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カカの天下  作者: ルシカ
248/917

カカの天下248「子供はお金がかかります」

「すいませーん」


 ぴんぽーん、と鳴らしても反応ないなぁ。ども、トメです。


 先日のカカの誕生日のお礼を言おうと思って、カカと二人でシュー君の家を訪ねてきたのですが……


「いないのかな」


「前みたいに庭にいるんじゃない?」


「はは、また前みたいにタマちゃんに、パパと呼んでくれー! なんて言ってたりしてな」


 まっさかー、と二人で笑いながら庭を覗いてみると……


「タマ様、どうかパパと呼んでください」


「やー」


 まだやってたよこの人。


「お願いしますっ、タマ殿、タマ閣下、タマ王妃! ははーっ」


「やーら」


 しかも土下座してるよこの人。


「ね、トメ兄。あれなに?」


「しっ、見ちゃいけません!」


 あんなダメな大人を見せるのは教育上よくない!


「はっ!? ……みぃたぁなあああああ!」


「や、土下座したまんま凄まれても」


「トメさん! 力を貸してくださいいいいい!」


「あげくの果てに泣きつかれても……」


「とおおぉぉめええぇぇさああぁぁぁんんんん」


「うざ……」


 カカに激しく同意。


「わかったわかった……で? まだやってたのかシュー君」


「はい……あれから来る日も来る日も僕をパパと呼んでくださいってお願いしてるんですが……」


 お子様相手に毎日お願いって……相変わらず腰低いな。


「でも昨日、ようやくパパイヤって呼んでくれたところなんです!」


「それ、パパに近づいてるのか?」


「何言ってるんですかっ、先日のマパは『パ』が一文字しか入ってなかったのに今回は『パ』が二文字とも入ってるんですよ!? びばパパイヤ!!」


「でも、パパがイヤなんでしょ?」


 カカの一言でシュー君が固まった。


『以下、シュー君の頭の中』


 ぽく、ぽく、ぽく、ちーん。


 パパイヤ=パパ、イヤ=パパがイヤ=てめぇなんざパパじゃねえ。


『方程式完成、シュー君の頭の中終了』


「遠ざかってるのかあああああ!!」


「そら毎日しつこく言ってればね」


「あと『頭の中終了』って言い方だと僕が人として終わってるみたいじゃないかあああ!!」

 

 誰に向かってツッコんでるのか知らないが、それはあながち間違っちゃいないかと。


「トメさん! タマ様をたぶらかすにはどうすればいいんでしょうか!?」


 だんだんとなりふり構わなくなってきたなこの男。


「カカちゃんのようなピー(自主規制の音)な子を育ててるトメさんならわかるでしょう!」


「ちょと待ってシュー君。そのピーってなに?」


「……たしかにカカはピー(もっかい自主規制)だし、それを育ててきた自負はあるけど」


「トメ兄。だからそのピーってなに?」


「どうか僕にご指導を!」


「しょうがないなぁ」


「だからピーって何!?」


「うるさいなぁ、カカ。わかったわかった教えてやる。ピーっていうのはな」


「うんうん」


「自主規制だ」


「うん、うん?」


「帰ったら辞書でもひけ」


「……うん」


 よし、この上もなく簡潔な説明にカカは黙った。不満そうだけど。


「いいかシュー君。古今東西、子供はモノで釣るのが一番だ」


「なるほど!」


 と、いうわけで。速攻で商店街に走ったシュー君が買ってきたのは……なんと五千円もする高級お菓子詰め合わせセット!!


「まともな高級セットだ!!」


 おお、変な高級セットしか見たことがないカカの目が輝いた! 


「タマ様、これを差し上げますからどうか僕をパパと呼んでください」


「みっちゅ」


「……そ、そうですね。タマ様はみっつ、三才ですねー♪ それでですね、これ」


「みっちゅ」


「だ、だからタマ様がおいくつかはわかりましたから――」


「シュー君、認めようよ。タマちゃんはそれを三つよこせと言ってるんだよ」


「そんな!!」


 タマちゃんの右手の三本指を見て絶望的な表情になるシュー君。なんせ五千円が三つだもんなぁ。


「ターマちゃん。んふふ。じゃんけん、ぽい」


 む?


 おもむろにカカが始めたじゃんけんに、タマちゃんが左手で出した手は、パー。


 パーとはつまり五本の指が立っているということ。


 ……あーあ。


「シュー君、やっちゅだってさ」


「やっちゅー」


 そう、つまり右手の三本と左手の五本を足して……計八本。四万円のお買い上げになります♪


「た、タマ様! みっつでいいんですよね!?」


「やっちゅー」


「みっちゅでしょ!」


「やっちゅー」


「みっちゅって言って!」


「やっちゅ」


「……みっちゅうううううううううう!!」


 シュー君、涙目でそんなん叫ぶとキモイぞ。気持ちはわからんでもないが。


「カカ……おまえな」


「私もほしいもん。だから増やした」


「ほんっと容赦ないなおまえ」


「……ううう、次の給料が入ったら必ず!」


「ってマジで買ってあげるの!?」


 シュー君のお金をかけた野望は、果たして叶うのか!


 そして警官がこんなのでこの街は果たして大丈夫なのか!?


 まー、犯罪起こっても姉がなんとかするから大丈夫か。


 あれ、姉の職業って警官じゃないよな? なんだっけ。


 シュー君、憐れ。

 君の財布は大丈夫か!?


 タマちゃん、カカと一緒にあんまいないのにカカ化してますね……

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