カカの天下241「誕生日計画の裏側、そのよん」
「カカちゃん、心理テストしよー」
「しなさいっ」
「なに、急に」
しますさせますサユカですっ。
ただいまお昼休みに突入したところ。わたしとサエすけはそれっぽいノートを持って、カカすけの心理に迫ります。
「いいからいいからやってみよー。最近流行ってるやつなんだよー」
「ん、いいけど」
「じゃーまず第一問。次のうち、好きなのはどれ? 一・大きいお肉。二・ケーキ。三・せんべい」
なかなかバラバラな食べものが並んでいる。
「せんべい」
「えっ!?」
「……えー」
わたしとサエすけは二人して微妙な表情になる。
それも当然のこと。これは心理テストなんかじゃない。迫るカカすけ誕生日計画をどういう風にするか、詳細を決めるための質問だったのだ!
「なんで不満そうなの」
「で、でもー。ケーキも好きだよね?」
「嫌いじゃないけど、せんべいのほうが好き」
「うーん……」
「なんで二人して頭抱えるの」
ごちそうでも誕生日ケーキでもなくて……誕生日せんべいかぁ……でもどうせならカカすけの好きなもの用意したいしなぁ……
「いいや。次いこー。第二問。次のうち、乗るならどれ? 一・ベンツ。二・フェラーリ。三・おみこし」
「おみこし」
即答!?
「つ、次。第三問。どの物語が好き? 一・お姫様の物語。二・お嬢様の物語」
「その二つってどう違うの?」
お姫様扱いするかお嬢様扱いするかの違いだけど……そう言うわけにもいかない。
「んー、お姫様がドレス着てて、お嬢様が着物を着てる感じかなー」
お嬢様=着物っていうのはちょっと無理がある気もするけど、他にいい言葉が浮かばなかったんだから仕方ないわ。
「あれ、今度は二択?」
「……もう一つあるよー。三・ハロウィンの物語」
「断然ハロウィン」
わたしとサエすけは二人して「あちゃー」と頭を抱える。
「……サユカちゃん。お姉さんすごいね」
「伊達に血は繋がってないわね」
カカすけに聞こえないようにコソコソと囁きあう。
実は昨日この心理テストもどきを考えているとき、どこからともなくカカすけのお姉さんが現れて「この質問にこの選択肢を入れとくといいよ!」と助言してくれたのだ。
それがまさか、全部カカすけの好みにはまるなんて……わたしとサエすけで考えていたプランが水の泡なんだけど……
「もう終わり?」
「あ、ごめん。もう一つあるー」
あれっ、まだあるの?
わたし聞いてないわよっ。
「第四問、わたしとサユカちゃん、なんとなく選ぶならどっち?」
なにそれっ!?
「流行ってる心理テストのわりには限定された質問だね」
「仲のいい友達の名前を二つ、って書いてあるの」
……かわしかたうまいなー。
「それで、どっちー?」
「じゃ、あえてサユカンで」
「あえてってどういう意味っ!?」
「気にしない気にしない」
うう、気になる……あっ、サエすけが何を企んでるか気になってるだけだからねっ!?
別にカカすけがわたしよりサエすけのほうが大事なんじゃないかとか、そういうことは心配してないんだから!
「心理テストおわりー」
「結構短いね。で、結果は?」
「えっとね、カカちゃんは……もしも心に思っていることがあっても、それをあえて言わないほうが吉」
「ほぉ」
「余計なことを言うと幸せを逃してしまうでしょう、だって」
「へー。つまり私は喋るなと」
「いやっ、そういうことじゃなくてっ」
「だって思ったこと言えないんでしょ」
ああもう、つくづく極端な子っ。
「心の奥にある、自分にとって大事なことは言わないほうがいいって意味だよー」
「あー、なる」
……そしてサエすけは言い方うまいわねー。さすがお腹まっくろ。
「サユカちゃん、何か思ったー?」
「べつにっ!」
なにはともあれっ!
カカすけの誕生日方針は決まったわねっ。
せんべい、おみこし、ハロウィン、わたしよっ!
……なにこれっ。
「さー、忙しくなるねー」
「……そなの?」
それすらわからないんだけどっ!
さて、誕生日まであと二日です。
はたしてどのようになるのかっ!
カカの奇天烈な要望に、はたして二人は応えることができるのかっ!
そして、買い物シーンでシュー君の出番があったりとかはしないのか!? 日がないから多分しないね(鬼
というのは冗談で……サケイさんの助力によってカカの誕生日計画が方向転換したのですよ。ただプレゼントを買って祝うだけのつもりが、大きな会場が手に入ったことによって……まぁいろいろと(笑
あと二日。お楽しみにっ!
まだ書いてないので私も楽しみですっ(笑