カカの天下250「第六回、カカラジ!」
「みなさん、こんカカ! 最近寒くなってきましたねーこんなときは布団にくるまりながら幸せにひたりつつ焼き芋食べたり秋刀魚食べたり、え? 寝ながら食べるのかって? 当たり前ですよー、寝酒とか寝タバコみたいに寝芋とか寝魚とかもいいもんですよってな感じの香加です!」
「その布団を掃除する係の留です……なぁ香加。その寝ながらシリーズそろそろやめないか?」
「えー。今度は寝モミジしようと思ったのに。秋だけに」
「モミジ?」
「うん。寝てる留兄の背中をおもいっきし張り手で叩くの。真っ赤なモミジが浮かび上がるよ」
「そっちのモミジか、っていうか僕にやるのかよ!」
「自分じゃできないし」
「今やってやろうか! 背中を出せ!」
「きゃー、留兄が私の服をー!」
「じゃ、わたしは留さんの服をっ!!」
「お! よし沙由歌ちゃん。協力して留兄を脱がそう!」
「わかったわっ」
さて! いきなり破廉恥な始まりですがカカラジ、第六回目の放送です!
「上着確保!」
「次は下ねっ」
「やめれえええええ!」
……もしもーし。始まりですよ。
「ほらほら二人とも! 始まってるんだから進めないと!」
「ちぇー」
「残念です……でも上だけでも留さんの裸が見られて……ぽっ」
「興奮した?」
「ホッペが落ちそうよっ」
「それおいしいときの表現だから」
沙由歌ちゃん的には「おいしい」で合ってるんでしょ。ささ、留。進行して。
「初っ端からめちゃくちゃだよ……うぅ、こほん。さ、今更ですけど今日は沙由歌ちゃんをゲストに迎えての放送です!」
「沙由歌ですっ、今日はよろしくお願いします!」
じー。
「よ、よろしく」
じぃーっ。
「よろしくですっ」
じいいいいいいぃぃっ。
「う、うん……」
見てる見てる。留の目をすんごい見てる。留は頑張って視線を逸らしてる。
「前回でも言ったけど、本編と違って留は沙由歌ちゃんの気持ちわかってるからね。そして同じくそれを承知の沙由歌ちゃんもふっ切れてる、と」
「あ、あの沙由歌ちゃん……その、そんな顔近づけられるとやりづらいんだけど」
「わたしは最高にやりやすいですっ」
「や、でもこのままだと」
「ウェルカムですっ」
「どこへ!?」
さて、こんな感じで今日のカカラジは進みます。
「留兄は忙しいから私が言お。えーっと、これはネット小説『カカの天下』を盛り上げるため、ぶっちゃけトークや作者の本音などを放送する情報ラジオっぽい番組です! 私たち香加、留兄、沙由歌ちゃんは本編自体とは関係ないのでお気をつけください」
なんか後ろから悲鳴が聞こえるなぁ。
「あ、ちなみに私、いつもサユカンって呼んでるけどそれだと本編キャラと区別つかなくなるから、今日は沙由歌ちゃんって呼ぶことにするね」
ではでは、忙しい留は放っておいてCMへ。
今回ご紹介するのは最近話題の和風ファミレス『東冶』です! 普通の店内! 普通の和風メニュー!
でもご安心を。ここの店にもおもしろいところはもちろんあります。実は店員が――おっと失礼。お電話がプルルっと鳴ってしまいました。
もしもし。あ、『東治』の店長さんですか。
『いいかっ、俺の店はどっかの食堂と違ってイロモノは扱ってねぇんだ! おまえんとこのCMはいつも変な店ばっかり取り上げてるがな、俺の店も他のと同じ扱いしたら……おまえんとこのCM会社、ぶっ潰してやるからな!』
がちゃり、と切れてしまいましたねぇ。
こほん。
えー、話は戻りますがこの店の変なところはなんと言ってもバイトです! とにかくノリがいい! 例えば『スマイルを百個』と言えば百秒間、目の前でニヤニヤし続けてくれるという、とてもフランクなお店です!
え? 店長に釘を刺されたのにいいのかって?
あっはっは。
やれるもんならヤッテミロてめぇに釘をブッ刺したろかこの――プツッ。
放送事故のため、一時放送を中断させていただきます。
「……なに、今の」
CMでしょ。気合の入ったCM。
「入りすぎなんだけど……ま、いいや」
「はぁ、はぁ……」
「あれ、留兄。ラブラブし終わったの?」
「そんなのしてない! や、なんか沙由歌ちゃんが急に……」
見てみると、沙由歌ちゃんはちょっと離れたところで頭を抱え込みながらしゃがみ込んでいる。
ちょっと近づいて耳をすませてみよう……
「――にやってるのわたしは、いくらなんでもあんな、あんな、あんな、いやーっ! 顔近かった息かかった留さん格好よかったよぅなんまいだぶなんまいだぶ……」
どうやら今さら自分がやったことを恥ずかしがってるみたいですね。
「沙由歌ちゃん、いっつも勢いつくけどつきすぎて後で後悔するタイプだからねー」
「なぁ、どうでもいいけどなんで念仏が混じってるんだ?」
どうでもいいなら聞くな。ほら留、復活したんなら進めなさい。
「な、なんだよぅ。なんか冷たくないか?」
モテてる留が羨ましくてムカついてるだけ。
「作者、正直だね」
「……さ、さあ! それではおたよりコーナーを」
「ちょっと待ったぁ!」
バーン! と放送室の扉を開けて飛び込んできたのは……姉括弧!?
でも……なんか、ぼろぼろ?
「はぁ……はぁ……やった、やったわ! あたしは」
「ぽちっとな」
カカが壁のボタンを押すと、どこからともなく馬鹿でかいカボチャが飛んできた! ハロウィン仕様のイカしたカボチャ頭は大砲の弾となって姉を吹っ飛ばす。
「もう一回出演することがでえええええきいいいいぃぃぃぃぃ……」
窓を突き破ってエコーと共に落ちていく括弧。
「できなかったね」
「……カカ、この放送室、十二階なんだが」
「うん、お姉は一階から十二階まで目一杯仕掛けた罠をくぐってきたんだね。たいしたもんだ」
さすがカカ天唯一のファンタジー。バケモンだ。
「なんでそこまでする」
「だってアレが出るとうざいじゃん」
「なるほど」
超納得。
「さ、気を取り直しておたよりコーナーを。沙由歌ちゃん、やるよー」
「あ、はーいっ」
どうやら一通り恥ずかしがり終わったようで、沙由歌ちゃんも気を取り直したみたいです。
「まずは前回保留にした質問から。読むよ留兄」
「……はいはい、読めば?」
お、観念してるね留。
「えー、カカラジネーム『密かにトメのツッコミファン★(*>m<*)』さんから。『トメの好きな女性のタイプが知りたいですっ!! あとドキッとする仕草とか許せない行動とか…誰かさんの参考にもなると思いますのでっ♪(笑)』続いて『謝謝!』さんから。『トメさんの初恋はいつですか? 理想のタイプなども教えて下さい。姉と妹が結婚したらなんて言わずに、トメにも幸せになって欲しいな〜』ということで……どうよ、誰かさん」
「ええ、もうとても参考になりますっ! ありがとうお二方! 愛してます! 一番愛してるのは留さんだけどっ!」
「ほらほら、こっちは聞く気満々だよ。私もだけど。ほれほれ言うてみ言うてみ」
香加はニヤニヤ、沙由歌ちゃんは今のセリフが恥ずかしかったのか真っ赤になって俯いて……でもチラチラと留をうかがってる。
「答えればいいんだろ、答えれば……えーっと。まずはタイプ、というか女性のドキッとするしぐさとかだけど……」
「うんうん」
「はいはいっ」
ほおほお。
「……うざ。ええっと。やっぱり、こう……ツッコミがいのあるボケをしてくれる人がいいかな」
「…………」
「なんかさ、うまいことツッコミが決まるとこう、ゾクゾクするんだよね……なんで皆黙るの」
一同、沈黙。
「……ねぇ沙由歌ちゃん。コレ、なんていうヘンタイなんだろう」
「ツッコミフェチ? ボケフェチ? どっちっ?」
どっちもヤだね。
「なんでそこまでボロクソに言われなきゃなんないの!?」
「だってねぇ……ゾクゾクとかいうのが」
聞いてるこっちがゾクゾクだよ。
「うるさいなぁ! どうせ僕はツッコミですよ! もうツッコミに染まっちゃったんですよ!」
「……ちょっと待ってっ。留さんの好きなタイプがそうだっていうことは……」
「留兄を目指してツッコミの練習してる沙由歌ちゃんの行動って……意味なし?」
むしろマイナス?
「そんなぁ!? じゃあ留さんがわたしに振り向いてくれることはないの!?」
「今からボケの練習すればいいんじゃ」
「そうかー、ってわたしが練習してもしょうがないのよっ。本編のサユカが気づいてくれないとっ! あっちでくっつかない限りは絶対こっちでも留さんとイチャイチャなんかさせてくれないんだからこの作者!!」
よくおわかりで。本編が基本だからね。
「あぁっ、早く気づくのよサユカ! あなたはボケるのよ!」
「そりゃいつかはボケるだろうさ。歳とれば」
「そっちじゃなくてっ!」
隅っこで照れ照れしててようやく喋ったかと思えばそれか、留。
「うぅ……このことをサユカに伝えることができれば……」
「無理無理、世界が違うんだから」
「その役目! この作品で唯一なんでもアリな役のこのあたしが引き受け――」
ぽち、ごすんっ!! ひゅうううううぅぅぅぅ……
「引き受けられなかったね」
再び窓の外へ落ちていく姉でしたとさ。
「あ、ちなみに許せない行動は、度がすぎたボケかな」
「とことんボケツッコミ重視なんだね留兄」
「そういう作品の世界に生きてるからね」
言われてみればごもっとも。
「さて、お姉は追っ払ったし、沙由歌ちゃんはいじけてるし、静かになったところで次いこう。カカラジネーム、『もうトメ以外愛せない…』さんからいただきました」
「じゃあ今度、僕の友達のトメ・ギルバーソンを紹介しますよ」
誰かわからん名前だして誤魔化すな。
「うぅ……嬉しいけど恥ずかしいんだよなぁこういうの」
羨ましい悩みだなコノヤロウ。
「なんか今日の作者やさぐれてない?」
そんな日もあるさ。
「え、えっと、読むぞ? 『ふと思ったんですが、テンカ先生って隠れ主人公ですか?タイトルにもなにげに名前入ってますし…』だそうで。どうなんだ作者」
テンカ先生の名前はおっしゃるとおり、カカの天下のタイトルを意識してつけました。でもテンカ先生が隠れ主人公とか、そういう重大な意味はありません。ただ先生の名前を考えていたときに『天下』の文字に目がとまり、『テンカ先生』って語呂がいいなぁと思ってそのまま採用しただけです。
でも意識してつけたので、こう読者様にツッコまれると嬉しいものがありますね。
「へー、あの女がねー」
「沙由歌ちゃん、言い方ちょっと黒いよ」
「あ、ごめんっ。ほら、ライバルだから」
『トメとテンカ先生がくっついてほしい』という意見も結構多くて、こっちの沙由歌ちゃんはそれ知ってるからね。ライバル意識が高くなるのも当然ですな。
「や、悪いけどさ。僕はあくまでそういうのは妹と姉が幸せになってからで」
「それじゃつまらん!」
「つまらないですっ」
つまんないよ、書くほうとしても。
「うぅ……うるさいなぁ! 次!」
「あ、逃げた」
「カカラジネーム『ついに姉を踏みにじり、次はSな妹と対決する青年』さんからいただきました! 応援するぞ同士よ!! 僕はなかなか踏みにじれないけど! えっと、『カカサエサユカのトリオって三人が出会う前に友達いたんですか? 本編には出てないんですけど…』だってさ」
「私はいっぱいいたよー。親友とかそういうのはいなかったから、サエちゃんと仲良くなってからは皆で遊ぶってことしなくなっただけで」
「わたしはあんまりいなかったわ。少しはいたけど……なんというか、初対面だとどうもツンツンしちゃうのよね」
「仲良くなってデレデレモードになれば可愛いのにね。これぞツンデレ!」
最近はあんまツンツンしてませんがね。
「ずっとデレデレかぁ」
「ね、香加助。なんかバカっぽく聞こえるからその言い方やめて」
「じゃ沙由歌ちゃんも『助』まで漢字にするのやめてよ」
……なんか、ゲストが姉じゃなくても充分話の脱線率高いなぁ。
「同感……で、サエちゃんは?」
サエちゃんは過去話見てもらえばわかるように、お母さんと離れてからは全く友達がいませんでした。その前ならいたんだけど、あまりにサエちゃんが無気力になっちゃったんで遠ざかっていった……って感じですね。
「……ちょっと、切ないわよね」
でも今はいい友達いるからめでたしですよ。
「そだね。私達がついてる! さて、では次のおたより……えっと、カカラジネーム『にけよき』さん、あと『ブリは照り焼き』さんと『通りすがりのカレー嫌い』さん他数名から、ハロウィンのお話で、『魔女はやっぱサエちゃんでしょ!』というご意見が」
私も魔女はサエちゃんでカカは魔王にでもしようかと思ったんですけど。
「私ってどんだけー」
でもやっぱりハロウィンの主役で、カカが似合う役! といえば魔女かなーと思いまして。幽霊になって人を驚かせて遊ぶ、とかいうのもサエちゃんのイメージには合うしと思い、今回の配役をさせていただきました。
「なるほどー。さ、時間もないし巻いていきます。カカラジネーム『イヤン』さんから。えー『もうすぐ何か起こるというのはカカラジのことですか?』という質問」
「最近の香加すけの変な行動のことねっ」
カカはいっつも変ですけどね。とりあえずお答えします。それはカカラジのことではありません。
「僕らは皆知ってるけど……言わないでおこうか」
「どうせすぐわかりますしねっ」
「そうそう、ではおたよりコーナーはこのあたりで!」
「急いでるなー」
「留兄がぐずぐずしてるから時間なくなっちゃったの! もっとズバッとぶちゅっとでもすれば展開早いのに」
「早すぎるわ!」
「わ、わたしはウェルカムッ!」
はいはいCMへ。
何気ない日常を送っていたカカ達。しかしそのとき、事件は起きた。
家に帰ると、なんと姉の死体が!
しかも普通とは違う……まるでうどんを鼻から食べようとして窒息しそうになったところで突然誰かに首を絞められそれを振りほどこうとしてテーブルにつまづいて金魚鉢に頭を突っ込んで溺れ死んだような死体が!
「変したい……」
「変なことならいつもしてるだろ。まだしたいのか?」
「違うよトメ兄! 変な死体ってこと!」
「誰が変だ!!」
「うぁ生き返った!?」
サスペンスなのかホラーなのかコメディなのかわからない珍大作映画、『変したい』いよいよ後悔、じゃなくて公開!(作者の胸のうちを晒してどーするっ!
この題名をどういう風に捉えるかは、あなた次第です……
CMがあけて。
「わたしならこの映画、『恋したい』って読むわっ」
「沙由歌ちゃん、人はそれを読み間違いって言うんだよ」
「わかってます♪ 留さんにツッコまれたかっただけですっ」
「そ、そう……」
「どうぞこれからもズッコンバッコンとツッコんでくださいねっ♪」
「さ、沙由歌ちゃん、じゃなくて本編のサユカちゃんがボケキャラになればね」
「……そうでした。サユカ、気づくのよっ!」
「はいはい、留の恋愛劇場もひと段落したところで、お知らせっ! この度、なななんと……『第一回カカ天キャラ人気投票!』をすることが決定しましたー!!」
「「おおー!」」
ルールは簡単。読者様には投票したいキャラを二人、選んでいただきます。一人だと迷いそうですし、二人だと読者様の好みの傾向も見れていいかなと思いまして。
投票方法は――感想欄に書いてもよし、メッセージのところから送ってくださってもよしです。
二人のキャラの名前を書くだけ、というメッセージでも全然OKです。ただ、その場合は『メッセージを送る』の方からお願いします。
原則として読者お一人様、二キャラに一票ずつの投票だけとします。
次回のカカラジで中間発表、その次のカカラジで本発表とします!
一位のキャラには……何かおいしい思いをさせるつもりです。
作者としても誰がどれくらい人気なのかすごく気になるので……もしよかったらぜひ投票してみてください!
「投票、くるのかな」
「きてほしいわねっ」
「これで全然こなかったら寒いよなー」
「くるわよっ、ていうか、これ読んだやつ全員投票しなさいあんたたちっ!」
「無茶言うなよ姉……姉っ!?」
「カボチャ大砲セット!」
「え、ちょと待ってよせっかく苦労して登ってきたのに!」
「あ、吹き飛ばす前にこれ聞いとこう。カカラジネーム『シュー君FIGHT』さんから。『とりあえずシュー君が報われる日は来るのですか? それとシュー君の想いが姉に届く日はいつですか?』だってさ。どう思うお姉」
「シュー? うーんあたしに何を言いたいのかは知らんけど……漢なら拳で語るべきだよね」
「はい、わかりましたか『シュー君FIGHT』さん。シュー君はまだまだ当分報われないようですよ。ではカカラジチョップ、発射!!」
「え、ちょ、それチョップじゃな――」
どっかーん!!
「さ、お後がよろしいようで。今回のお相手は香加と」
「チョップは二回連続で姉か……ちょっと面白くないな、なんて思ってる留と!」
「もうちょっと留さんにくっつきたかった……あ。放送終わってからすればいいんじゃないっ、って思いついた沙由歌でしたっ」
「ではまた次回、お会いしましょー!」
「すぐ逃げよ……あ、投票まってまーす」
「お、これわたしが読むのねっ。えっと、この番組は『レストラン東治』と、『いろんなカカ天もどき製作委員会』でお送りしましたっ」
「今回はまともな提供だね」
「……そ、そうか?」
はい、またまた長くなってしまったカカラジでした。
最近どうにも長くなってしまうことが多いですね。
あまり長すぎると手ごろに読める感じがしなくなるかも……気をつけます^^;
それでは明日からはまたいつものカカ天です!
そして皆様の投票、待ってます!
……人気投票なんて成立するほど投票くるのか、ちょっとドキドキですが、よろしくお願いします^^;