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カカの天下  作者: ルシカ
244/917

カカの天下244「魔法から覚め…るまであと五分だけ…」

「ふぁ……」


 昨日大騒ぎしすぎたかな……ねむ……だる……カカです。


 ぼんやりしたまま身体を起こし、周囲を見渡しました。


 でっかい部屋、敷かれまくった布団、そしてそこに雑魚寝する皆……そか、昨日あのまんま全員ここに泊まったんだっけ。


 ぽふ、と再び柔らかい枕とお布団に倒れこむ。


 昨日は楽しかったぁ…… 


 どうせ今日は日曜日だし、昨日の余韻に浸っていてもいいよね。


 昨日……どんなことがあったんだっけ。


「そうそう……むにゃ……何等分かに切ったせんべいを、食べた後――」




「チョコせんべいって意外といけるね」


「いけぅー!」


 姉とタマちゃんはまるで本当の母娘のように、仲良くサエちゃん味のせんべいを食べていた。私も食べてるサエちゃん味……おいし。サエちゃんだもん。


「こ、こらタマちゃん。チョコの部分ばっか食べないの!」


「シューはケチだね」


「けちー!」


「お、お姉様も言ってやってください――ってお姉様もしてるしっ!?」


「ん、このチョコだけ舐めた後のふやけたせんべいがまたイケるのよ」


「お行儀が悪い……ですけど、まぁお姉様がそういうなら……」


「ふやけてるー」


「……なんで僕のほうを見ながら言うんだい、タマちゃん」


 シュー君のことをふやけたヤツだと言ってるんじゃないかな。


「んー、桃ソースかかったせんべいは、いまいちだなぁ」


「うぅ……トメさんにまずいって言われたっ」


「なんでサユカちゃんが落ち込むのん」


 だってそれサユカン味だし。


「あむ……カカちゃんの先っちょ、おいしい」


 や、たしかにサエちゃん、私味のせんべいの先っちょ食べてるけど……なんでかその言い方ドキドキするなぁ。なんでかわからないけど。


「あ、あの、サエ君、僕にもカカ君を食べさせて」


「言い方がなんかヤだからヤ」


 そうだそうだ、出直して来いタケダとかいうヤツ。


「そうそう、魔女カカちゃん」


「ん、なに幽霊サエちゃん」


「今日はカカちゃんが魔女で、皆の主なんだよー。だからしもべに命令とかしてみたらー?」


「ほほぅ」


 あれ、なんか皆固まった。


 なんで皆サエちゃんのことを「余計なこと言いやがって」みたいに睨むんだろう。


「そだね、せっかく皆おもしろい衣装着てるんだし。それにを活かさないとおもしろくないよね」


「や、僕は着てるだけで充分おもしろいと思うんだけど」


「俺はおもしろい衣装着てないぞ!」


「タケダ君は一般人役でしょー。一人だけ普通の格好してるんだからー」


「なにをっ! ほら、あそこのテンカ先生だって普通の格好してるじゃないか!」


 タケダ君が指さす先には、せんべいの他に用意された料理をマイペースにむしゃむしゃ食べているテンカ先生の姿が。


 話を振られたことに気づき、こちらを向いたテンカ先生の格好は、確かに一見普通の格好に見える、が――


「むぐむぐ、っくん。オレだってしてるぞ仮装。ほれ、頭にネジついてるじゃん」


 持ってるフォークで自分の即頭部にちょこんとついているネジを指す。


「これでオレもフランケンなシュタインだぞ」


「ネジひっつけただけでしょが! フランケンさん怒りますよ!」


「怒られてから謝る、それが学校クオリティ」


「それ、どっちかというと生徒がすることだぞ。テン」


 しーらね、と我関せずに再び食べ続けるテンカ先生……よほどお腹減ってたのかな。 


「なにはともあれ! 魔女の命令を発表します!」


 放っておいたらいつまでも雑談しそうなので、流れを切って大声をあげた!


「吸血鬼サユカンが!」


「わ、わたしっ!?」


「ミイラ男トメ兄に!」


「僕か……なんか王様ゲームみたいなノリだな」


「襲いかかって血を吸う! 吸う場所は吸血鬼におまかせ!」


「ぇ、ぇ、えええええええ!?」


「ちょっと待て!! 吸血鬼が血を吸うのはわかるが、なんで相手がミイラ男なんだ!?」


「その包帯がなんのためにあると思ってるの?」


「どんだけ出血する予定なんだ僕は!?」


「ぷしゅー」


 よからぬ展開に慌てるトメ兄と違い、顔を真っ赤にして機能停止するサユカン。吸うところを想像でもしたのかしらん。


「ふふふー、さすがカカちゃん。この配役の意味を一目で見抜くとはー」


「計算済みなのかこれっ!?」


「カボチャーズ、二人を無理やりにでも血をチュッチュさせるのだ!」


「イェス、ボス!!」


 魔女の命令は絶対! シューカボチャはサユカンを、姉カボチャはトメ兄を抑えにかかる。


 しかし――


「おりゃ」


「なっ、あのお姉様の羽交い絞めから抜け出した!?」


 驚愕するシューカボチャ、悔しそうに顔を歪める姉カボチャに……不敵な表情を浮かべるミイラ男トメ兄。


「ふっふっふ……そう簡単にはいかないぞ。僕はな、三歳のころから姉に絞め技されながら色々されてきたんだ!」


 ……大変だったんだね、トメ兄の人生。


「違う! あたしはあんたが0歳のころから絞めていた! あんたが覚えてないだけで!」


「コノヤロウ!」


 おー、姉弟決戦だ!


「いいぞー」


「やれやれー」


「やんや、やんや」


 すっかりパーティの余興になってるね。私が望んでたのと違うけど、おもしろいからいいや。


「いくぞ、アネアネビーム!」


 目から光線を出す姉!


「なんの、トメトメカッター!!」


 包帯をカッターのように飛ばすトメ兄!


 そして包帯がなくなり素っ裸になるトメ兄!


「く、究極奥義HENTAIか!?」


「いただきまーすっ♪」


「うわぁ、トメお兄さんの裸をみたサユカちゃんが本当の吸血鬼にー!!」




「カカ、いくら日曜でも寝すぎだ。そろそろ起きろ」


 ……んあれ、いつの間にか寝てた。


 今の、どこから夢だったんだっけ?


「トメ兄、トメトメカッターできる?」


「なんだそれ?」


 ……やっぱあそこは夢か。ちぇ。


 ま、いいか。


 今日から私は、10歳だ!!


 前回の続きを希望される読者様がいましたので、ほんの一部を書いてみました^^

 いい終わり方だったから余韻とかイメージ壊れるかなぁと思ったけど、こういう形ならいいんじゃないかなーと^^


 トメトメカッター!

 ……ちょと気に入ってます(笑

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