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カカの天下  作者: ルシカ
228/917

カカの天下228「空飛ぶ約束」

 トメです。


 家に帰ってきてごろごろタイムを満喫し、そろそろ夕飯の買い物にいこうかなーというところで……居間にあるガラス戸から暮れかけるオレンジの空を見上げながら、我が妹カカは呟きました。


「……空、飛びたいなぁ」


「自殺志願者みたいなこと言うな」


 カラスでも見て思ったのかね。カーカー。


「もう、生きてる希望が……」


「今日の夕飯、さんまのから揚げにしようかと思ってたのに」


「それだけが生きる希望……」


 やっすい希望だなー。


「ま、それは冗談として」


「冗談でも自殺をほのめかすようなことは言わないの」


「……ごみん」


 素直でよろしい。カカのいいところは、僕が本気で怒ってるかどうか察することができることだ。


 たまーに僕がなぜ怒っているかわからないこともあるみたいだけど、それはまぁ子供だから仕方ない。


「でさ、空飛びたいの」


「こないだもそんなこと言ってたよな」


「うん、すっぽんぽんでも空を飛べなかったし」


 何も知らない人が聞いたらすごいセリフだな。


 すっぽんぽんで空を飛ぶ――レベルが高いヘンタイだ。一人で魔王が倒せるくらいレベルが高い。


「どうやったら人は空を飛べるの?」


「飛行機に乗ればいい」


「自力で飛びたいの」


 無茶言うなぁ子供って。


「じゃ、なにか? 羽でも生やしたいってか?」


「うん」


 遺伝子操作だのなんだの技術は進んでるだろうけど、そんなことできる世の中がくるのかねぇ……


「ほら、羽を食べてれば羽が生えてくるとかないの?」


「ないだろ、それは」


「えー。でもこないだテレビで言ってたよ。心臓を食べれば心臓生えてくるし、肝臓食べれば肝臓が生えて――」


「こねーよ! こえーよ! 生えてくるって表現がものすっごくこえーよ!!」


「えー、でもこないだテレビで」


「カカ。多分それ勘違いしてる」


 多分カカが言ってるのは漢方医学の話だろう。自分の身体の悪い部位を食べることで回復をはかろうという考え方だ。心臓が悪ければ他の動物の心臓を食べる、肝臓が悪ければレバーを食べるというもの。実際に効果があるかどうかは知らないけど……少なくとも生えてはこないだろう。


 生えてきたら移植とか便利だろうけど。


「じゃ、羽。生えてこないの?」


「そりゃな。アニメとかゲームだとそういう鳥人間たまに見るだろうけど、実際は……」


「じゃあ鳥に乗りたい!」


「飛行機で我慢するって選択肢は?」


「私は風を感じたいの!」


 ガキがいっちょまえになんか言ってる。


「だからね……いつか、乗れるようなでっかい鳥がいる国に旅行にいってやるの! お金貯めて!」


 ……ほぅ?


「ずっと先になるかもだけど――」


「よく言った! うんうん、鳥に乗る、なんて難しいだろうが夢を持つのはいいことだ。なんだか僕も風を感じたくなってきたよ!」


「トメ兄? なんか急に……」


「ん? いやいや特に他意などはございませんことよ?」


「よくわかんないけど、確かにタイにはでっかい鳥はいないだろね」


「いないねぇ。どこにいるのかねぇ」


 急に僕が協力的になった理由。


 それは、カカがこのままやる気になってお金を貯めてってくれる分にはまったく異論がないから。


 そしてもう一つ。


「そのときは僕も連れてってくれな」


「うん、もちろん!」


 カカの稼ぎで海外旅行、ゲットだぜ!


 ずいぶんと先の話だけど……頑張ってお金稼いでくれな、妹君♪


 おまえのワガママで行くんだ。


 僕は一銭も出さないからなっ。


 空を飛びたいという子供の純真っぽい想いは果たして叶うのか!?


 さてさて、それとは別に空へと『落ちる』人もいなくならない世の中ですよね。

 私は、自殺は嫌いです。

 きっと自殺を考える人のことは本人にしかわからないだろうし、生きる気満々の私がヘタなことを口にしても説得力はないでしょう。

 でも、頑張ってほしい。

 少しでも笑ってほしい。

 傲慢かもしれないけど、自分の文章で笑えるなら笑ってほしい。

 ちょっとワガママすぎますかね。でも、誰かを救えるような小説……いつか書けたらいいなと思います。


 本編内容のわりに重いあとがきで申し訳ありません!

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