カカの天下202「カカと言葉、レベル3」
「私達って何族なんだろう……」
あいかわらずいきなりワケのワカランことを言う妹だ。
トメです。夕飯時です。居間で食べながらテレビ見てます。
「ほら、テレビにうつってるじゃん。ラーメン族って」
「……あぁ」
「じゃ、私達って何族?」
「何族ってそりゃ……何族かな」
日本人か、いや『何族』って聞いてるからこれじゃないし……
「や、そもそも何族とかに分類されないんじゃないかな、僕らは」
「えー、分類してよ」
んなこと言われてもなぁ。
「そもそもどんな部族が世の中にあるのか知らないし」
「えっと、例えば……裸族とか」
「たまーに近所で捕まるな」
ヘンタイ族とも呼ぶが。
「あと……海賊?」
「そんなに悪じゃないぞ僕らは」
「姉は?」
「どっちかと言うと山賊に近くないか? イメージが」
我ながらいい例えだ。
「じゃ、貴族」
「そんなにお金もってないしなぁ」
「お金持ちといえばサカイさん」
「あれはオタク族とか引きこもり族って呼ぶんだ」
密かに吸血鬼族の疑いもかかっている。
「じゃあじゃあ、金属!」
もう族じゃないし。
「金属ほどかたくないだろ、僕ら」
「トメ兄は頭固いとおもうよ」
「やかましい。おまえが柔らかすぎるんだ」
発想が柔軟すぎるから変なこと思いつくんだ。良いことなのやら悪いことなのやら。
「けいぞくは力なり」
「それ単なるスローガン」
『ぞく』ってつけばなんでもいいんか。
「ゾクゾク!!」
「何を震えてるんだカカ」
「寒いときの効果音」
さいですか。
「あとは、あとは、んーっと……あ、家族は!?」
「おー、それでいいじゃん」
やっと会話の主旨が戻った。
「やー、自分でもなかなかうまいこと言ったなぁと」
「いつもは発想が暴走しまくって終わるのに、綺麗にまとまったな」
「そっか。私達は暴走族だ!」
……あぁ、ほんとその通りですよ。
「はいはい、カカは暴走ばっか。暴走族ってことで決定! 満足したか?」
「うん、満族」
「字が違う」
「なんでわかったの?」
「勘だ」
僕らって不毛な会話ばっかしてるよな……暇つぶしにはなるけどさ。
「趣味が妹との会話なんだし、仕方ないよ」
「だから心の呟きに返答すんなっての。誰に似たんだ」
「忍者のお父さんじゃない?」
「……なるほど」
ここ数年、カカに姿見せてないんだけどなぁ。親はなくとも子は育ち、似るものなのか。
「おりゃー、暴走」
「すんな!」
や、姉のほうが似てるなこいつは。
レベル三、と書いた割にレベルが下がっている気がするのはなぜでしょう。
……あ、難しい言葉使ってないからか^^;
まぁ、細かいことはキニシナイ方向で(笑