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カカの天下  作者: ルシカ
216/917

カカの天下216「カカノテイオー」

「はあ!?」


「ね、お願いトメ兄」


 どうも、いつも通り妹のカカに無理難題を言われたところのトメです。


「おまえなー、いったい何歳だよ」


「子供っぽいっていうのはわかるけどさ、ほら、なんか公園に置いてあるやつ見たら不意にやりたくなっちゃって……」


 そういうことあるよなー。わかるけどさ。


「で、お馬さんごっこか?」


「うん」


 この妹のすごいところは自分のやりたいことをストレートに口にできるところだ。恥ずかしいとかそういう感情は二の次なんだよな……良いことか悪いことかはわからないけど、後悔しなさそうな生き方だ。


「トメ兄、馬になって」


「……や、まぁ、いいけどさぁ」


「じゃ夕食は馬刺しだね」


「食べるんかい!」


「違うよ、刺すんだよ。おしりから」


 いつだったか、カカが寿司屋で「馬の串刺し」とか注文してたのを思い出した。


「じょーだんじょーだん。ほら馬になって」


 何年ぶりかな、こんなことするの……しぶしぶ言われたとおりに四つん這いになる。む、居間の畳が食い込んで少し膝が痛いな。


「じゃ、乗るよー」


「重っ!」


「まだ乗ってない!」


「うごっ!」


 蹴られた……


「ほんとに乗るよ?」


「はいはい、どうぞ」


 背中に重さがかかる。む、意外と軽い。こいつも大きくなったなぁと思ってたけど……女の子だし、小四ならこんなもんか。


「はいよー、ヘルパー!」


 どっかに困った人でもいるんか。


「それを言うならシルバーだろ」


「はいよー、しるババァ!」


 汁ババァ?


「キモいわ! シルバーだっての」


「なんでシルバーなの?」


「昔の西部劇の映画で、主人公の愛馬がシルバーって名前でな、そのときにハイヨー、シルバー! って言ったのが有名になったらしいぞ」


 豆知識炸裂。


「ほれ、とにかく動くぞ。パカラッパカラ〜!」


「トメ兄……意外とノリノリ?」


「カカが小さいころよくやってたからな。ほれほれ!」


「おっ、うぁ、あっはは!」


 カカが振り落とされない程度に動く動く! 正直言おう、結構楽しかったりする。


「やっほー! 我が弟に妹よ! 息災かー!?」


 唐突にドアを壊しそうな勢いで入ってきた姉は、僕らのお馬さんごっこの現場を見て固まった。


「な、なにしてんのあんたら」


 まずい。


「や、これはその……」


「た……たのしそー!!」


 やっぱこうきたか。


「あたしもやる!」


 目をギンギラギンに輝かせた姉はそう言って、入ってきたのと同じ勢いで外へと出て行った。


「あたしもやるって……誰とするんだろ」


「んー、タマちゃんにでもしてあげるんじゃないか?」


「そんな普通のこと、姉がするかな」


 しないだろうな……まぁいいや。パカラッパカラ。


「きゃっふー♪」 


 しばらく遊んでいると……外から騒がしい足音が近づいてきた。


「……姉だね」


「多分な」


 二人そろって玄関のほうを向くと……予想通り姉が飛び出してきた。


「ハイヨー! アタシガテイオー!」


 姉は馬に乗っていた。


 競馬っぽい名前をつけてるけど、その馬は誰がどう見てもシュー君だ。まさに「あたしが帝王」って感じの光景である。シュー君かわいそー。


「や! これ楽しいね! ほら、鳴け!」


「ひひーん!!」


「アタシガテイオーも楽しいってさっ!!」


 それが楽しかったらシュー君、あんた本物だよ。


「とりあえずもっかい町内一周してくるね」


「もっかい……? ちょと待て。おまえまさか!」


「ぶち抜くよ! アタシガテイオー!」


「ひひーん!!」


 シュー君、泣いてたな……自分で自分を逮捕したい気分だろうに。罪状はなんだろう。


「トメ兄! 私たちも姉に負けてられないよ!」


「負けでいいよ」


「でも賭け金とられるよ?」


「競馬じゃないっての」


「でも、賭け金」


 むっ、いまだに僕の上に乗ってるカカに顔の向きを無理やり変えられた。視線の先には……なにもない。


 なにもない!?


「ここにあった僕の財布は!?」


「ハイヨー」


「アホか、普通に走るわ!!」 


 あの姉、人の金をまた勝手に……ダッシュ!!

 



 これだけを記しておく。


 アタシガテイオーはものすごく早かった。


 シュー君すげぇ。


 姉はすげぇバカ。


 姉は相変わらず犯罪ぎりぎりのことをしてくれます。

 え? ぎりぎりじゃなくて犯罪?

 警官が許してるからいいんです。世の中そんなもんです。


 あと、いつもより更新が遅かったのでわざわざ心配していだたくメッセージがありまして……なんかすごい嬉しいです(笑)仕事の都合で遅れただけなので大丈夫ですよ^^わざわざありがとうでした!

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