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カカの天下  作者: ルシカ
215/917

カカの天下215「クリック」

「おー、これがパソコンか」


「カカすけ、パソコン初めて見たの?」


「んなわけないでしょ。これがサエちゃんちのパソコンかぁってこと」


「私は初めて見たー」


「サエすけがかいっ。これ君のでしょがっ」


 そういうわけです、カカです。


 どういうわけかって? 会話で察してほしいなぁ。あ、うそうそ冗談。


 今日はサエちゃんちがパソコンを購入したということで、サユカンと二人で見物しにきたのです。あ、私は本当に初めて見るわけじゃないよ? 友達の家で何度か触ったし、一応学校にも置いてあるし。授業では使ったことないけど。


「とりあえず電源いれてみよっ、買ったばかりでも絵を書いたりゲームしたりはできると思うし」


「電源はー……どこ?」


「ここでしょっ。サエすけ本当に持ち主?」


「触るのは初めてで……」


 おろ、いつものニコニコ顔に少し余裕がないような……珍しい。


「あ、ついたー」


 でもパソコンは無事にスイッチオンされました! 


「サユカちゃん、やるー?」


「これはサエすけのでしょ。やっぱ最初にいじるのはサエすけじゃないと」


「……カカちゃーん」


 その瞳に負けそうではあるけど……


「私もサユカンに賛成。はい、座った座った」


 浮かない顔のサエちゃんの肩を捕まえて、パソコンの前に座らせる。


 サエちゃんはパソコンのデスクトップ画面を恐る恐る覗き込んだ。


「え、えっと……絵を描いたりするのはどうするのー?」


「まずね、このマウスを動かすの」


「え、ここにねずみが入ってるのー!?」  


「怖いこと言うな! ……ちょとカカすけ。どした」


 ……ご、ごめ……ぷはははは!


「ま、いいや。マウスっていうのはこれの名前。これを使って画面の矢印を動かすの」


「こ、こう?」


「違うっ、画面に直接マウス押し当てるんじゃなくてっ」


 ……お、お腹が痛い……うくく……可愛い……


「カカすけも腹抱えてうずくまってんじゃないわよっ。まったくもう、マウスはね――」


「サエちゃん、そのマウスの先端、光ってるでしょ」


 うずくまってるなって言われたし、サユカンの言葉を遮ってどっこらしょ。


「う、うん」


「それを画面に向けて、ビーム発射! パソコン動けぴっぴるんって言えば思い通りに動くよ」


「わ、わかったー。ビーム発射! パソコン動けぴるっぴん!」


「ぶはははははははは!!」


「遊ぶなカカすけっ」


「動かないよー。あ、ぴっぴるんだったよね。ぴるっぴんって言っちゃったよー」


「君も信じるなっ!」


 あーおかしー。腹いたいー。


 ホント余裕ないんだなーサエちゃん。普段なら絶対こんなこと言わないのに。


「まったく……マウスっていうのは――そうそう、そうやって動かすの。それでそこをクリックする。クリックっていうのはね――」


「う、うん……うん」


 ふー、やっと笑いが落ち着いてきた。


「ほら、そこをクリック」


「うん」


 お、なんとかできるようになったかな。サユカンって面倒見いいなぁ。


「で、そこを右クリック」


「うん」


 もう笑いどころはないかな?


「……右クリックだってば」


「やってるよ」


「ちがうちがう、右クリック」


「こうでしょー?」


「だから! 右クリックだってば!!」


「だからー、ちゃんと右腕でクリックしてるじゃん!」


 ブッ!!!


「じゃあ左クリックって言ったら左腕でクリックするんかい!」


「あ、う、えとー」


 さ、サエちゃ、か、かわいふはははははは……


「……カカすけ。君、今日笑ってばっかりね」


「わ、笑い死ぬ……というか、萌え死ぬ……」


「か、カカちゃん、なんでそんな悪魔みたいな目で私を見るのー?」


「ふふふ……次はどんなことして笑わせてくれるのかなー」


「そ、そんなぁ」


 サエちゃんがこんな弱気になるの珍しいしね。


 徹底的にいじめてやる! むふふー♪


 その日、私は初めてサエちゃん『で』遊んだ。


 伝説の右クリック炸裂! 

 

 言いたいことはそれだけです!(ぅおい 

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