917

カカの天下262「カカ天動物園」

「おもしろいっしょ! 『病院』なんて居酒屋。今度いってみようよ!」


「わー、いいですねー。血のようなカクテルとかあるんでしょうかー」


「赤くなくてもアルコールはあたしにとっちゃ血みたいなもんだけどね! あ、なくなったね。ほい血のおかわり」


「ありがとうカツコさん」


 なんかいる……なんかいる!


 どうも、異種接近遭遇したっぽいトメです。


「あれ……お姉とサカイさんとお酒だよね、トメ兄」


「ああ。認めたくないけどな」


 何が認めたくないかって? 別に姉とサカイさんが飲むのは珍しいことじゃない。あの二人は仲がいいのは知ってる。じゃあ、何が問題なのか。


「おー! 我が弟よ。あんたも飲むか!」


「あ、トメさんカカちゃんこんにちはー」


「なぜにアナタらは公園で酒宴なんぞやっておられるのでありますか」


 そう、問題は場所だった。


 カカ達もよく使っているうちの近くの公園、その滑り台のてっぺんで器用にもお酒とおつまみを広げているではないか。


「なぜと聞かれたか!」


「聞かれたよーカツコさん」


「それは……そこに酒があるから!」


「ねーよ、滑り台の上なんぞに」


「それがあったのよ」


「嘘!?」


「おう、ほら」


「それは今置いたんだろが」


「うっさいな。過去ばかり見てるなよ」 


 ダメだこの酔っ払い。


「はぁ……まぁいいや。こんなのは放っておいて帰るぞカカ――カカ?」


 ふと気がつけば隣にいたカカが消えて……あ。いたいた。なんか三匹の犬と戯れてる。


「トメ兄! ほらこの犬たち、ずっと前に話した犬だよ」


「犬? ずっと前ってどの話だ?」


「62話」


「何よりもわかりやすいがその表現はやめい! えっと……ああ、前に二股かけてるとか言ってた犬の話か」


 相当の前の話だが、たしか妙な名前で変な鳴き声の犬どもが三角関係でもめてたとかいうことだったな。


「で、結局どうなったんだその三匹」


「あ、それあたしが知ってるよ」


 姉?


「八兵衛とビシュソワーズが仲直りして、フランソワーズが平等に付き合うってことで解決したらしい」


「なぜにそこまで犬に詳しい」


「犬といえば……うちのラスカル、どうしたんでしょう」


「そーいえば見ないね、私の天敵犬。はっ、まさかやっぱり姉が食べたんじゃ!?」


「いえいえ、ただ単にうちから逃げただけですよー。散歩と食事とトイレの世話をサボってたらー」


「全部じゃん」


「どうにも面倒でー」


 ほんっとダメ人間化してるなこの人。仕事いってるらしいだけマシだけど。


「ラスカル逃げてたのか……むぅ」


 敵と言いつつラスカルのこと嫌いじゃないんだよなカカ。


「カカ、ラスカルはきっと戻ってくるさ」


「公園にたまにいるよ? 呼ぼうか」


「そうそう、すぐに姉が呼んで――呼ぶの!?」


 ピー! と姉が口笛吹くとあらフシギ、どこからともなくラスカルとその仲間達が現れた!


「おい姉、いつから動物使いになったんだ!」


「こないだの墓参りのときにもやったっしょ。あたし動物呼べるのよ。なぜか」


 なぜだよ!?


「カツコさん……なぜ言ってくれなかったんですか!? わたし、ラスカルのことちょっと反省してちょっと心配してたんですよー!」


 ちょっとじゃダメだ。めいっぱい反省しなさいアンタは。


「へ、いや、なんでって……てっきり野に離したのかと。ラスカルだけに」


「なるほどー!」


 納得していいんスかサカイさん。


「わん! わん!」


「ねー、このラスカルにくっついてる小さい子らはー?」


「ああ、ラスカルの子供だよ。あたしは右からエベレスト、アンデス、ハイジって名付けたけどね」


「なんだその山脈兄弟犬、ってハイジだけ違う?」


「アルプス山脈よ」


 なるほど。


「にしても……えらい犬が集まったな」


「にゃーん」


「あ、総理大臣だ」


 カカがとてとてと現れたネコを捕まえる。


 さて、今集まっている獣たちの名前を並べてみよう。


 ラスカル、エベレスト、アンデス、ハイジ、八兵衛、フランソワーズ、ビシュソワーズ、総理大臣、姉。


 どこの国だここは。


「あん! あん!」


「わおーん」


 やかましいし。


「ワン!」


「ツー!」


 あ、いまのカカね。


「ぎゃわわん!」


「ビビデバビデブー!」


「しゅわるつねっがあああ!」


「前にも思ったがその鳴き声はどいつの鳴き声なんだ!?」


 テレビに出せるレベルの鳴き声だぞ!


「あ、しゅわるつねっがー! はあたし」


「姉かよ!?」


 てことはこないだの犬の恋愛合戦のときにもいたのか?


「ああ、そっか。犬と仲間だもんな頭の中身が」


「びびでばびでぶー!」


「ああ、ごめんごめん。姉より犬のほうが利口――いまの、どの犬の鳴き声だ?」


「そんなこと、どうでもいいっしょ」


「や、しかしこの鳴き声ならテレビに出せるぞ本当に。姉は無理だけど」


「なんでさ。あたしの鳴き声だってイカしたもんでしょ?」


「あぁ、イカれてるよ」


「でしょ! ……あれ?」


 イカ違いがわからず首を傾げてる姉は本当にイカんなぁ。


「ラスカル……またわたしのところに戻ってきてくれるー?」


 おっと、気がつけばこちらで涙の感動シーンが!!


「あぁ、ラスカル!」


 ラスカルは逃げ出した!


「……らすかるぅ」


 涙の、シーンが……


「よほど嫌だったんだね」


「飲んでやるー!」


「カカ! みんな思って黙ってたことをわざわざ言うな!」


「トメさんも飲めー!」


「あたしも飲むぞー♪」


「ぎゃわわん!」


「ビビデバビデブー!」


 大混乱なこの状況。


 ……もうどうにもならんのでここら辺で語るのはやめておこう。


 にしても、どいつだビビデバビデブーは。

 はい、けっこー前の話を持ち出してきましたが(笑)

 登場人物(登場犬?)多いからちょい長めになっちゃいましたね。


 はたしてラスカルは戻ってくるのか(名前的に戻ってこなさそうだけど

 そしてビビデバビデブーはテレビに出れるのか。

 動物側の話は超ゆるゆるーっと進んでいくので超気軽にお待ちください(笑

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