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カカの天下  作者: ルシカ
223/917

カカの天下223「誕生日計画の裏側、そのいち」

 こんにちはっ、サユカです!


 今日は学校も終わり、いつもなら三人で集まって遊んでいる時間です。でも今日は私とサエすけの二人だけで商店街をうろついています。


 カカすけに内緒で。


 なぜ内緒かというと、来月に誕生日を迎えるカカすけへのプレゼントを買いに来たからなのですっ。


「何がいいかなー」


「うーんっ、カカすけのプレゼントだし、とりあえず赤くないとダメよね」


 わたしの極当たり前の意見に、サエすけはため息をついた。


「あのねー、サユカちゃん。せっかく私たちからカカちゃんにあげる誕生日のプレゼントなんだよ?」


「うっ、ごめん」


 そうだよね、マジメに選ばなきゃ……


「ここは私たちの黒色と桃色を合わせるべきでしょー」


 そっちかいっ。


「ねぇ、その前にわたしって桃色確定なの?」


「それ以外に考えられないしー」


「考えてよっ、ピンク色とかさ」


「それ同じ色でしょ」


「桃色より響きは可愛いと思うのっ」


「じゃサユカちゃんは頭がピンク色ってことでー」


「ちょっと待って『頭が』はいらないわよっ」


「えー、もともとは頭が桃色って言ってたんだよー」


「……むぅ、そういえば前にそんなこと言ってたような――」


 おっと、こんなこと言ってる場合じゃなかった。


「サエすけ、遊んでないでマジメにプレゼント選びましょ」


「そだね。サユカちゃんなんかで遊んでる暇なかった」


「……なんか、って」


 ちょっと、そんな言い方ないんじゃ――なんでニコニコしながらわたしの頭を撫でまくるのサエすけ。


「サユカちゃんのこういう可愛い顔を写真に撮りまくってあげるっていうのもいいねー」


「な、なによそれっ」


「サユカちゃん写真集作ってカカちゃんにあげるの。いいアイデアだと思うけど」


「イヤよそんなのっ! サエすけこそ写真集作ってあげなさいよ」


「狂喜乱舞するほど喜ぶぞ」


「ほらっ、どこからともなく聞こえる声もこう言ってるし!」


「サユカちゃん何言ってるのー?」


 あれ? 確かに声が聞こえたと思ったんだけどな……気のせいか。


「とりあえず私たちの写真集は候補にいれておくとしてー、あとはケーキがいるね」


「それは当日近くに考えればいいでしょ。とりあえず今日は変なプレゼントを選ぶのよっ」


「そだねー。あ、ここのファンシーショップ覗いてみよー」


「おっ、ショーウィンドウのドクロなママがいい感じねっ」


 変な商品が多そうっ。


 すごくカカすけっぽい!




 数十分後。店を出たわたしたちは帰り道を歩いていた。


「結構いいものが買えたねっ」


 ちなみに『いいもの=すごく変なもの』という公式だ。


「うん。でもー、私的には誕生日はすごくいい思い出だし、もっと豪華なのがほしかったなー」


「仕方ないじゃないっ。わたしたち小学生なんだから、やれることには限度があるわよ」


「そうだけどー、なんとかならないかなー」


「ないものはないの! じゃ、渡し方だけでも派手にすればいいじゃない。おめでとー! って普通に渡すのはつまらないし」


「そだねー、じゃサユカちゃんが告白風味に渡すのはどうかなー」


「こ、告白って、トメさん以外に?」


 そんなふしだらなっ。


「ダメかー。貸してー」


 サエすけに今買ったプレゼントの包みを渡す。


「おめでとー! うーん普通。ハッピーバースディ! 普通だなー」


 サエすけは歩きながらプレゼントを渡す練習を始めた。


「めでてー! うーん微妙。おめでたっ! うーん意味が違う」


「あ、サエすけ――」


「たんじょーび、おめでたうございませう! うーん昔風にしてみたけど――」


「ありがとう!!」


「……へ」


 あちゃーっ。


 サエすけは練習に夢中で前を見ていなかった。


 だからちょうどよく(悪く?)通りすがった人にプレゼントを差し出してしまったのだっ。その通りすがった人はたしか――カカすけがシュー君とか呼んでた人!


「君はカカちゃんの友達だよねっ! あまり接点のない僕の誕生日を祝ってくれるなんて……感激だよっ!!」


「……はー」


 何を呆けてるのよサエすけ! 説明しないと!


「うぅ……お姉さまも覚えてくれていなかった今日の誕生日を……はっ! もしかしてこれは、実はカカちゃんとお姉さまからのプレゼントで、照れくさいから友達経由で渡してとかそういうことで――」


 な、なんか妄想が炸裂してるよぅ。こわっ!


 このままだとまずい。ちゃんと説明しないと――


「あ、えっと、そのですねっ」


「実はその通りなんですよー」


 さ、サエすけ!?


「本人たちはすごい恥ずかしいみたいで、多分聞いても正直に言わないと思いますけどー」


「や、やっぱりそうなのかっ! あぁ、僕はなんて幸せ者なんだ!」


 え、え、え!? サエすけなんでそんな嘘を……この人本気で信じちゃってるよ!


「それでですね、実は十月二十日がカカちゃんの誕生日なんですけどー、お姉さんたちと同じことしてみませんか?」


「お、同じことと言うと?」


「シューさんがカカちゃんにプレゼントを買って、私たちが渡すんですー。そしてさりげなく私がシューさんの名前を出せばー」


「ぼ、僕の好感度も上がるというわけですねっ! わかりました!」


「あ、プレゼントは私たちが選びますから、連絡先教えてもらえますかー? 今度一緒に選びましょー」


「わかったよ! いやぁ、女の子と買い物だなんてちょっと恥ずかしいなぁ」


 いや……女の子っていっても小学生だし……っていうかサエすけ、それって……


「じゃ、僕はパトロールがあるから行くよ! またね!」


「ばいばーい」


 ブンブンと手を振るシューさんがいなくなり、サエすけはこちらを向いてにっこりと笑った。


「大人の財力げっと♪」


「やっぱそういうことかっ! 黒っ!! 君やっぱめっちゃ黒っ!!」


「ちょうどいいとこにカモがいてよかったー」


「カモとか言うなっ」


「これで文句なしにいいものが買えるねー」


「……それで、プレゼント渡すときにシューさんの名前は」


「出すわけないじゃーん」


 ……やっぱしか。 


「あの小さなドクロばばぁ人形で大人の財力が買えるなら安いものだよねー」


「あぁ、サエすけはこんなこと言ってるのにシューさんは喜んでプレゼント買ってくれるんだろうなぁ……」


 ほんと、たしかに『幸せ者』かもしれない。


 可哀想かもと思ったけど……


 幸せならいっか! 


 ……いいのかな。

 はい、今回は飛鳥さんのリクエストで誕生日の話を書いてみました。飛鳥さんおめでとう^^そしてシュー君と誕生日同じでごめんなさい(シュー君に対してはひどいけど

 他のキャラは誕生日決まってるので、誕生日当日の話を書いたりとかはできませんでしたーのでこれくらいで勘弁してください^^;

 そして思わぬところでサエちゃんの黒さ炸裂です。

 最近白かったけど(意味不明)やっぱ黒いとこは黒いです。

 さて……十月二十日に向けてすこしずつ準備が進んでいきます。すこしずつ、ですけどね。

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