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カカの天下  作者: ルシカ
201/917

カカの天下201「最高の枕と優しい手」

「眠いー」


 そう言って目をしょぼしょぼこすっているのは、親友のサエちゃんです。


 目をこするしぐさも可愛いなぁちくしょー、などと不届きなことを思いながらそれを眺めているのは、お馴染みカカです。


「寝てないの?」


「怖い夢みてー」


「へー、サエちゃんにも怖いものあったんだ」


「どういういみー?」


 や、だって最近のサエちゃん。なんとなく私より無敵っぽいよ?


 そう言ってからかおうかと思ったけど……なんか本当に眠そうだったからやめておいた。


「机に突っ伏して寝なよ。私もたまにやるけど、結構眠れるよ?」


「うー」


「私はトイレいってくるから」


 そう言って立ち上がり、教室を出ようと歩きだす。


 しかし――くいっと引っ張られる服の裾。振り返るとサエちゃんが。


「……どしたの」


「一緒にいくー」


「……寝ないの?」


「眠いけど寝たくないー」


 よくわからない。




 体育の時間。


「おいサエ。おまえそこのチームじゃないぞ」


 サエちゃんはチーム分けで別のチームになったにも関わらず、私のそばを離れようとしなかった。もしかして私、愛されてる?


「カカちゃんと一緒のチームがいいんです」


「……理由が可愛いな。許可する」


「「「ええっ!?」」」


 勝手な判断に生徒は大ブーイング。しかし。


「うるせぇ! この組ではオレがルールだ! 逆らいたきゃ腕っ節でものを言いなっ!!」


 もちろん誰も言えるわけなかった。


「あ、あの先生。俺もそっちのチームがいいなぁ」


「おまえは可愛くないからダメだ」


 素晴らしい差別だ。




 帰り道にて。


「サユカちゃん残念だったねー」


「宿題忘れた居残りだってね。いつも私に宿題やれって言ってるくせに、サユカンも人のこと言えないよね」


 サエちゃんと一緒に帰るのはいつものことだけど……今日は本当にずっと私のそばを離れなかったなぁ。


 もしかして結ばれたのかな? どきどき。


「ただいまー」


「こんにちはー」


 そして、今日は一旦家に帰ることもなく我が家までついてきたサエちゃん。


 ランドセルを私の部屋に置いて、サエちゃんと向き直る。


 サエちゃんは大きな欠伸をしていた。今日何度目だろう。


「サエちゃん。その怖い夢ってなんだったの?」


「んー……」


 今朝から何度か聞いたけど、聞くたびにサエちゃんは口ごもった。


 でもさすがに気になってしまう。


「とにかくサエちゃんが眠れないのは、また怖い夢みちゃうから?」


「あ……うん」


 やっぱり。授業を聞き流しながらずーっと考えた推理が当たってた。


「それはね、きっと枕がよくないんだよ!」


「えー」


「だからちょっとこっちに」


 私はサエちゃんを連れ出して、最高の枕がある場所に連れていった。


「はい、この枕使って」


「で、でもー」


「いいからいいから」


 私はサエちゃんに枕をすすめて、自分も寝転がってもう片方の枕に頭をのせた。


「うわー、なんて寝心地いい枕」


「でしょー」


 私とサエちゃんは枕の心地よさを感じながら、目を閉じる。


 ……そのまましばらくして、サエちゃんが口を開いた。


「カカちゃんとね、会う前のときの夢を見たのー」


「それが、怖い夢?」


「……うん。カカちゃんと会ってからのことが、もし夢だったらって思うとー」


 ――怖かった。だから夢じゃないと確認するように、ずっと一緒にいたかった。


 少なくとも今日は……とサエちゃんは恥ずかしそうに笑った。


「……そっか」


 サエちゃんと仲良くなって、私の世界は広がった。


 それはサエちゃんも同じだったのかな。


 私だって、サエちゃんと仲良くなってからが、もし夢だったらと思うと……


「サエちゃん」


「んー?」


「手、つなごっか」


「……ん」


 ぎゅっと手を繋いで。


 私とサエちゃんは、目を合わせて微笑みあった。


「これなら、ゆっくり眠れそー」


「私も」


 私達は目を閉じる。


 幸せの感触を確かめながら――夢の中でも離れないようにと、願いながら。




 ……さて皆さん、おはようございます。トメです。


 今日は会社が半日だけだったので、家に帰って昼寝をしていたのですが……


「なんだこいつら」


 なぜにカカとサエちゃんが僕の膝の上を枕にして眠っているのでしょうか?


「寝返りうたなくてよかった……」


 なんかやたら幸せそうだし、ここで膝を動かして彼女らの頭を床にゴン! と落とすのも気が引ける。


「しかし……動けないんだけど」


「こんにちは、おじゃましまーすっ」


 あれ、サユカちゃんの声が玄関から。


「ちょっとカカすけ! 君さ、わたしのやった宿題と自分の宿題すり替えたでしょっ、おかげでわたしちゃんとやったのに怒られて――」


 怒鳴りながら居間に入ってきたサユカちゃんは、僕と僕の膝の上を見て固まった。


「あー、サユカちゃん。これはね」


「わ、わたしはどこを枕にすればいいですかっ!?」


「とりあえず落ち着け」


 どうするかな、この二人。


「……いっしょ」


 幸せそうに……どっちの寝言なんだか、まったく。


 はい、カカラジで壊れた分、ちょっとサエちゃんほんわか話を書いてみました。黒くないサエちゃんが見たい、というちょっとしたリクエストもあったので^^;

 いかがだったでしょうか。

 ホームコメディの『ホーム』の部分でした(なんのこっちゃ

 

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