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カカの天下  作者: ルシカ
199/917

カカの天下199「ニャイドル」

「あれ、カカすけは?」


「どっかいっちゃったー」


 こんにちはー、サエですー。


 ただいま学校の昼休みです。給食を食べ終わった親友のカカちゃんは今言った通り、どこかへ行ってしまいました……さびしいー。


「んー、カカちゃんいつ帰ってくるかわかんないし、先に見てようかー」


「なにをよ」


 覗きこんでくるサユカちゃんは、隣のクラスなのに相変わらず私達のクラスに入り浸っている。よっぽど私達が好きなんだねー。


「なに、その孫を見守るおばあちゃんみたいな目は!」


「ほっほっほ、サユカちゃん飯はまだかえー」


「おじいちゃん、さっき食べたでしょっ、ってぇ、それじゃサエすけはおじいちゃんじゃないのっ!」


 のりツッコミだー。トメお兄さんに近づこうと必死なんだねサユカちゃん。


 かぁいい。


「それでっ、なにを見るって?」


「これー」


 昨日発売されたネコの写真集なのだー。


「うぁっ」


 わ、サユカちゃんの目が輝いた。


 サユカちゃん、背高いしツンツンしてるけど、可愛いもの好きなんだよねー。


「こ、このポーズ、可愛すぎ!」


 そしてサユカちゃんは興奮しすぎー。


「うわぁ、うわぁ、このミシュって子、可愛い……脚がきれい、脚がー!」


 このセリフだけ聞くと危ない人だなーサユカちゃん。


「日本中のアイドルネコが紹介されてるんだよ、この写真集。通称ニャイドル写真集」


「へぇー、へぇー、そうにゃのかー!」


 ……にゃ?


「サユカちゃん?」


「にゃによっ、今忙しいんだからにぇ!」


 にゃ? にぇ?


 私はとりあえずサユカちゃんが持ってる写真集を取り上げた。


「にゃにするのっ」


「にゃにしてるんでしょーかー?」


 と、ここでようやくサユカちゃんは自分の言葉使いに気がついた。


「え、や、これは」


「あれあれー? どうしたのかにゃー?」


「な、なんでもにゃ……じゃなくてなんでもないわよっ!」


「にゃーにゃー」


「なぜに頭を撫でるサエすけっ!?」


 だって可愛いんだもん。


「別に遠慮せずに、にゃーって言いなさいなー」


「またこのパターンか! 言わないわよっ、ネコかわたしはっ」


「うん、ネコ化だねー」


「ネコか?」


「だから、ネコ化だよ」


「はぁっ?」


 うーん、文章にすれば伝わるのに、声にすると伝わらない言葉の意味……日本語って難しー。


 その点、西川と西革を聞き分けられるニシカワ君はすごいと思う。どっちが本名だったか忘れたけどねー。


「……とにかくそれ、もう一回貸しなさいよっ」


「貸して下さいにゃって言ってくれたら――」


「貸して下さいにゃ!」


 あれー? すぐ言っちゃった。


 恥ずかしがるのがおもしろいのに……つまんない。そんなに見たいのかなー、これ。


「わかったよー。じゃ一緒に見よー。それで二人でネコになって、恥ずかしい思いしちゃおー」


「恥ずかしいとか言うなっ」


 怒鳴りつつも私の隣にくるサユカちゃん。


 からかうのはこの辺にして、普通にネコの写真集を――


「…………あれ?」


「…………これー」


 適当にページを開いた私達が固まっているところに、戻ってきたカカちゃんが後ろから声をかけてきた。


「ただいま。二人で何見てるの?」


 私とサユカちゃんの肩の間から写真集を覗き込んで……カカちゃんは首を傾げた。


「なんでそんなとこに総理大臣載ってるの?」


 あのネコ、ニャイドルだったのー?


 謎だー。


 いじられサユカちゃん話その二です。二回目だけあって吹っ切れてますねサユカちゃん。

 にしてもニャイドルパトラッシュ総理大臣はどれだけ名前が長くなれば気が済むのでしょうかね。


 次回はカカラジです! 

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