カカの天下213「公園で遊ぼう、階段編」
「しりとりかいだんしよう」
「しりとりの怪談のことー?」
「そんなの難しすぎるわよっ」
たしかにそんな怪談しろと言われても難題だなぁ。
「カカちゃーん」
「なんだい?」
シャレじゃないよ? カカです。
今日は学校が終わった後、親友サエちゃんサユカンのいつもの二人と、近所の公園に遊びにきました。
「いくら公園の設備がしょぼいからって、こんな明るいうちから怪談するのはどうかと思うよー」
「や、そうじゃないのサエちゃん。かいだんってこれのことだよ」
そう、そこそこ大きい公園だから、ちょっと広くて大きい階段なんてものがある。私ら三人はちょうどその階段の下に立っていた。
「いくらつまらないシャレを思いついたからって、こんな明るいうちから怪談するのはどうかと思うわっ」
「や、そうじゃないのサユカン。もともとこの階段を指して言ったの」
あと私が普段からつまらないシャレ言ってるみたいに言うな。
「ほら、じゃんけんしながら階段上ってく遊びあるじゃん。グーで勝ったら『グリコ』で三段。チョキで勝ったら『チョコレイト』六段。パーで勝ったら『パイナップル』で六段上るやつ」
「なんで『グリコ』だけ食べ物じゃないんだろうねー」
「わたしもそれは昔から疑問だったわっ。グリルとかどうかしら」
どうでもええやん。
「で、それとしりとりを合体させようかと」
「どういうこと?」
私が思いついた遊びはこうだ。
まず、しりとりの最初の文字を決める。
次にじゃんけんをする。勝者が一人になるまでやる。勝った人は五文字以内でしりとりの続きを言う。五文字以内なら何文字でもいい。そしてその文字数分、階段を上る。
じゃんけんで勝ってから十秒以内に答えられなかったら階段は上れず、もう一回じゃんけん。時間は私の腕時計のストップウォッチで測る。
先に一番上についた人が勝ち。
これが『しりとり階段』だ。別に普通に階段上り遊びしてもよかったんだけど、こっちのほうが難しいんじゃないかなーと思ったのだ。
「他にやることもないし、やってみよっかっ」
「私もいいよー」
「おっけ。じゃ、最初のしりとりの文字何にする?」
「普通にじゃんけんで勝ったときの頭文字でいいんじゃない?」
なるほど。グーで勝ったら『ぐ』か。
「よーし。いくよ。最初はグー! またまたグー! 怒りは募って頭はボーン!」
「なにそのかけ声……」
昔ながらのかけ声、私ばーじょん。
「正義は勝つ?」
「なんで疑問系なのー?」
世の中そんなうまくはいかないから。
「じゃーんけーんぽい!」
結果は!
あ、サユカンが勝った。チョキで。
「計測開始」
「え、あ、えっとっ」
先に上についたほうが勝ちなんだから、なるべく五文字の答えを言って五段上ったほうが有利に決まってる。でも咄嗟に『ちょ』から始まる五文字の言葉を言え、なんていうのは結構難しい。
「ちょ、ちょ……チョベリバ!」
……古。
「ちょっと君ら、なにその、可哀想な人を見る目は」
「時代に置き去りされたんだね」
「あわれー」
「うるさいよっ!」
なにはともあれサユカンは五段あっぷ。さぁ次いこ。
「じゃーんけん、ぽい!」
あ、私勝った。
「計測開始っ」
えっと、『バ』だよね。
「ババァの……」
「ババァの、なにー?」
まずい。先走って言っちゃった。ババァの……ババァの……どうしよう、あと一文字でしか言えない!
「三、二……」
ああもぅ!
「ババァの血!! ……なに、二人ともその目は」
「やっぱカカすけだなぁって」
「ぶしゃー」
「やかましいよ!」
ぶしゃーって何の音さ! 怖いなぁ! 言ったの私だけど!
「じゃーんけん、ぽい」
お、サエちゃん。勝った。
しりとりは『ち』
「計測開――」
「チキンカツ」
さすがサエちゃん。やっぱ食べ物できたか。しかもはやっ!
「食べたいなーと思って」
「サエすけ、こないだしりとりしたときも食べ物の名前だけでわたしに勝ったのよね……」
そんな感じで階段を上っていったけど。
勝者は、しりとりでことごとく五文字の答えを出していったサエちゃんだった。
しかも全部食べ物の名前で。
「サエちゃん、すごい」
「だってお腹すいてるもん」
お腹すいてるとサエちゃんは無敵になるのかもしれない。
そんな意味不明なとこも大好き。
「カカ、意味不明っておまえが人のことを言うか」
黙れテレパシートメ兄。
さて、次は何して遊ぼっかなぁ。
小さい頃に使っていたジャンケンのかけ声を思い出して書きました。最初はグー、またまたグー〜と続いていくやつです。いくつかパターンあった気がするのですが……誰も知らなかったらどうしよう(^_^;)
ちなみに本作で使ったのは私が覚えているパターンのをいじったやつです。