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カカの天下  作者: ルシカ
210/917

カカの天下210「和風、洋風、○○風」

「トメお兄さんって料理うまいですよね」


「ん、そか?」


「そうですよっ、たまにご馳走してくれる夕食とかほんとおいしいですっ」


「そりゃご馳走するときは見栄はってるもん」


 やかましいそこの妹。正直なこと言うな。


 どうもトメです。今日もそろそろ夕食時。うちにたむろしてる妹どもと別れて、そろそろ買い物に行こうかなと思っていたところです。


「サエちゃんとサユカちゃんも食べてく? それなら材料多めに買ってくるけど」


「わ、いいんですかー」


「サエすけ、それ目当てでこの話題振ったでしょ」


「むー、別にそういうわけじゃ」


「サエちゃん腹黒だね」


 きゃいきゃい騒ぐカカサエサユカは、腹ペコ状態の僕と違ってほんと元気いっぱいだ。


「ところでさ、サエちゃんとサユカちゃんってどういったものが好みなんだ?」


「サユカンの好みはトメ――ぐほぁ!?」


「な、なんでもないですよっ」


 すげぇ……あの姉拳法の使い手カカに、不意討ちとはいえ鳩尾に肘を決めるとは……


「そ、そういえばサユカちゃん和菓子好きだし、もしかして和風な料理好き?」


「あ、はい! お料理も和風なのが好きです!」


「ふむふむ、サエちゃんは?」


「私はですねー、お菓子もお料理も洋風なのが好きですね」


 なるほど。


「わ、私も洋風好き!」


 さすが我が妹、復活が早いな。


「だからサエちゃん、お揃いだね!」


「まて。カカは和風好きだろ」


 何年おまえの飯を作ってきたと思ってるんだ。


「む! 違うの洋風なのお揃いなの!」


「お揃いになるために嘘なんかつくな! それじゃ今のカカこそが腹黒だぞ」


 おぉなんかサエちゃんものすんごく嬉しそうだ! カカと腹黒でお揃いだからか?


「嘘じゃないもん! そもそも私は基本的になんでも好きだもん! 和風でも洋風でもなんでもこいなんだもん!」


「ほほぅ、なんでも、と言ったな? じゃあネズミとかゴキブリを使った中国料理も大好きなんだな!」


 中国料理って本当になんでも食べるからな。


「身近なゲテモノを出しましたねー」


「さぁカカすけ、答えはっ?」


「ちゃ、ちゃんと調理してるなら大丈夫だもん!」


「へぇ? じゃ今度調達してきたらちゃんと食べるんだな?」


「いいよ、食べてやるよ! ゲテモノがなんぼのもんよ!」


 ちぃ、手強いな……ならこれならどうだ!


「じゃあ姉の丸焼きとかでも食べるんだな!?」


「すいません無理です」


 降伏はやっ!


「身近すぎるゲテモノはアウトかー」


「カカすけ、残念っ」


 ゲ、ゲテモノって……ちょっとサエちゃん。仮にもうちの身内にそんな言い方――


「あたしのこと呼んだかい!?」


「出たなゲテモノ!!」


「ひどっ!!」


 あ、僕が言っちゃった。


 ま、いいや姉だし。


「ところで……何の話してたんだっけ?」


 一番エキサイトして喋ってたくせに小首を傾げるカカ。


 でも……あれ? 僕も途中から勢いに任せて喋ってたから話の趣旨忘れちゃった。


「みんなでおいしくトメお兄さんのご飯を食べようって話ですよー」


「あ、そうだっけ。じゃ結局……なに作ればいいんだ」


「ちなみにあたしが好きな食べ物は――」


「聞いてないし興味もない。よし、じゃあ中をとって皆大好きカレーライスでどうだ!」


「「「さんせーい」」」と三人。「ブーブー」と豚が一人。


 さて、献立も決まったし買い物に行くかな。


 五人分ともなると結構な量になるし、さっさと作らないとな。




 ――そして今夜は、とても騒がしい食卓となりましたとさ。


 果たして○○にはいったい何の文字が入るのでしょうか……謎です。そうでもないか(笑)


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