カカの天下192「宿題を終わらせよ」
「よし、これで自由研究のレポートは終わり!」
「おつかれさまー」
「結構いいものができたわねっ」
おつかれカカです。
たったいま、夏休みの宿題である自由研究の共同作業が終わったところです。
どうやって書いていくか三人で相談しながら……そしてわからないところはトメ兄に聞いたりしながら進めたこの作業。
去年は面倒だった宿題も、この三人でやると結構おもしろかったです。
「これで夏休みの宿題、ほとんど終わりだねー」
「でもさ、サエちゃん。夏休み入る前にテンカ先生、別に宿題はしなくてもいいみたいなこと言ってなかったっけ」
「言ってたねー。でもいざ夏休みが終わって皆が宿題やってなかったら、テンカ先生は教頭先生とかに怒られると思うしー。『前言撤回! オレが怒られるからやっぱやれ』とか言いそうじゃないー?」
「夏休み終わってから撤回するのは遅すぎでしょっ」
でも言いそー。
「サエちゃん、テンカ先生のことよくわかってるね」
「私も損得勘定は得意だからー」
さすがだ。
「ま、どっちにしろ宿題は全部やるべきだと思うけどねっ。カカすけ、あんたこないだ苦しんでた計算ドリルちゃんと終わったのっ? 君のことだから、ドリルは工事現場で使うもんだーとか言って結局やってないんじゃないのー?」
意地悪げに笑いながら言ってくるサユカン。びみょーに当たってるのが悔しい。
だが! しかし!
「ちゃんとやったよ! ほら!!」
私は堂々と自分の計算ドリルを開き、二人に見せてやった!!
ぱらぱらとページをめくり、全部やってあることを見せ付ける。
「どうよ。もう夏休みも終わりだし、私は本気を出したのだ!」
「カカ……あんたさ」
「答え合わせはしてないのー?」
……あれ?
「いるの?」
「うん」
「解答の紙ついてたでしょーが」
おーまいごっど。
「で、結局今から必死に答えあわせすることになりましたとさっ」
誰に説明してるんだろサユカン。って、それどころじゃない。
ドリルの答え合わせは厄介なものだった。間違っているのを直すだけじゃなく、「なぜ間違えたか」を簡単に説明書きしなければならないのだ。
「なんでそんな面倒なことを!」
「ただ書いて直すだけじゃ勉強にならないしねー」
「答えを渡されてズルしようとする人防止にもなるみたいよ。答え見ながらやって正解ばっかだと答え丸写しと思われるよね。だからわざと間違えて書こうとするらしいけど、『どう間違えたか』って考えるのは結構難しいしっ」
「それで結局は、自分で普通にやって普通に間違えたほうが早い、っていうことに気づくらしいよー」
あーそうですかそうですか。
どうでもいいけど面倒だよ……うぅ。
「ちょっとカカすけ! なによこの計算の答え!」
「あー、簡単なのはちゃんと答えるだけじゃつまんないから」
「にしたって『703+571=なおみがこない』ってなんなのよっ!」
「おもしろいかなーと」
「なおみって誰よ!」
「こないんだから知るわけないでしょ」
「変な風にいばるなっ!」
念のために説明しとくと、703(なおみ)が571(こない)っていう語呂合わせね。
「カカちゃん、これなにー? 521+256=フィーバーって」
「答えが777だからフィーバー」
「あー、なるほどー。カカちゃん頭いいー」
「よかないわよっ! その間違い、どうやって説明するのよっ」
「間違えた理由でしょ? 『そのほうがおもろいから』でいいじゃん」
「そんなんでいいのっ!?」
サユカンは納得いかないようで、眉間にしわを寄せている。
そんなサユカンに、サエちゃんはいつものニコニコ顔で微笑みかけた。
「サユカちゃん、私たちの担任はテンカ先生だよー?」
「……じゃ、いいか」
納得するのはやっ。
ま、そんなこんなで……私の宿題が終わるまでもう少しかかりましたとさ。
夏休みが終わる直前にやってない宿題に気づく。
よくあることです(ぇ




