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カカの天下  作者: ルシカ
198/917

カカの天下198「カミカミ」

「なんかさっ、甘いもの食べたくない?」


「太るよサユカン」


「わたしは別に気にしてないもーん」


 む、私ちょっと気にしてるのに。


 どうも、カカです。今日は学校の帰り道。用事があるらしいサエちゃんは先に帰ってしまったので、私とサユカンの二人だけの帰宅となりました。


「んじゃ商店街よってこっかっ」


「そだねー。何食べたい?」


「なんかあずきが食べたい気分っ」


「あー、そういえばあずさちゃんと仲直りしてないな」


「あずさちゃん? そんなのいたっけ」


「うん。私にいちゃもんつけてきたの。なんか気に入らないって」


「どっかで聞いた話ね」


「そだね」


「どこでだったかな……うーんっ」


 自分のしたことって案外忘れるもんだよねぇ。


 さて、とにもかくにもやってきました甘味処。入り口の上の看板には店名がでっかく書かれている。その店名とは……


『とけろ』


 ……なにが? と最初は思った。


 だから店員さんに聞いてみたんだけど、そしたら「程よく溶けかけのアイスを使った甘味をウリにしているので、それが由来なんですよ」と教えてくれた。


 にしても『とけろ』はないと思う。


 そんなことを思い出しながら、私とサユカンは案内された席についた。


「なに頼もうかな……」


「わたしはあずき抹茶パフェ! これがもうね、あみゃいのっ」


 そっかー、おいしそうだな……ん?


 ちらりとサユカンを見る。


 なんかあさっての方を見てる。


「あみゃいの?」


「……あ、甘いの」


「あみゃいの?」


「……いやっ、そのっ、だから」


「あ、みゃ、い、の?」


「う、うううう」


 私はサユカンの向かいの席から隣の席に移動した。


「あみゃいの?」


「ちょと、カカすけ、顔ちか」


「もっかい、あみゃいって言ってみ」


「そ、そそそそんなこと言ってない!」


 くぁーわいいっ!


「店員さんに、『このあみゃいのください』って言ってみ」


「そ、そそ、そんなこと言えるわけ」


「言ったらおごってあげる」


「……う」


 サユカンは迷ったのか、所持金を確認しようと財布を取り出そうとして……固まった。


「財布……が、ない」


「忘れてきた?」


「かもっ!」


 にやり。


「さぁ……もう言うしかないね」


「きょ、今日のところは甘いものはあきらめ」


「きれるの?」


「……うぅ」


 無理だね。女の子はそういう生き物だ。


「す、すいませーん!」


 手を上げて声を張り上げ、ケンカを売るような勢いで店員を呼ぶサユカン。


「こ、ここ、このあみゃいのください!」


「は、はい……あずき抹茶パフェですね」


「あ、私はこれ」


「はい……白玉クリームあんみつですね。かしこまりました、少々お待ちくださいませ」


 よほど体力を使ったのか、ゼーハーと息を荒げながらサユカンは私を睨んだ。


「こ、これでいいんでしょっ!?」


「うん、じゃあハイ財布」


「君が盗んだんかいっ」


 あー、もうホントにサユカンはおもしろいし可愛いなぁ。


 甘いのとサユカンを味わえて、私は大満足でした!


 人がかむとこみると、苛めたくなりますよね。

 ……なりますよね?(汗


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